道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第92回決着!!
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敵が来たのか、餌をみつけたのか、何かがあったのでしょうか。 「半音」の設定が、作者の敏感な感性を伝えます。 |
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少し大きな河か。向こう岸の賑わいが感じられる程の距離。 こちらの岸は閑散として、冬の鳥の声と影のみ。冬の日差しを載せて、寒々と流れる川面。 |
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「相撲」が今もって歳時記の「秋」に入っているのは、かつての神事からきたものです。 神社にある古びた土俵。宮相撲などが行われていたのでしょうか。人気のない神社に響く鳥の声。「冬の鳥」と「寒禽」の持つ語感の違いをきちんと選んでいます。 |
【秀 逸】
ひょいと手に「あめちゃんどうぞ」日向ぼこ 萬 坊
まさか男性ではないでしょう。好々爺という言葉がありますが、好々婆とは言いませんねー。でもこの方は笑顔の素敵なお歳を召した女性でしょう。もしかすると、小さな子供が、お母さんに言われて「ハイ」とくれたのでしょうか?あたたかく、人と繋がる時…。 |
言訳に真実少し十二月 弘子
「言訳を重ねる・十二月」となると、何やら約束を守れぬ状況が想像される。
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【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○冬鳥の影あはあはと飛びにけり 萬坊
「あはあは」が、冬鳥の厳しさを捉えます。
○ベランダの鉢うごかすも冬支度
視線来し翔てるは一斉冬の鳥 明法
「視線来し」がいささか強すぎます。中七以降に対して必要な言葉かどうか。
冬麗や日だまり運ぶ町の川
「冬麗」「日だまり」が重なります。〈冬うらら光を運ぶ町の川〉でしょうか。
○陽だまりや眼(まなこ)を閉じた冬の鳥 二穂
「瞼」でしょうか?
冬木立大空に描くフラクタル
○枯菊や幽かな香り残りたり
○年の瀬や待合室の椅子固き 天花
○数え日や風呂上がりにするスクワット
「ガンバロウ!」
○寒禽に夢破らるる木曽の宿 紫微
○激戦のノルマンディーや冬の虹
旅吟、殊に歴史的な地での作品はいささか甘くなります。
○短日や街の灯を縫ふセーヌ川
○造船所林立のクレーンに冬の鳥 龍子
句材は結構です。「枯れ枝に烏とまりけり秋の暮」の現代版とも。
歳晩や音声朗朗電子辞書
句材は面白い。「歳晩」が不可欠なのか。
「春の暮」とか「春の夜」又は「秋の暮」の方が情感は増すかと。
「音声朗々」も、いま一つ推敲を。
○寒風に杖立て直し詣で道
○鋭き声や冬翡翠の礫飛び 章司
寒北斗『羊の歌』の加藤さん
季語、動くようです。
○庭に来て何を啄ばむ冬の鳥 満子
○睡りたる嬰膝に抱く小六月
○水底の落ち葉の陰の魚影かな
軟らかく、微細な物へ向く感性。
冬の鳥独り寝椅子の読書かな のぼる
「寝椅子」ではたいてい一人。
〈冬鳥や今日も寝椅子に本を読み〉
○数え日の駅頭で買ふ週刊誌
頬を刺す風に仰ぐや冬銀河
〈頬刺す風や冬銀河〉
水面下もがきあがきて冬の鳥 みどり
○ゆず二つ浮かべてひそと長湯かな
○ひたすらに眠るみどりご青木の実
○籠出でて大風に乗れ冬の鳥 弘子
鳥籠の鳥を「冬の鳥」というかどうか?とは思いつつ。
短日や豆腐屋の喇叭追い越しぬ
〈豆腐屋の喇叭に越され日短か〉
○日を拾ふ この小ささよ 冬の鳥 あゆ
書肆閉じて はや土地となる 木の葉かな
〈書肆閉じて更地となりぬ木の葉かな〉
○昼の月 まんまる上る 大根畑
冬の昼月、真っ青な冬空の感触は美しいのですが、「上る」が必要かどうか、推敲を。
○冬の鳥森にフランス料理店 方江
○追分というバス停の時雨かな
木の葉散る空の青さを広くせり
「散る」「せり」の終止形を再考。
○前線を追う影もなし冬の鳥 有楽
街しぐれデパ地下のみが混みており
○すぐにまた会話途絶えりもがり笛
「の途絶え」でしょうか。
○即発の予感に鴨の浮寝かな 瞳夢
何の「触発」かは、想像にまかされます。
○閑日の日々をつなぐや冬帽子
冬凪のヨットハーバー遠州路
「遠州路」は再考を。もう少し詰めることです。
○落暉背に絵画となりし冬木立 高風
冬鳥の水面に群れて羽づくろひ
○不景気の風の吹くまま冬至風呂
「不景気の風の吹くまま」には、如何ともしがたい…の思いが籠められているとは思いますが、
下五への繋がりが今ひとつ。
「風の激しさ」とか「風の強さよ」などと。
寒禽の小枝飛び交ひけたたまし 照子
○捨て切って凛と立ちをり冬木立
○働きし手をいとおしみ冬至風呂
二句共に、作者像を思わせます。
母につき両手合わすや冬の鳥 意久子
この一句では、他の季語を再考された方が良き句になるかと。
指おりて朝の散歩の寒椿
「指おりて」は骨折なのか、何かを数えるのか?朝の散歩で、寒椿が又一輪…、
今日は幾つ…と数えているのか?
○切りもりや五十九年の歳の暮
「切りもり」をしてきた歳月。「歳の暮」の感慨。
「五十九」という数がその感慨を深いものにしています。
○彼の人のたよりたえぬる冬の鳥 悠々
情感の籠った一句。「冬の鳥」が孤絶の感慨を良く伝えます。