2005年(平成17年)4月1日号

No.283

銀座一丁目新聞

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山と私

(18)
国分 リン

−赤岳鉱泉 八ヶ岳冬の撮影行−

 残念ながらスポニチ写真講座が中止になり、個人参加の撮影行に
なる。3月11日金曜日午後から激しい雨になり、仕事を終えた夜、傘をさし電車に乗り込む。翌日早朝から行動をするため、スポニチU先輩の車に便乗して小淵沢の道の駅にテント泊の準備をした。10分程度でテントが張られ非常に手馴れている。常に山もテント泊が多いと、私は1gでも軽い荷物をと願っているのにと反省した。

 翌日雨が止み7時に車に乗り込み、茅野から美濃戸口へ。
バスはここまでで、ここから1時間の林道歩きがある。でも4輪駆動車で曲がりくねった雪道を10分程で赤岳山荘駐車場へ到着。楽を喜んでいるようではと思う。

 南沢の分岐を右手に見て北沢沿いに歩き出す。右に左に雪をかぶった鉄で出来た橋を渡り、撮影スポットを探しながらゆっくり雪道を歩く。周りの景色はまだガスのなかである。ゆるい勾配に楽しんで雪道を歩く。ふと前を見ると赤岳鉱泉の屋根が見え、急に足取りが軽くなる。建物の横にブルーの大きな氷の塊が出来ていた。これはアイスクライミングの練習が出来るアイスキャンディと呼ばれ、2月には技とタイムを競う大会が赤岳鉱泉の大きな魅力の一つと教えられた。まだ私はビレーも出来ずアイスクライミングの準備がないのであきらめた。カメラと三脚を持ち、岩に雪が張り付いた時に
登れる大同心稜へ張り切って出かけるが、Uさんが足を痛めていたため、途中断念した。大同心大滝への分岐でまだ時間も充分あり、青空が見え隠れするので1人で写真を撮りに踏み入った。トレース
がかすかにある所をゆっくり楽しんでシャッターを押しながら歩く。
 水色が微かに見え勾配がきつくなった。ついに大滝がその姿を現した。凍りつきブルーに輝いている。この滝もアイスクライミングで登る事を聞いていたので想像をしたが、実感が湧かない。太陽と光を追い、数カットシャッターを押し、呆然と周りの景色を堪能した。

 翌未明にスポニチ写真の仲間達7人と赤岩の頭を目指し、ヘッドランプを点け、朝日の輝く山を期待して登りはじめた。まだトレースは少なく、スポニチ登山学校を卒業後ガイドになったIさん(茅野在住)の後からもくもくとのぼる。樹林帯の中ジグザグに登り、かなりの急騰を過ぎると尾根に出た。ここで朝食のお弁当を広げたら、炊き込みご飯がシャリシャリと音を立てた。凍っているのだ。この時の温かいお茶は最高だった。−16℃はとにかく寒くカメラを構えて待つのは辛いので、とにかく赤岩の頭まで登ろうと、Iさん、Tさんと3人で登る。風は余りなく、この頃になるとぞくぞくと硫黄岳を目指すパーティが登ってくる。ここは冬山初体験コースと聞いた。30分間カメラをかまえてひたすら待つが思うように光が当たらない。硫黄岳に登る人たちの姿が見え隠れする。足踏みしたりして待つがあきらめて皆がカメラを構えているところへ降り、自分が撮りたい場所で待つ。こんなに根気よく待てるのも撮影行だからと思う。今回の撮影行ではたくさんのことを学んだ。寒さ対策が一番肝心で、カメラも寒さで動かなくなることがあり、2台は必要と教えられた。よいショットを狙うのは構えていてその瞬間を押すことで、作品を作る心構えが必要と、教えられた。

 冬山八ヶ岳撮影行はもう今年は無理と思う。来年は絶対大同心稜
の裏側へ登り違う角度で写真のシャッターを押す目的が出来た。

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