道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第102回決着!! 10月の兼題は 「渡り鳥」、他、自由でした。
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【評】秋の深さが伝わります。「真昼の黙を打ちにけり」お上手! |
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【評】忘れずに渡ってくる鳥たち。見上げる人間。何やら身につまされます。 |
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【評】どのようなことを胸に収めたのか。 あくが強くなり過ぎなかったのは「秋の蜘蛛」だからです。 |
【秀 逸】
婚の日の空高々と鳥渡る 満子 |
奉納の酒樽紅葉かつ散りぬ 天花 |
【評】満子句は伸びやかな祝句。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○登り来し城址は秋の風ばかり 満子
三句共大変結構でした。
○かのひとの遙かになりぬ鳥渡る 二穂
年々歳々…の思い。でも、渡り鳥を見上げる季節になると、浮かぶ思い。
絹雲の流れゆくそら旅の空
中七も「空」と漢字で。
○柿熟れて小鳥あつまるきのう今日
小鳥の賑わいが聞こえるようです。
○退院す九十九島に鳥渡る さかもと ひろし
〈退院す九十九島に鳥渡り〉と。
○軍艦の往きし佐世保湾鳥雲に
軍艦・往きし、とありますから、「湾」は削ってよろしいです。
禁漁区を楽園と化して鳥渡る
○旅芝居のぼりはたはた渡り鳥 萬坊
「旅芝居の幟」と。上五に執し過ぎるよりも、中七での「切れ」を考えた方がよろしいです。
切符のむ自動改札渡り鳥
○黙りの原爆ドーム小鳥来る
○お母さんママ母おふくろ秋ともし 韶一
友逝きてその朝ふいに小鳥来る
「ふいに」を、別の表現で。
○喪服着る機会のふえて秋深し
好漢となる長城を鳥渡る 紫微
「好漢となる」で切れるのでしょうか?
○烏群るる時雨心地の京都御所
「烏群る」でよろしいです。
燈火親し汗牛充棟老いの身に
誠に誠に。〈老いの身の汗牛充棟燈火親し〉
○鳥わたる湯加減のよき野天風呂 のぼる
幸せを伝える句です。
○大花火ひらきて息をとめてをり
暦繰り旅程書き込む今日の秋
○甲高くまた来るよねと渡り鳥 竹風
〈子の声の「また来るよね」と鳥雲に〉では?
○蟷螂の落武者に似てよろよろと
○降る雨に惜しむ今宵の十三夜
敵将をこぞり胴上げ鳥渡る 章司
○朝釣りの真鶴岬鵯渡る
○会えたら何から語ろう渡り鳥 意久子
〈会えたなら〉と。
百舌鳥鳴いて豆腐屋さん旅立てり
○精一パイいきたらよろし天高し
その通りです!
猫の秋 帰らぬ主 待って鳴く 河彦
○流鏑馬の 少年もいつか 恋をして
渡り鳥 裕ちゃんも旭も 遠くなり
○ひょろひょろと波の如くに渡り鳥 瞳夢
菊の酒長寿を祝いて集いけり
○秋深し一人もおらぬ山の寺
〈誰(だあ)れもおらぬ〉。
○路線図に新しき駅渡り鳥 方江
休耕田守って白いそば花
○ころころとどんぐり秋の真中に
ネガティブもポジティブもいて渡り鳥 亀山龍子
○鳥渡る目指すは核の無き国か
○秋深し母の残り香黄楊の櫛
○万葉の島撮るレンズ鳥渡る あゆ
○子別れの烏の声に一日暮る
○城趾の吾も過客か秋の蝉
〈吾も過客よ〉でしょうか。
○夕日受け一羽後れて鳥渡る 高風
鳥渡る北の便りを聞かまほし
女衆法被鉢巻秋祭
鳥渡る人間世界知らぬげに 照子
○灯火親し半世紀経し手紙かな
女神輿意気盛なる秋祭
○凛とした闇よりの声鶴渡る 明法
〈凛々と闇よりの声〉。夜渡ってくるかどうか。雁は夜渡りますが。
○犬吠の光一すじ鳥渡る
小春日の余りのごとき月上がる
○裸婦像に小鳥来ている浦の風 天花
○街川に魚跳ねてをり七五三
雁渡る津軽海峡風白し 有楽
○ななかまど朱のかなしきや五稜郭
〈ななかまどの朱のかなしけれ五稜郭〉
マニフエストやがて列島吹雪くる
その気配濃厚で…。
ばらばらに行く先もめる渡り鳥 みどり
白菜を切れば白さにこころ晴れ
鳥渡る朝もやをわけ打瀬舟 弘子
献杯や小体の店の秋灯
○喪服脱ぐぼんやりかすむ十三夜
○昇る陽にまがん五万羽ねぐら立つ 悠々
壮大な一句です。