道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第94回決着!!
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確かに!そして、この営為を重ねることが「新聞」の使命かと。 「夕雲雀」御見事。 |
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齢九十四。天寿とはいえ…。「春寒」がよく働きました。 |
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「火渡りの神事」の翌日か。その情景と興奮とが残っているだけに、「跡形もなき」眼前風景の静かな佇まいが齎す思い。 「余寒」が、眼前の景を良く伝えてきます。 |
【秀 逸】
春寒やテラスに乾く鳥の糞 天花 |
この声でどうかと問ふや恋の猫 明法 |
春寒を来て東京タワーを仰ぐ 萬坊 |
春寒し見に覚えなき請求書 走酔 |
春立つやうすみどり色のチョコもらう 方江 |
やどかりの走る速さや浜は春 のぼる |
春雪や首都震撼の軍靴の音 紫薇 「2・26」がふいに眼前に…。そして繰り返すかもしれない不安。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○春寒や五百倍てふ正社員 亀山龍子
現在の雇用不安。年末を過ぎ、年度末を過ぎ…、更には株主総会の辺りがまたまた山でしょうか。
不安と不信が重なるのが、何より重大ですね。溜息が聞こえるようです。
○ズボン丈五センチ伸ばし春を待つ
○鉄棒もくるくると回り桃組に
よき句材です。 〈鉄棒をくるりと回り桃組に〉と。
○春寒の休耕田の鴉かな 高風
春めくや乙女こだわる爪ファッション
○紅白の梅に飛び交ふ番鳥
○ことさらに古木ゆかしき梅の空 照子
○春寒にこもり昔のタンゴ聞く
〈春寒や籠りて昔のタンゴ聞く〉と。「に」は説明になって、一句の情感を小さくしてしまいます。
水鳥の羽きらめきて春来る
春寒や簑面の猿の息白し 正巳
悪くはありませんが、「息白し」は冬の季語として使いますので、
「春寒」とだったら、〈箕面の猿身を寄せ合いて春寒し〉でしょうか。
梅林の根方に杖休ませて
「梅林の根方」というのは何やらおかしい表現です。「梅の根方」ですね。
更には「根方」が必要かどうか。〈白梅の古木や杖を休ませて〉でも解ります。
○今年又たった一輪盆の梅
このたった一輪の愛おしさ。
太郎冠者しどろもどろや春寒し 瞳夢
逃げ易き陽を追い読書浅き春
○祈りいるみとりの日々や春遠し
看病の日々の切なる思いと疲労。「春遠し」はいささか直接的です。もう一押しを。
畦に鳶咥へたる影春寒し 章司
○春寒やベランダの鵯部屋の猫
両者睨み合い、なのか、知らん振りなのか。「春寒」で、猫の方はひたすら丸くなって…でしょうね。
春寒や汗の作業着脱ぎ捨てる 二穂
○春寒や今日も小雨の降りやまぬ
わが庭に春のたまもの蕗薹
「春のたまもの」で「蕗の薹」と二重に書くより、「たまものののごと蕗の薹」と。
冴え返るブックカバーの縞模様 天花
○捨て舟に魚住みをり暖かし
春寒し昔落人ありし里 明法
○涅槃西風大樹どよめき謡ふかな
「謡う」の字の使用、結構です。
○横町に富士顕つ朝や春寒し 満子
マスクより笑まふ眼居ありにけり
「笑まふ眸のありにけり」
○便り待つ寸胴ポスト冬うらら
「寸胴ポスト」懐かしいですね。
○春寒や吾がまたぐらにねこの棲む 萬坊
猫を飼っていると、実感。猫に気を使って、動くに動けず…。
○紙漉の槽切る音や遠霞 (槽=ふね)
「遠霞」をもう少し考えてみましょう。
○春寒や最後の姉の三回忌 紫微
地虫出づる日の早まらん年ごとに
○春寒く大病院の迷路かな 走酔
○春寒やひねもす電気紙芝居
「テレビ」をこう訳すと、電気紙芝居にお守りされ、時間を食べられている現実への自嘲が伝わりますね。
光降る マフラー越しに 温かく 河彦
「マフラー越し」がよく解りません。
独り寝の こころを夢が 温めて
「暖か」というのは春の季語なのですが…。この一句、「独り寝」がテーマ。
「こころを夢が温めて」なのか、「夢にこころを温めて」なのか。
○すれ違う 自転車の女 春の香り
春寒や少し日の射すあらし山 方江
「嵐山」と表記を。
師の言葉ポンと背を押す春日かな
〈師の言葉に背を押されたる春日かな〉
琉球の城址にひそと花菫 のぼる
○夏を呼ぶ磯ひよどりの声高く
○春寒や農の営み終わりなき 竹風
○稜線を目で追い行けば寝釈迦仏
裸木に真珠とどめて雨上がる
裸木の雨の滴を真珠と見たのでしょうが、いささか表現が強引。
○売り店の靴の看板春寒し あゆ
子離れの遠き日を夜の沈丁花
「遠き日を・夜の」への渡り方が今一歩。
春めきて蔵の白壁影ゆれて 美原子
「めきて」「ゆれて」と「て」が重ならないように。「春めきぬ」と。
バスを待つ別れの予感春寒し
春寒し駆け寄る君のスカート揺れ
「春寒し」の「寒し」を再考。
○荒れし胃の像におののく寒き春 有楽
あの朝も闇深かりし春の雪
○声低し豆撒く方も鬼なれば
結構です。
春寒や音なくパトカーの走りゆく 意久子
〈春寒やパトカー音なく走りゆく〉です。
春風にごっつぁんスイーツ芝田山
(2月2日「NHKゆうどきネットワーク」の放映を観て)
○「昇天」を告げる留守電春寒し みどり
○キャンパスに『翼』の彫像風光る
ひよひよの娘の母となりつぼすみれ
「ひよひよ」だった娘さんが母となって…、段々たくましくなりましょう。
春寒や干からびてゐる犬の糞 弘子
○裸木に凭りがうがうと哭く梢鳴く
この一句で、「哭く」「鳴く」を重ねる必要があるのかどうか。
「哭く梢」だけで切ってしまいましょう。
○ケーキ屋の古大時計日脚伸ぶ
酔いどれに罵詈雑言の春寒し 悠悠
「に」だったとしても、一句としては「の」に、そして「の」を「や」にしたいところ。