道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第103回決着!! 11月の兼題は 「枯葉」、他、自由でした。
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【評】「枯葉」で「枯葉剤」が出てきたことに驚きつつ、うなりました。 「兵器の一つ」と書きながら、眼前(今、作者が居る景色の中で)枯葉が舞っています。 舞い散る枯葉が、この悪魔の兵器の無惨さをよく伝えてきます。 |
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【評】常夏の国ハワイ。なればこその一句の面白さです。シェルの形のチョコレートでしょうか。 味のある句でした。 |
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【評】「枯葉に」が少し気になりますが、多分昼の歌舞伎町を抜けて行くのでしょう。 寒々とした景色と切ない気持が重なります。 |
【秀 逸】
甚兵衛鮫ゆっくり向き変へ冬初め 龍子 |
【評】楽しく、且つしっかりと「冬初め」の感覚を掴まえています。 |
出勤の寒さを残しバス発てる 明法 |
【評】バスが発った後の寒さが身に沁みます。 |
枯葉舞うハローワークへ通う日々 竹風 |
【評】舞う「枯葉」が、頼りない思いを更に濃くします。 |
一枚の枯葉しおりに京の旅 萬坊 |
【評】何処で拾った枯葉でしょうか。冬の京都もなかなかよきものです。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○歌舞伎町十一月の混沌に 萬坊
ポインセチア白き門のダルメシアン
○鐘楼は銀杏明りの中にかな 天花
風遊ぶ社に真っ赤な冬落葉
枯葉散る越路吹雪のメロデイが 明法
○枯葉散るかの世現し世飛び超えて
駄馬なるもゆめなるまじき濡落葉 紫微
○壷中の天夢見つひとり温め酒
○初春や老いに厳しき候に入る
○公園の見上ぐる枯葉雲のゆく 意久子
掌をあわすことの接点初時雨
「ことの接点」が解り難いです。
○郵便の届かぬ日のあり冬初め
○枯葉積みて幾千年や神の山 二穂
○花八つ手うかびてみゆる夜の雨
〈夜の雨うかびて見ゆる花八つ手〉
○猿のごと梢を渡り枝を打つ
活き活きとした枝打の名人芸。
○或る朝は落ち葉掃かれおり伊井の墓(世田谷豪徳寺) 有楽
〈或る朝は落葉掃かれし井伊の墓〉
冬近しシベリアの風波止場鳴る
〈シベリアの風に波止鳴る冬はじめ〉
○ななかまど朱かなしきや五稜郭
〈ななかまどの朱かなしきや五稜郭〉
枯葉散る這うもののあり胸のうち みどり
「這うもの」がいささか生しい感じがします。
どこからか枯葉流れて友の背に
○公園のベンチに二人枯葉積む
○野良猫の威風堂々枯葉径 弘子
「威風堂々」の曲がきこえそうですね。
胡桃割る烏シートン動物記
○SPの音のゆらめき薪暖炉
湯布院の亀の井別荘で、主人の中谷氏が薔薇のレコード針で
SPを聞かせてくださったことがあります。
○路地奥へ花運ぶ人銀座秋 美原子
○病む母の髪とかし冬の山
〈病む母の髪解いており冬の山〉
○枯葉ふむ母子揃いのシャツを着て 方江
○枯葉踏み音を楽しむ影ふたつ
枯葉降る傾斜ゆるき滑り台
〈傾斜の〉
ひらひらと舞ひて舗道の枯葉かな のぼる
○小春日や会話の弾む喜寿の宴
○喜寿祝防寒シャツを贈らるる
おめでとう存じます。
蟷螂の落武者に似てよろよろと 竹風
○生き残り懸けて刷り屋の夜なべかな
○枯葉舞い 時と時間が すれ違う 河彦
小面に 枯葉散らして 燗の酒
○枯葉踏む 踏まれし跡に 従いて
黙ってついて行く静かな時間。
○靴音や枯葉の走る石畳 満子
刈田道三三五五と下校の児
○鉄橋の一両電車天高し
すっきりとした一句です。
○雀発つ金の枯葉をつと銜へ 章司
○大學の空をす走る枯葉かな
枯葉踏む夜回りしたのは昔のこと 詔一
この「夜回り」は、記者としての仕事ですね。
○木枯しや夕餉の音を耳に留め
冬めくや膝抱けるほどのダイエツト
兄ちゃんの影追ひかけて枯野道 龍子
秋風や赤き膝掛け人力車
○枯葉散る閉ぢしホテルの時計台 あゆ
無人駅通過電車に 舞う枯れ葉 瞳夢
○秋麗ら月の沙漠の忘れ貝(御宿吟行のときの句です)
○いざ酌まん久闊を叙す新走り
落葉焚き失せて残るや童歌 高風
○一枚の枯葉に偲ぶシャンゼリゼ
○マジシャンのカードの如く散る落葉
○枯葉踏むしんと静まる空の色 照子
無造作に音なく散るや寺紅葉
○単線の路肩に光る芒かな
マスク顔 忙しげに 枯葉踏む 悠々