2004年(平成16年)3月10日号

No.245

銀座一丁目新聞

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安全地帯(71)

−信濃太郎−

アザデガン油田開発合意は日本にプラスだ
 

 日本がアメリカの反対を押し切ってイランのアザデガン油田開発に合意した(2月18日)。何事もアメリカ一辺倒と批判してきた新聞の扱いは日経新聞(2月20日)を除いて余り大きくなかった。しかも「採算性にリスク」とか「治安・政治状況に課題」とマイナス面ばかりを強調していた。日本の新聞は何故悲観的な見方ばかりするのだろう。もっとプラス面を取り上げないのかと思わざるを得ない。今までの論調から言えば大きく扱って然るべきであろう。
 アザデガン油田問題は昨年イランに核開発疑惑が浮上し、米国からも中止要請を受けるなどの動きがあった。本紙は昨年7月10日号「安全地帯」で「対米追従か拒否か」と題して次のように論じた。「来日したイランのハタミ大統領と油田の開発を約束した國と國の信義もあり、エネルギー安全保障の視点からも米国の反対を押し切って油田開発に合意し、核疑惑についてはイランのその疑惑を晴らす努力をさせよ」と主張した(幸いにもイランは昨年12月、国際原子機関の核査察を容認した)。
 新しい問題に取り組むとき、必ず困難がつきまとう。経営は生やさしいものではない。今回は事業総額20億ドルの仕事である。しかも原油で受け取る形で投資資金を回収出きる契約期間は12年6ケ月である。計画の遅れや追加的投資負担も考えられる。それを一つずつこなして行くのが経営者でる。「挑戦と創意」は経営者の特技である。半官半民の会社である「国際石油開発」にそれを強く求めたい。
 アメリカにはイランに投資した外国企業に制裁する「イラン・リビア制裁強化法」がある。日本に不愉快感をしめしたものの制裁を発動するような子供じみた態度をとるようなことはあるまい。今回、日本は欧州の支持を得て資源外交を展開したわけだが、親米であっても、国益と日本の立場を説明すれば資源外交は出きると言うことである。何も日本はアメリカの言うままになっている國ではないとはっきり示した。
 ちなみに日本の原油輸入国(2003年日量428万バレル)は23パーセント サウジアラビア UAE 16パーセント イラン 9パーセント カタール 7パーセント クウェート 4パーセント オーマン、インドネシア 14パーセント その他となっている(2月20日、日経新聞より)。日本はイラクから原油は輸入していない。

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