道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第91回決着!!
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冬木立の佇まいの厳しさ。要らぬことを言わぬように…、との覚悟を支えてくれるようです。冬木立を歩く二人の緊張感も。 |
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五歳の袴着の祝い。つんつん頭にした髪型。 大きくなったら、ベッカムになる!それが五歳の大きな夢! この句、十五歳になった時に、二十歳になった時に、見せてあげて下さい。「五歳の自分」に逢えるでしょう。そしていかに、皆から愛されていたかが心に沁みる筈です。 |
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「勤労感謝の日」の兼題は手強かったようですね。その中でさりげないこの句のよろしさ。 |
【秀 逸】
捨てられぬものに埋もり一葉忌 よしこ 一葉というと、下町の凛とした慎ましい暮らしが思われます。 |
電車のドア開くより来し冬日差し 明 法 冬の日差しの思いのほかの強さをしっかりと捉えています。
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勤労感謝の日ゴルフバックに日の当たる 天 花 どこにも出て行かない勤労感謝の日なのでしょう。「ゴルフ」も仕事がらみが主であったかと…。
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天高しあっちの木までヨーイドン 美原子
元気のよい一句。「天高し」が見事に一句の空気を伸びやかに、それでいて子供っぽくならずにまとめています。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○
母の忌を修す勤労感謝の日 あゆ
甘さうに垂るる隣の吊し柿
神護寺へ 傘に紅葉が 散りかかる 河彦
〈神護寺や〉でしょう。
柿渋く 小さな歯型 残されて
○ 温かき 手を手の中に 三の酉
○ 米をとぐ今日は勤労感謝の日 意久子
主婦にとっては、「勤労感謝の日」は常になにやらほろ苦いですね。
枯れ落ち葉虫に見紛う原爆忌
○ 円卓のミスタードーナツ小春かな
楽しい一句です。「小春」がよく働いています。
○ 今に尚新嘗思う勤労感謝の日 正巳
本来、敬虔なる思いで天地に感謝の日ですね。
○ 茶の花や谷の土橋の朽ち落ちて
吹き上がる空に幟の神送り
いい句材です。〈神送り空に幟の吹き上がる〉と。
介護士の涙や勤労感謝の日 章司
辛くての涙か、感謝されたことでの感動の涙か?
女工哀史再読勤労感謝の日
○ 勤労感謝の日機窓に富士を見る帰国
〈帰国の機窓に富士見て(富士嵌め)勤労感謝の日〉
○ 万歩計携えて勤労感謝の日 走酔
「携え(てを削る)勤労感謝の日」と。
この朝も決まってジムへ勤労感謝の日
パソコンの前にひねもす勤労感謝の日
〈パソコンに執し勤労感謝の日〉〈パソコンに繋がれ勤労感謝の日〉でしょうか。
○ 学舎の式もなつかし新嘗祭 高風
○ 箒目の庭に散りゆく寺紅葉
伝来のやまと雅びの菊膾
○ 熱々のご飯や勤労感謝の日 照子
青梅にて
○ 薄紅葉昭和レトロの残る街
○ 落葉踏む心素直になりたくて
○ 長らえて一人勤労感謝の日 松村竹雄
〈永らえて〉と。かつての仕事仲間は次々に減り…。勤労感謝の日なればこその思い。
○ 垣根刈り空蝉と遭う永遠の今
「永遠の今」の把握。深い思いが伝わります。
○ 深む秋巡る嵯峨野のあたりから
○ 身の丈で生きて勤労感謝の日 満子
○ 雲ひとつなき秋天になりにけり
秋霖や番の小啄木鳥来てをりぬ
愛らしいコゲラの番。「小啄木」でよいのでは?
この世相も勤労感謝野の仏 さかもとひろし
給付金勤労感謝空念仏
○ 太き枝曝して威風冬薔薇
「薔薇の木に薔薇の花咲く…」の詩を思い出しました。(季節は違いますが)
この詩を知ってから「薔薇の幹」がいつも気になります。
この冬薔薇を咲かせた薔薇も木と言ってよいごつごつとした太さでしょう。
○ 雑魚飯を炊きて勤労感謝の日 よしこ
花嫁を送る父の背櫨もみじ
○ 机上の埃拭ひて勤労感謝の日 亀山龍子
○ 拾ひあぐおよそ一尺朴落葉
草紅葉立ちそむ嬰の指太し
○ 冬凪ぎや尾道水道渡し舟 瞳夢
○ 寒鴉甍に今朝の鐘をきく
○ 破れ案山子立つや勤労感謝の日 明法
薄き日の寂しさもあり八つ手咲く
よい句ですが、「薄き日」が「薄き日差し」であろうかとは思いますが、
「あり」によって、少しあいまいになります。
〈八つ手咲く日差しの薄き寂しさに〉
神の留守穂先広がる化粧筆 天花
○ 冬ぬくし瓦寄進に亡父母名
○ 米五キロ買ひて勤労感謝の日 のぼる
お揃ひの冬帽似合ふ老夫婦
○ 冬ざれや剥落しるきなまこ壁
○ 番屋より演歌勤労感謝の日 萬坊
遠く夫を呼ぶ勤労感謝の日
○ 玉砂利にはや泣き顔の七五三祝 (しめいはひ)
私の知人に「七五三(しめ)」さんと言う方が居ます。
「七五三」で苦作される時、この言葉を知っていると随分と助かる筈です。
新嘗の餅つく音や遠き空 有楽
○ 銀座行くサンドウィッチマンを落葉追い
○ 熱燗にしよかと母の目が迎え
いいですねー。いつまでたっても息子は息子ですね。
根菜を煮込み勤労感謝の日 みどり
○ 足音に花柊のこぼれ落つ
稲荷寿司食し勤労感謝の日 弘子
ラジオよりあえかなピアノ初時雨
「あえかな」をもう少し推敲されてみてください。
○ 霜夜きて盲導犬のやさしき目
時雨傘二人の距離のよそよそし 美原子
〈すこしずつ遅れておりぬ時雨傘〉でしょうか。
長旅の帰りを待ちて障子張る
ありった靴磨く勤労感謝の日 方江
○ 落し蓋ことことと冬に入る
天然の椎茸のそのでかいこと
○ お茶漬けを独りかきこむ勤労感謝の日 悠悠
〈茶漬け独りかきこむ勤労感謝の日〉