道場主今月の一言

誠の恋をするものは、みな一目で恋をする。」
ウィリアム・シェークスピア
 

銀座俳句道場 道場試合第101回決着!!  

9月の兼題は 「敬老の日」、他、自由でした。



 又もや遅くなって申し訳けございません。
 横山白虹生誕110年を記念して、北九州市文学館での特別企画展。(10月24日〜12月20日)寝る間が無い日々です。
 段々に白熱してくる国会中継。官僚が居並んでいた席に議員から選出された役員が並ぶのは、本来斯くあるべきかと。でも某幹事長が新人議員に「君らの仕事は、次の選挙に生き残ること」って言うのは、確かに国会政治は数ではあるけれど、あからさま過ぎましょうし、志なんかゼロでもいいと聞こえますねー。
 与党の大臣、政務次官などがスリムになってくるのは、ビジュアルに「頑張ってる」姿勢が伝わってハラハラ。自民党のお大臣が何もしてなかったのがよーく解ります。
 山は「オバマ来日」!どうなりますか。
 日々冬めく中、ご自愛の程。         谷子
 

 

なによりも夫を大事に敬老日           龍子
 【評】敬服!何とも、これを外す訳にはまいりません。
 唸ってしまいました。皆で(失礼、私は)見習いましょう。

 
なに可笑し少女三人ラ・フランス         あゆ
 【評】立子の「娘等の鵜か/\あそびソーダ水」を思い出します。
 「ラ・フランス」の軽やかさが誠に魅力的でした。

 
戸袋に狼の護符敬老日             章司
 【評】どこの風習でしょうか。「オオカミ」=大神信仰。ケンカイなる老いの智恵。


【秀 逸】

敬老の饅頭二つで敬うか               詔一

吾というこの厄介なもの酔芙蓉          弘子
敬老の日やなにごとも無きぞよし         二穂

 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)


  今年米稼したる家に母祀り              龍子
    「嫁したる」?
正論は傷つきやすし秋の蝉

生き延びて悔いなき命敬老日            紫微
  底ひなき淵は騒がず稲穂かな
  豊穣の秋思ひ馳す戦時中

現世に未練さらなり敬老日              竹風
    紫微さんの思いも、竹風さんの思いも、二つながら真実でしょう。
蟷螂の落武者に似てよろよろと
秋深し49日の法事終え
    49日はやはり「四十九日」と。

有難き世とも思へり敬老日              あゆ
邯鄲や満州恋し人のこと      
    眼前の美女のことより、満州の話ばかり。行ったきり…でしょうか。

健やかに老いをむかえて老人の日          瞳夢
    「老」「老」が重なります。同じ重なるならば下五は「敬老日」と。
じっとして幼なの肩に赤蜻蛉
    「じっとして」は呼びかけ。幼なも作者も息を詰めている感じがよく伝わります。
  カウボーイ車中の人に七五三

銀座道場の100回記念秋高し            のぼる
    「の」は削りましょう。その方が力が出ます。
敬老日隣の席の子をあやす
  北国の家並の低し花むくげ

  秋声や五百羅漢の顔ゆるむ              高風
    「顔ゆるむ」がいいのか、「顔細る」がいいのか。
深き皺語る人生敬老日
装ひて青春語る敬老会



あの雲も過ぎゆく風も秋の声              照子
お互いの老いを認めて敬老会   
    かくすれば、平和ですね。
  ぶどう甘し大地の恵み惜しみなく

敬老日介護の車定刻に                 詔一
敬老日老老介護の日が暮れて

  孫々パパママ妻臥す敬老の日             萬坊
    新型インフルエンザか?と案じられます
  敬いてうやまれし歳敬老日
    「うやまわれし」?
とくとくととくとくとくと濁り酒

敬老の日の湯に伸ばす大腿筋             章司
    まだまだ元気!
敬老日赤子の重くなりにけり

  偶然よと老人の日の独り言               明法
    「偶然よ」というのが、何が偶然なのか?
青々と空はからつぽに帰燕かな
    〈青々と空からつぽに帰燕かな〉〈青々と空はからつぽ帰燕かな〉
公転軌道一周また鯊日和
    〈公転軌道一周しまた鯊日和〉

卒寿超え母息災に敬老日                満子
    誠に御目出度く。「息災に」が何とも嬉しく。
白萩の揺るるばかりや昼の黙
溝蕎麦や沿線どこも無人駅
    三句共揃っています。

彼岸花 色鮮やかに メール来る            河彦
  シルバーウイーク 墓前の線香 三陸の海
    状況、情景よく分かるのですが…。新聞見出しのようです。
  墓前祭 祭主は 八十歳を超え
    〈八十を超えし祭主や秋墓前〉でしょうか。

  「老人」と向き合う暮らし古時計             意久子
    「老人」のカッコは必要ありません。又「老」と「古」を重ねない方がよろしいです。
    カッコを付けたのが、「老い」という意味ならば、〈日々老いと向き合う暮らし〉と。
  散歩みち大樹の陰の曼珠沙華
店という六拾余年わが居場所

老いらくの俳句教室九月                 有楽
二度三度巣の上めぐり燕去る
いつまでも業引きづりて夜這星
    「引きずる」です。歴史的仮名遣いでも。

  揃う笑みまだ欲もあり老人の日             方江
    上五が不分明。
  やっぱりね心の張りか彼岸花
    これも同じく。上五、中七で何を言いたかったのか。
振って消すマッチの匂い彼岸寺

秋風や政変のとき今至る                 二穂
夕暮れの池にかなかな響きけり

敬老日豆乳ドーナツのほの甘し             天花
    「の」は削る。
ひやひやと乗り換え駅の長い階
  しゃっくりの止まらぬ夜や九月尽

敬老の花贈られてたじろぎぬ               みどり
われの入る墓の向こうに萩の花
月丸く影踏み遊ぶ幼児ら

名人芸誇るでもなし敬老の日               弘子
とろろ汁その場しのぎの空返事

  老人の日憂国の書読みふける              悠々