2005年(平成17年)4月20日号

No.285

銀座一丁目新聞

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花ある風景(199)

並木 徹

男恋ふ道に迫リ出す花一枝 (京子)

 今の社会は効率性、利便性を求めすぎる。日本航空は整備ミスから部品を紛失する航空機など事故が相次ぎ、4月15日から大掛かりな点検作業を始めている。社長はテレビの前で「安全に最大限の努力をします」と頭を下げた。航空会社は小さな事故が相次ぐと大事故につながる恐れが十分ある。安全より利益を追究されたら信頼して乗るお客がたまったものではない。何故このような事態となったのか。一言でいえば、愚直に責任を果たす男が少なくなったことである。航空会社の競争の激化はわかる。だが、安全をないがしろにして良いという理由にはならない。流れが経費削減に向っても一人だけでも愚直に「NO」という男が欲しい。昔、「花は桜木、人は武士」といった。戦い敗れて60年。男らしい男が少なくなった。
 産業再生機構の支援で再建中のカネボウで旧経営陣による粉飾決算の実態が明らかにされた(4月14日)。債務超過は9期連続で、組織ぐるみで粉飾を続けた疑いがあるという。カネボウは長年、東京で毎年秋に開かれた「女性映画週間」のスポンサーであった。ひそかに敬意を表していたのに残念である。新渡戸稲造はその著「武士道」(矢内原忠雄訳・岩波文庫)で「正直は最大の政策なり」―正直はひきあうというのであると喝破している。ウソをつく余にも人間が多くなった。産地をごまかすスーパー、賞味期限をかえてラベルを貼る食品店など枚挙に暇がない。「竹を割ったような男」という言葉は死語になってしまった。
 同期生の奥さんから「男恋ふ迫り出る花一枝」(京子)をいただいた。私は瞬間的に男らしい男がいなくなったのを嘆いている句だと思った。すごい句である。このような俳句を作る人がいるのは嬉しいことだ。私が編者ならずとも「俳句・平成万葉集」に入る一句である。

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