道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第95回決着!! 3月の兼題は 「ものの芽」、他、自由で した。
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競馬俳句の佳句は多くない、と思っていましたが、この句は拍手! 因みに今までで心に刻んでいる句は 桐の実の鳴れり覆面の競走馬 横山白虹 花蔭にシャドウロールの馬を曳く 横山房子 |
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「ふにゅり」が、手を添えられて轆轤の上に立ち上がった陶土の感じを見事に言い止めています。季語はいささか動く(他の季語に変わってもイイ)感じがありますが、花辛夷の白さと陶土の色の対比、出来上がるものが白い釉薬が掛ったものか…などとも思います。 |
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江戸の匂いがある一句。これが「芽柳や」(「柳の芽」ではイケマセン)でもいいかなと。 |
【秀 逸】
芽柳の向かう故郷ありにけり あゆ
煙るような芽柳。その向こうに思う故郷。 |
春の潮大きな月を押し出せり 明法 豊かな景の一句。たっぷりとした詠みぶりです。 |
病窓に秩父連山眠りたる 満子
「秩父連山」の拡がる窓。それが「病窓」であることの切なさ。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○ものの芽や「まいど一号」宇宙へと 亀山龍子
ネーミングは精神!楽しい名付けでしたね。
長閑さや小皿はいびつ串団子
ものの芽やちんどんの音またさかん 萬坊
○波音も遠く汽笛も月おぼろ
○屋上の漏水工事物芽かな 章司
立枯れとあきらめゐしが上枝に芽
○何もののものの芽花舗の土捨て場 あゆ
茎立の色さまざまに吾も花
○ものの芽に赤あり黄あり雨上がる のぼる
○片栗やうすむらさきに朝日差す
よく「観る」ことの大事。
菜の花を揺らし目白の啄める
三月の十日ものの芽大空襲 意久子
○葉牡丹や過去を離別の姉のゐて
「過去を離別」はすっぱりと過去を切り捨てたのか、それとも過去を忘れたのか、少しあいまい。
○伸びをして母の重なる春の床
今回の意久子さんの作品は「過去、家族」詠でしたね。
○ものの芽や乳母車押す若夫婦 高風
○あの時のあの桜餅淡き恋
「お酒の味」を知らない頃の初々しさ。
○老二人手とり足とり青き踏む
かくありたいものです。
○ものの芽や天指し時を待ちをりし 照子
○芽ぶく芽の思ひにかすむ山の色
なかなか面白い詠み振りでした。「香具山は畝傍山を…」の時代のおおらかさを思います。
○開き初む早雲寺領の桜かな
幼子の見つけしものの芽古木にも 瞳夢
下五で、説明感が強くなります。
教習車追い越し許さぬ春街道
○竿さして我が身ひとつよ鳥帰る
ものの芽も今年は早いと記事がいう 正巳
大試験13歳の親見たし
「親の顔が見たい」は、マイナスの場合。ここでは心配している親の姿なのか、
それとも、この幼さで試験を受けさせるとは…なのか?
○明け空に真一文字の揚げ雲雀
ものの芽や棘あることを忘れをり 方江
○ひと降りの雨にものの芽ひびき合い
花芽つきまだ見ぬ世界のぞきこむ
○石段の隙間ものの芽のぞきおり 有楽
○逝く人に炭ついてやる春火鉢
炭をつぐ→炭つぎてやる
○蕨餅売る声晴れる宿の朝
瑠璃の海 桜吹雪を 抱きとめて 河彦
高屋窓秋に「ちるさくら海あをければ海へちる」あり。
逆からの視点ではありますね。
○ベランダの 花は留守番 花見時
○ものの芽の 勢い借りて 目覚めんと
ものの芽や流転超えたる息吹かな 紫微
一句の中で、「流転」がいささか強すぎます。
○うららかや喃語転がる乳母車
○鳥帰る地震に遭ひたる都江堰
ものの芽の喜怒哀楽や雨上がり みどり
「喜怒哀楽」が、この一句の中では強すぎます。
○焼きたての桜あんぱん朝の卓
「桜あんぱん」が絶妙ですね。
花冷えや心に刃つきたてて
思い、は解るのですが「刃つきたてて」はいささか強すぎます。
みそっ歯のトンキーホンクの物の芽かな 弘子
「の」が難しいところですね。
○たぶたぶと肉叢ゆらし恋の猫
つい笑いました。同じ発想で一句を考えていましたので。
議事堂を錆色に変え黄砂塵
ものの芽や一人息子は左利き 天花
季語いささか動きましょうか。
○桜さくら自慢話にうそ少し
○日永かな首からさげる家の鍵
着る物も薄くなって、屈んだりするとぶらんと下がってくる鍵。「日永」が巧い。
ものの芽の囲む新居や新所帯 竹風
「新」が重なります。「新所帯」だけでも初々しさは解りましょう。
〈ものの芽の赤きが囲む新所帯〉でしょうか。
日脚伸ぶ朝な夕なの通勤時
「日脚伸ぶ」は午後からの日差しを思います。
真っ白な四角四面の春障子
「春障子」には真白と言う感じよりも、明るくなった日差しの方がイメージとして強いのです。
〈真っ白な四角四面の障子かな〉の方が、一句としては上です。
ものの芽に蕾有りかとつ触れぬ 美原子
「蕾有りやとつと触れぬ」
○霾ぐもり曳航船が消えゆきし
問ういばかり個人的なる春陰
?
○訪ふ音の今確かあり涅槃西風 明法
〈訪ふ声の今ありたるや涅槃西風〉
○深山よりもの芽の叫びあふれきし
○いつからとなくものの芽の動きたる 満子
○弓手には雪の富士顕つ甲斐路かな
○物の芽の天へと伸びよ今年の春 さかもとひろし
「物の芽」と「今年の春」とが重なりますが、何事かによって、例年はそうも感じないことが
殊更に思われることもありましょう。
作者にとって、「今年の春」と言わねばならぬ思いの一句かと。
海峡の源平桃は敵味方
薔薇の芽の物言いつけたき世相かな
〈薔薇の芽や物言い付けたき世相なり〉
○ものの芽や声たて笑ふ百日の子 よしこ
梵字石眺め居る時初音かな
○3月の室内プールにポカリ浮く
〈三月の室内プールにぷかと浮く〉
ものの芽や妊婦幼子とたわむる 悠々
第二子か三子がうまれるのでしょう。
〈ものの芽やもうすぐ兄(姉)となる幼な〉という書き方も出来ます。