2004年(平成16年)4月1日号

No.247

銀座一丁目新聞

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安全地帯(72)

−信濃太郎−

新聞の見出しは著作物である。
 

 新聞の見出しはなかなか面白い。同じニュースを扱いながら整理記者の考えや新聞社の態度でその見出しがかわる。たとえば、尖閣列島に上陸した中国人七名の記事についた見出しである(3月26日)。
毎日新聞は一面トップの五段の扱い。「中国が即時釈放要求」わきに「対日批判 一転強める」二番手に三段で「7人本格取り調べ」『「中国の領土」不法入国を否定』
朝日新聞は二番手、四段の扱い。「入管に渡さず継続捜査」わきに「沖縄県警7人送検へ 中国は釈放要求」
産経新聞は一面トップ五段扱い。「きょう七人送検 沖縄県警背後関係追及へ」二番手に四段で「中国即時釈放を要求」『「日の丸焼却」も擁護』
毎日新聞は中国の立場を考慮した見出しになっている。朝日新聞の見出しは結果的には間違っていたが、送検して起訴までもっていけと言う記者の願望も込められいたように感じられた。産経新聞は尖閣列島は日本の領土であるとの認識のもとにつけれた見出しである。
尖閣列島は沖縄県石垣市に属する無人島である。明治28年に沖縄県に編入された。「尖閣」と命名したのは当時沖縄師範の先生であった黒岩恒である。日本の島に不法に入ってきたのだから逮捕するのは当然である。領有を主張する中国の活動家がまた不法入国する気配がある。そのさいは断乎として逮捕すればよい。
見出しはもともと読者にその記事を読ませようとして内容の要点を簡潔に表現したものである。その要点を表現する言葉を選ぶ場合、その人、或は会社の性格、信条によって見出しの言葉が違ってくる。前掲の各社の見出しを見れば明らかである。短い見出しといえども「思想または感情を創作的に表現した」著作物なのである。

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