道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第96回決着!! 4月の兼題は 「春の夢」、他、自由で した。
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乃木邸に残る「寿(す)」と記された厩舎。馬上の大将の姿を 思ったでしょうか。花の雨が静かな舞台を包みます。
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寡黙な亡き父上の姿。きっと、親のこのような姿が、子の人生を支えてくれるのでしょう。
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葱坊主の思い…。少年の伸びやかな希望が想像されます。 |
【秀 逸】
ほあんほあん水母は春の夢のなか 満子 |
現世の如き宴や春の夢 高風 |
指輪の跡きつく残りて春愁ひ 亀山龍子 |
肥満度の計算式や亀の鳴く 天花 |
物の怪の通る音あり竹の秋 明法 |
春愁や鼻の削げたる兵馬俑 紫薇 |
満子さんの句は水母が楽しく遊泳します。高風の句は「春の夢」の楽しさと儚さが伝わります。龍子さんの句は背後のドラマを感じさせます。天花さんの句は難しい季語を上手く使いました。明法さんの句は緑の季節の中で、黄色くなった葉の落ちる竹群の妖しさが実感されます。紫薇さんの句は「春愁」と「兵馬俑」や「埴輪」の取り合わせは多いのですが、「鼻の削げたる」によって、把握の確かさが実感を持って伝わります。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
北斎の筆とり教へ春の夢 萬坊
○村は市にひときは高く揚雲雀
率直な祝意。
○鱗粉を摘まめばきゅると蝶の声
いささかコワイ世界を見せてくれました。
放鳥の朱鷺に卵や春の夢 章司
学校に行く少年兵春の夢
解るような解らぬような。〈春の夢学校に行く少年兵〉ならば解り易く、切ない一句。
○藤浪となるには足らず藤の房 満子
○湖の波間に残り鴨の陣
○春の夢昭和を知らぬ人の膝 有楽
○天平の空より降れる塔の花
三椏の色揺れており庭障子
春暁や満身創痍の夢の目覚め 意久子
〈春暁や満身創痍の夢に覚め〉
○"良かったね"春日そうじの独り言つ
○初桜三兄弟の出勤す
○母遠くミシンの音や春の夢 あゆ
○白船航く丘のベンチに春の夢
石積まず白詰草の野川かな
○暁の目覚めきれざり春の夢 のぼる
○バス待つや頬をなで行く春の風
花吹雪帽子を淡き紅に染め
春の夢SP盤の塵拭う 亀山龍子
この句は、兼題でない季語の方が生きるでしょう。
○母の掌の小さき窪みや桜餅
○シャンゼリゼそぞろ歩きや春の夢 高風
ばらの芽ややがて愛する人の手に
○久々に母現はれし春の夢 照子
○ふらここにゆられ来し方思ひをり
○快気膳春たけのこに貝づくし
このように季語を重ねることで、喜びを伝えることが出来ます。
○あこがれの君に出会いし春の夢 竹風
春障子影絵となりて野鳥舞う
給付金武士は食わぬと四月馬鹿
「四月馬鹿」を変えると、なかなかにシビアな一句になるかと。
○笑顔しか思い出せない春の夢 方江
○また逢えるさよならをして春の暮れ
○牡丹の芽心にはずみつけにけり
春の夢繰り返し見る時刻表 天花
これも「春昼の」などの方がよろしいかと。
○母の日や木椅子のねじを締めなおす
なかなか「母」も忙しいのです。力仕事をしたりして暮れる一日…。
赤間宮平家の公達春の夢 さかもとひろし
春の夢一瞬さめる日の出かな
○薔薇の芽の今にも語らん朝未だき
赤い薔薇の芽の瑞々しさ。薔薇愛好家のいとおしむ気持ちが伝わります。
○よき予感水の流れに春の夢 みどり
荷を解けば厨中なる木の芽の香
○崖の上の能楽堂や春の夢 弘子
○春愁や微熱こもりし掌
○春の夢亡き人と酒の宴 美原子
〈亡き人と酒の宴や春の夢〉
○そよ風を独りじめしてシャボン玉
異次元の入り口見たり春眩暈
確かに、そんな感触。
○邯鄲にあやかれば良し春の夢 紫微
○大福を売る堅香子の群生地
こんな所まで…。何かしらあらけない思いを抱きますが。
結構、買う(女性)人も居て…。
あくびして夢も春眠さめやらず 明法
○囀りの声をとどめる空のあり
○春の夢正倉院に続くみち 二穂
○初夏の風に聞きたる狂詩曲
藤咲いてあとに幾千ちさき莢
○花筏 もの想わせて ゆらゆらと 河彦
サングラスの 女の頬に 花はらり
○誰の顔 覚束なくて 春の夢
〈誰彼の覚束なくて春の夢〉と。
○春の夢三途の川へ招かれる 悠々
まだまだ早い!と目が覚めて…。