道場主今月の一言
|
銀座俳句道場 道場試合第98回決着!! 6月の兼題は 「鮎」、他、自由でした。
|
|
|
一寸「昇」の字が気になりますが、何とも「心太」が上手く働いて、川風の中に居る思い。 |
|
||
満子さんの句は「あゆの飯」で纏めたところ巧者。 章司さんの句は日暮という光源の角度の低さが、一句を平らかに静かに広げていきます。 |
||
|
|
仏塔の見事さ、その大きさと朴の花の一輪の見事さ。 小さな花では、「運慶の仏頭」を受け止められなかったでしょう。 |
【秀 逸】
梅干や母の介護の薄き粥 亀山龍子 |
「薄き」が、何ともせつない一句です。 |
ストラップきらきらと子に夏来たる あゆ |
いいですねー。ぶらさげた沢山のストラップの輝き。 |
南風吹くトランペットの軍歌かな 照子 |
軍歌も色々ありますが、勇ましいのも、哀切なのも、やはりトランペットでしょう。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○鮎食し残れる骨の美しき 竹風
つゆ晴れ間我が一番機飛び立てり
「我が」が解るようでいま一つ。
○西海の涼しき風や唐津城
○鮎放つ川の辺に献花台 亀山龍子
○媼摘む翁の炒りて新茶かな
「摘み」でしょう。
竿の列深みの一つ鮎光る あゆ
上五、中七の繋がりが悪いです。上五と下五を替えれば繋がります。
寄り添うて産卵あとの緋鯉かな
鮎釣りの岩になりたり仁王立ち 瞳夢
「仁王立ち」だけで、中七は削る努力を。
○梅雨の入り制御落下の「かぐや」逝く
○電柱の カラス染まずや大夕焼け
「や」よりも 「カラスの染まず」と。
○炭一俵河原に熾し鮎かぶる 韶一
「かぶる」をもう一工夫。
朝顔の胸に咲かせて貝の口
「胸」は前、「貝の口」は後ろ姿。どうも前を見たり後ろを見たり、気忙しいです。
○疎開児の古希の祝いや雲の峰
疎開児童も古希。よくぞ生き抜いた!の思い。
「雲の峰」が、あの夏の暑さを思い出させましょう。
レンズよりはみ出す丘の虞美人草 高風
悪くないのですが、「レンズ」と焦点を狭めているのに、「丘の」が来ると、シボリが甘くなります。
生きざまに鮎串刺しに焼かれをり
「生きざまや」の方が、鮎の姿が見えてきましょう。
○焼き鮎にほれぼれしたる色香かな
美味しそう!「に」だと「ほれぼれとせる」でしょうか。
○渓流を望む座敷や鮎料理 照子
○朝市の鮎の串焼き人群るる
○誰がこのみ見合の席の鮎のわた 章司
仲人が酒飲みか、婿候補がノンベエか。まさかお嫁さん候補が…?
○あゆの香のとへにはたへに鮎の宿
「十重に二十重に」はいささかオーバーながら。
解禁を待ち寝ねられぬ鮎の宿 紫微
○エジプトの王の棺や矢車草
夕づつの陰しづもれる青田かな
「夕づつの影」でしょうか。美しい句ですが…。
○清流の苔の句や鮎の宿 有楽
多分「匂」かと。
紅花の歴史背にして最上下る
○雁渡る太湖にジャングも連なりて
「Junk」ジャンクでしょうか。「も」は削りましょう。
○余生とてゆるゆるゆこか鮎の皿 意久子
こーひーのカップに一礼夏に入る
どういう「一礼」なのか?
○うせ物の失物のまま五月晴れ
なかなか出て来ない「うせ物」。
気には掛っているけれど、家中ひっくり返す程ではない感じが、「五月晴れ」で伝わります。
清流に眩しく光る鮎の群れ 方江
○万緑やトロッコ列車に声満ちて
○鮎の骨するりと抜けて峠茶屋
結構ですが、中七はしばしば見かける措辞。
かっぱ淵河童出で来ず蛙なく 満子
○陸奥の空まさをなる聖五月
○鮎の宿裏庭にあるすべり台 天花
○大西日割り箸で作る五重の塔
なんとなく爽快でない感じが「大西日」で伝わります。
○千代紙で折る楊枝入れ梅雨の底
下五を、上五に持ってきてください。
滝落ちるやがて行く先鮎の川 さかもとひろし
○ふた心なき姿して囮鮎
明日のことおっとどっこい蝦蟇の相
下五に対して、中七がいささか軽い。
○歌仙巻く 鮎を肴に 反省会 河彦
「鮎を肴の」と。
鮎鮨を 帰郷の前に 手配して
あまり説明し過ぎないように。
「故郷へ土産二折鮎の鮨」
○鮎自慢 聞いたふりして 箸運ぶ
「又だ」と思いつつ、でしょうか。
○鮎食めば水の速さを思はるる 明法
いいですねー!
手をつなぐ男勝りの浴衣かな
○浅き瀬の鮎きらきらとつづきけり 萬坊
うぷうぷと鮎の語りし海のこと
○ぢいちゃんの手の皺ふかくほたる住む
○鮎釣やきらりと光る返し針 のぼる
◎串の鮎炉辺にさすや雨上がる
◎月いろの少しまだらに鮎の肌
結構です。殊に二句目、三句目やわらかな抒情と、チャレンジと。
○雨後三日濁り薄れて鮎の渓 二穂
◎良き囮えて朝焼けの渓に立つ
◎夕暮れて川風かよう鮎の宿
三句、きっかりと揃っています。殊に二句、三句目結構です。
亡き父の好みし鮎の目は澄みて みどり
○時の日にとけいそう咲く朝の路
○つばめ魚あなた目指してまっしぐら
いいですねー!
湯気を立て大鉄鍋に鮎の飯 弘子
「湯気立てし大鉄鍋に…」と。
のびやかな素足はにかむ赤い爪
◎鮎好きの亡き友呼ばん酒匂川 悠々
静かな切なさが迫ってきます。