道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第90回決着!! 9月の兼題は 「蜻蛉」、他、自由でした。
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「月白」というのは美しい言葉です。月が出る頃に空が明るむのを言います。 その明るんだ空の下を進む船はこの世から海神の国へと越えて行くようだと捉えました。透明な幻想性が魅力です。 |
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「青むまで」が、一句の力です。秋の透明な空気感に溢れています。 | |
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「秋の猫」という季語の使い方がしばしばされるようになったのは、「恋猫=春の猫」というのの拡大かと思います。あまり勧められません。しかし、この一句の猫は、夏の暑さを乗り越え、秋の気配を敏感に察知したしなやかさが魅力的です。ぎりぎりセーフというところでしょうか。 |
【秀 逸】
産褥の娘の乳匂ふ星月夜 あゆ
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【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○
芒の穂 風と友だち ゆうらゆら 河彦
谷内六郎の絵を思い出しました。
○
食卓に 日々ふるさとの スダチあり
この14、5年、徳島の酢橘を愛用しています。7月末から9月いっぱい。早取りは
香が、9月の無農薬はたっぷりの果汁。主人の胃癌手術の後の夏、毎日小さな一個を
半分に切って水に搾って飲んだのが始まり。九州は大分のカボスが有名ですが、
やさしさにかけては「酢橘」を大のひいきにしています。
秋の日や僧の読経のはじまりぬ 意久子
○ 店番のわたしが居場所秋海棠
「店番はわたしの居場所秋海棠」でしょうか。
○ 秋の雲 異国言葉とすれちがう
蜉蝣のいのちも一世でありにけり 満子
ここでは「も」があまり働いていません。作者には存分に解っていることでも、
読者に伝えるには難しいことがあります。「も」の前提が伝わりにくいのです。
○ 外堀の水澄み白きカフェテラス
○ みんみん蝉生きよ生きよと鳴きにけり
○ とんぼうの番をなしつ漂へり
紫微
「漂へり」が手柄です。
秋燕夕日を浴びて親子連れ
○ 燎原の火か万本の曼珠沙華
師の病快癒を祈る望の月
のぼる
○ 野分あと倒木の葉のいきいきと
「倒木の葉の活き活きと野分あと」と
○ 月山の風に群れなす赤とんぼ
気持ちの良い一句。
群蜻蛉まだまだやりたい事ばかり 天花
「群蜻蛉」だと群れてなにかする…という感じですが。
「群蜻蛉まだまだ遊び足りなくて」だと、少し楽しさが増してくるのですが、
子供の世界になりますね。
紅葉かつ散る同窓会の知らせかな
○ 消しゴムで作る落款暮の秋
消しゴムでの落款、なかなか楽しいですね。
○
清流の石のまろきや赤蜻蛉 あゆ
「石のまろさや」と。
○
赤とんぼ逃がし又釣る村はずれ 高風
すっきりと八十路を包む良夜かな
月光の中に佇んでいるのでしょう。「すっきりと・包む」が、何か荷物を包んでいる
ようで、感懐が伝わり難いかと。
○ 指折りてひねる一句や獺祭忌
○
行く雲や三宝寺池の秋あかね 照子
兎住む月の恋しと栗供ふ
中国も宇宙船を打ち上げて、船外活動。何やら昔懐かしく…。
○ 初秋の佃をぬける江戸の風
佃には江戸の風が吹いているでしょう。
○
赤蜻蛉一瞥残し去りゆきぬ
瞳夢
白鷺の刈田に舞うや唯一羽
○ 寂光院畦道行けば曼珠沙華
秋深き学舎かっては遊園地
龍子
○ 採血の針跡残る秋思かな
採血用の針は結構太いのですよね。加えて、その結果への不安。よく伝わってきます。
私は目下一日置きの点滴で、(血管が出難く)難儀しています。
○ 蜻蛉釣り少年拳で涙拭く
お兄ちゃんに置いていかれたのでしょうか、なかなか捕まえられないのでしょうか。
とんばうの翅脈の影や石の上 章司
いささか微に入りすぎました。
○ 赤とんぼ嵐に吹かれきし襁褓
「風に吹かれてきし襁褓」と。
○ 主の亡き机の小瓶秋桜
魚沼や黄金に映えて赤とんぼ 二穂
「魚沼の黄金に映えて」
○ 段丘の空は直線すすきの穂
中七までの気息、なかなか気合いが入ってます。
桐の実やあお一色の空の中
○
つつーいつい淋しさ連れて赤とんぼ 明法
空の青借景にして柿赤む
鬼蜻蛉(やんま)追いかけ見上ぐる滝流れ さかもとひろし
「鬼蜻蛉」と「滝」、二つとも季語ですが、ここでは
「鬼蜻蛉追いかけ見上ぐ○○滝」などとすると、もう少しきっかりとなるでしょう。
脱皮せし蜻蛉いくつせせらぎに
「いくつ」はどうでしょうか。
「今脱皮せしも加わり群蜻蛉」では。
○ 鳥渡る和解の時いつ成田の空
○
赤とんぼ叶う気のする願いごと みどり
○ 大地ゆく秋野不矩展昼の月
秋野不矩の力強さ。その作品を観た後、「昼の月」は更にぼんやりと感じられたでしょうか。
上弦よ月に恋する友の告ぐ
○
透き通る沈黙担ひ鬼やんま
弘子
穂薄の光そこのみ棺閉づ
穂薄は外景、「棺閉づ」は室内の景。中七までの外景が強すぎる感。
棺に入れた、とも思えませんが…。
○ 幼らの輪の中にをり木の実独楽
○
目の高さともに遊べり赤蜻蛉
松村竹雄
○ 見上げれば銀翼眩し昼の月
○ 五十鈴川渡る大橋軋む秋
澄み切った秋の景色。乾いた感触が伝わります。
秋深し卓を囲みてボケ防止
悠々
麻雀卓でしょうか。お元気何よりです。