道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第105回決着!! 1月の兼題は 「初夢」、他、自由でした。
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【評】「ありしか」が何とも切ない。「春夕焼」で、読者も救われます。 |
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【評】語っても何かしら伝わらない思い。「グラスの底」がなかなか見事。 |
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【評】「刻々と未来攻め来る初日の出」 |
【秀 逸】
初夢のにらいかないの儒艮かな 章司 |
【評】ジュゴンは結構コワイ顔ですが、この初夢では人魚姫のようだったでしょうか? |
知らされていたより元気小春空 方江 |
【評】「小春空」でほっとした思いと共に、それまで案じていた深さが伝わってきます。 |
冬の虹はつかを吉と滝詣で あゆ |
【評】雨後の寒さの中での滝詣で。凛とした一句です。 |
独り言いいつつくらし春朧 意久子 |
【評】何かしら寂しさの漂う中七までを、「春朧」でふんわりと、現在の在り様を肯う一句とされました。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
初夢や舞扇だけ見えてをり 明法
蔵の町日差しのこぼれに梅の花
初夢やしおり挟みし文庫本 天花
石像の苔の乾きや寒さ中
○春隣り川に向かいて少女像
「春隣」で、まだ幼さを残した活き活きとした少女像が想像されます。
○初夢や遠き昭和の大家族 満子
○凍空や月をかかげて浅間顕つ
藩校や花柊のほろと散る
いい句材ですが、こういう句の場合、「ほろと散る」と書いてしまわずに、「花柊」だけで我慢をして、後は想像させるように。季語の場合、あまり修飾、解説せずにその力(想像させる力)を信じて使うことです。
廃屋を被いかくすや蔦もみじ 美原子
○人波に逆行するや寒の入
〈人波に逆らいてゆく寒の入〉でしょうか。
○初夢に算盤はいて坂すべる
楽しい一句でした。
目覚むれば初夢のなく子らの声 みどり
○眼裏に遠き日浮かぶ賀状あり
梅咲けど内なる不安消えやらず
「けど」は、多く語る言葉です。この句のような場合、「けど」を読むと、結びが安易に予想されます。逆に書くことも試してみてください。
〈何やらに内なる不安梅咲けど〉
○貧困も戦争もなし初夢譚 弘子
現実であったらどんなにか…。
初場所や肩で息せる勝名乗り
○寒垢離巫女の乳房の顕わるる
〈寒垢離や〉と。
○三が日どの夜の夢も国憂う 有楽
○凍風や有樂町の昔今
「有楽町の今昔」と。
乱世や北は吹雪で南地震(なゐ)
○初夢やパティ・ペイジの嘘は罪 亀山龍子
昔、この歌で英語の勉強をしたことがあります。「嘘は罪」と囲みましょう。
冬晴や九十歳のスクワット
○春隣赤子に長き生命線
○寶舟母に聴力もどる夢 章司
作者の優しさが伝わります。
初恋の人とペア碁や初夢に
いささか「初」並び。
初夢や兄とかけつこたんぼ道 紫微
○疎開中の姉訪ふ温海(あつみ)雪しまき
温海は山形県の日本海に面した町。雪の白さ激しさに、戦時の厳しさと不安が重なります。いつまでも忘れられない景でしょう。
○薺粥昭和の御代も終りたり
私も〈七草の粥の緑も昭和忌ぞ〉と。
初夢は真白き庭に鳥の跡 瞳夢
防空壕車庫に変身冬の旅
この通りだったのでしょうが、「冬の旅」を推敲してみて下さい。
○山茶花の何時もどこかが散っている
「どこかが」が巧みでした。
初夢の遙かにつづく絹の道 二穂
日脚伸ぶ池に黒鳥飛来して
○今は昔プリントゴッコの年賀状
そういえば、ありましたね。本当に「今は昔」です。
○初夢の定かなりしも吉とせり 意久子
出来れば「定かなりしを」と。
○冬晴れや天寿全う義姉(あね)逝きぬ
見事!の心。
○初夢や母のひざ借る耳掃除 のぼる
誰れそれの安否気になる年賀状
○明星を抱きて三日月寒の夜
蒼深い夜空の美しい景。
○バス停で娘待つ母雪催い 韶一
初夢の句読点なき文届く
○初夢や亡き父兄と地酒くむ 方江
○一夜では語り尽くせぬぼたん鍋
初夢に枕敲きし日の遠く あゆ
何か「枕を敲く」という風習があるのでしょうか?
師の句碑や岬の風に懐手
師の句碑が懐手をしているようなのか?でなければ、師の句碑に会うのに懐手はいささか不精。
初夢や目覚めに大吉つかみかね 高風
「掴みそこね」た、と書く方が楽しい。「目覚め」は必要なし。
〈初夢や大吉掴みそこねたり〉と。
○初夢や青春の日々浮かび消え
○成人の孫改まる初電話
○去年今年鐘つく人も聞く人も 照子
○おだやかな初日の中に生かされて
〈おだやかや〉と。
○初夢に逢ひたる母の若かりし
○初夢や富士山頂を制しけり 竹風
「や」「けり」を重ねぬように。「たり」でしょうか。
○小正月君少し酔い饒舌に
○初夢や42・195キロ走りけり 悠々