2004年(平成16年)3月10日号

No.245

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(8)

―クラシックの展望― 

  今年の3歳牡馬のクラシックを展望する。1つの手がかりと見られたのは、弥生賞(3月7日、中山・2000メートル)である。このレースは「皐月賞トライアル」というサブタイトルが付いているように、皐月賞(4月18日、中山・2000)を占う意味でも注目された。まず目につくのは、重賞勝ち馬が4頭(コスモバルク、フォーカルポイント、メイショウボーラー、グレートジャーニー)いることで、この中でどれが勝つかの検討がポイントになった。格からいえば朝日杯(GT)2着のメイショウボーラーが、まず挙げられる。ただ、これまで1600までしか経験していないので、初めての距離をどうこなすかが、未知数ではあった。皐月賞が同じ中山の、しかも同距離であることを考えれば、距離の克服度はもちろん、どんなレースをするかは見逃せないところだ。
 次に過去10年の記録を見てみる。まず人気だが、1番人気で勝ったのは僅か3回(2着1回)で、この時期の能力に安定感のないことを感じさせる。むしろ2番人気のほうが健闘し、1着4回(2着も4回)。さらにいえば、2番人気が連に絡まなかったのは1回だけ。とはいえ、5番人気以下が連に絡んだのは皆無だから、多少の波乱はあるにせよ、大きな波乱の考えにくい傾向のレースといえる。実際の結果はどうかというと、勝ったのは2番人気のコスモバルクで、3番人気のメイショウボーラーが2着。過去10年の傾向が示すとおりとなった。
 次に勝ちタイムを見てみる。コスモバルクは2番手からメイショウボーラーを差し切ったが、2分00秒5の勝ちタイムは優秀だ。弥生賞過去10年の勝ちタイムと比較しても、最も速い。これで皐月賞の最有力候補になったといえるだろう。メイショウボーラーも3カ月ぶりのレースだったことを考えると、2着は実力の証明といえる。
 一方、牝馬のほうはどうかというと、桜花賞トライアルのチューリップ賞(3月6日、阪神・1600)で、1番人気のスープトウショウが、直線一気の追い込みで豪快な勝利を飾った。スタート前はゲート入りを嫌がり、スタートも出遅れたが、そんな不利もなんのその、直線に入ると大外を一気に伸びたのだから、文句なしの圧勝だった。これで桜花賞を目指す関西の主役となった。今後はこれに対抗できる馬を探すことになるが、関東馬ではどれだろうか。3月13日のアネモネステークスか、3月20日のフラワーカップで勝ち名乗りを上げる馬に期待したい。現時点では、2戦2勝のダンスインザムードを最有力と見ているのだが、果たしてどうだろうか。

( 新倉 弘久)

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