道場主今月の一言
|
銀座俳句道場 道場試合第87回決着!! 6月の兼題は 「さくらんぼ」、他、自由でした。
|
|
|
多分女の子。囀りに似て、何時までもおしゃべり…。かわいいですね。 |
|
|
当り前の掛け算が、何かしら数え唄のようで、楽しい句です。 | |
|
|
どのような手紙か、誰からの手紙か、詮索するのは野暮ですが、「恋」とも言えぬような初々しさが思われるのは「さくらんぼ」の働きです。 |
【秀 逸】
生駒山近くに見えて青田風 正巳 誠に気持ちのいい風が吹くようです。 |
不如帰 何も言はずに 逝きし人 あゆ 切ない一句です。 |
郭公やまんずまんずの里言葉 弘子 楽しい一句です。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○贈りての返事嬉しやさくらんぼ 有楽
○バス停のひとに並んで立葵
川床の夕灯想ひて橋渡る
「ユカノユウベ、アカリオモイテ」と読むのでしょうか?
レース編み指の先にはサクランボ 意久子
○今日もまた雨かしらとて梅雨に入る
○梅雨晴れやコーヒーを淹れ紅をひく
よき一日が始まりそうです。
色満ちて朝日に競う桜桃
竹雄
○降る雨に卯の花白く匂いけり
水彩の彩決めかねて額の花
「水彩」「彩」と同じ字を重ねないようにしましょう。
甘さうな 雫に朝の さくらんぼ あゆ
まひまひや 浄水場に 輪をいくつ
さくらんぼ今年も実らず青い鉢
正巳
鉢植えのサクランボなのですね。
○水やれば頬をひと撫であまがえる
雨蛙も、結構色々な仕草を見せてくれます。
○待つことも幸せなりきさくらんぼ 方江
紫陽花の胸の高さに少女来る
「紫陽花の」の「の」が意味不明にしています。
○その事は何もふれずに新茶くむ
○ナイターの白球糸引く右中間
高風
弟の死を悼み
○五月雨も三途の川も涙かな
逆縁の辛さは、親と子だけでなく、兄弟姉妹でも。お悔やみ申し上げます。
さくらんぼ口に含みて遊びけり
すぃと吸うさくらんぼ食む赤き口
照子
悪くないのですが、「吸う」と「食む」を一句の中に一緒に使わないように、工夫してください。
「吸う」だけで、可愛いさは伝わりましょう。
〈赤き口すいと吸うてはさくらんぼ〉でも解ります。
○孫達の目に等分にさくらんぼ
○点滴の何時終わるとも梅雨深し
まだ、点滴に通ってますが、誠に気が急く時は長く感じます。「梅雨深し」が思いを伝えてきます。
○梅雨晴れや親子に賜る年金便 瞳夢
○冥福を祈る花束梅雨深し
事故現場の景かと。
逢う宵は美味美幾重にさくらんぼ
さかもとひろし
○白薔薇をマイセン焼きに傘寿の賀
ジューンブライド花嫁の父の背の淋しき
「花嫁の父の背」だけで、勝負!を。「淋しき」は削って下さい。
○麦秋や嫁ぎ行く子を見送りぬ
よし子
○実桜や城山にあるけもの道 天花
○雨蛙バスを待つ間のストレッチ
雨蛙に見られつつ…。蛙の目も、ストレッチと一緒に動いたりして。
さくらんぼ口にふくんで嫁ばなし
萬坊
さくらんぼもろ手に受けて頬張りぬ
○銀皿のにいしいむうやさくらんぼ
偶数で数えてあるところが、さくらんぼの二つくっついた感じを上手く現わしました。
烏兎怱怱母在りし日のさくらんぼ 紫微
○松島に比すや象潟梅雨に入る
いささか理で書き過ぎの感あり。
荒梅雨に行事取り止め車椅子
さくらんぼ光の粒の儀仗兵 のぼる
頑張りすぎて、勇み足。「儀仗兵」とまで必要かどうか。
○老鶯の法華経と鳴く鄙の宿
○夕涼し出湯めぐりの手籠下げ
○ターシャ逝く 桜桃忌と日を 前後して 河彦
桜桃忌 スーチーさんに 励まされ
次の一句で、何故「桜桃忌」なのかが解りますが、この一句だけでは
作者の中で結び付いた「桜桃忌」と「スーチーさん」が、読者の中では
??です。
○桜桃忌 はや六十三歳の 誕生日
○さくらんぼ幼なじみはどうしてる 山野いぶき
○今日もまた夫は残業遠蛙
○青梅雨や変哲も無い日曜日
「息をするように」書かれていて、結構でした。
○湯の町のシャッター通り夏燕 亀山 龍子
供花を切る蜘蛛の囲に腰屈めをり
かの佐藤錦も凡や狭庭なる 章司
庭に佐藤錦を植えておられるのでしょうか。その佐藤錦も、狭庭に植えると
凡な味になる…、というのか、わが庭の取れたてのさくらんぼの美味さは、佐
藤錦も凡に思われる…というのか?
○さくらんぼおほかた鳥のほしいまま
○連弾の姉妹リボンやさくらんぼ
愛らしさが溢れるような一句です。中七がいささかもたつきます。
〈連弾のリボンの姉妹さくらんぼ〉
○奔放に玻璃の皿なるさくらんぼ 満子
神の白宿す泰山木の花
○白き腹見せて宙きる夏つばめ
○仲直りできるといいなさくらんぼ 美原子
名札書く青年の背に菖蒲咲く
○菖蒲園木札に墨の古風な名
靖国のさくらんぼとやこのソース みどり
○臥す床の思いは海へ梅雨ゆうべ
蝸牛このごろ見ぬとやな予感
セピア色の記憶おめざめのさくらんぼ 弘子
琵琶の実や廃屋覆わんばかりなり
これは変換ミスかと。「枇杷」
○ころころと光こぼれてさくらんぼ 二穂
○白き尾を垂れたるごとし半夏生
「垂るるがごとく」
○いっせいに睡蓮開く雨上がり
○少年の直ぐな視線やさくらんぼう 明法
「さくらんぼ」でよろしいでしょう。
背の鰭の光輝き夏木立
〈人間に背鰭のありて夏木立〉ならば、逆に解る感じなのですが…。
○今海は光膨れて朱夏なるか
さくらんぼあの初々しさ忘れじ候 悠々
〈あの初々しさ忘れまじく候(そろ)さくらんぼ〉