道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第85回決着!! 4月の兼題は 「春の暮れ」、他、自由でした。
花は葉となりました。チベット問題、北京五輪への聖火騒動、中国国家主席訪日、ミャンマーのサイクロン被害、中国大地震…。そして国内の「後期高齢者」問題!ついこの前に「今年の桜は美しい」と愛でたばかりなのが信じられないような時の早さです。
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真っ直ぐな病廊に差し込む午後の日。午後は入院患者にはさほど気忙しくはないのですが、それだけに見舞いなどが無いと、長い時間と感じられるものです。回復期なればこその無聊と、かすかな不安もが、ゆるやかに伝わってきます。 |
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小さな靴からさらさらと落ちる砂。浜辺を駆け回り、波と追いかけっこをして…。少し遊びつかれているでしょうか。原句は<子の靴の>でした。やはり<より>でしょう。 | |
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「風薫る」=緑の中での「金箔」の輝き。 原句は<寺の襖に>でした。ここでは「の」を重ねることで一句の焦点を絞りましょう。 |
【入 選】
登りきし峠に月や春の暮 明法 原句<登りきし峠に月も春の暮>でした。 |
白牡丹白川静と言う巨人 二穂
本当にスゴイ方です。「白牡丹」がその偉業の静けさを伝えます。 |
六〇年代の 歌が流れる 春の暮れ 河彦 昭和35年から45年に掛けてのオールウェーズ。高度成長期の元気も。今聞くとまだまだ昭和の懐かしさを蔵していますねー。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○春の暮背筋真っ直ぐ帰りをり 亀山龍子
この精神!
○手渡さる嬰の心音さくらんぼ
喜びに満ちた一句です。
級友の名全部の伝えて花は葉に
何だかドラマがありそうですね。例えば子供へ言い残しておくとか、連絡係に故人の級友の名を告げるとか…。そう思うのは「全部伝えて」だからでしょう。でも、「級友」というのはもっと若い、とか幼い感じがします。実のところ、新しい級友の名前を親に伝える…、「花は葉に」――入学から時間が経って…なのでしょう。もしそれならば
<友だちの名を全部言え花は葉に>これは小学生バージョン。
<友の名を皆諳んじて花は葉に>これは中学生くらいか?
○月空に残る蒼さや春の暮 あゆ
校門の在りし日や桜蘂降る
○ケンケンパ子は春泥を越えゆけり
○水車小屋音軋しませて春の暮 姥懐
○犬吠の歴史街道春キャベツ
春宵やソロに拍手の鳴り止まず
かなめ垣ほとほと赤し春の暮れ 方江
かなめ垣―赤し、となると「かなめ萌ゆ」で季語ですから、「春の暮れ」は単なる「夕べ」に
<かなめ垣ほとほと赤き夕べかな>と。
木と語り花と語りて青き踏む
重ね重ねて書く〜油絵のように〜という手法はありますが、ここでは中七までが「青き踏む」の気分の解説になっています。
○突風にラッパ水仙ひざまづく
○辻地蔵老婆動かず春の暮れ 正巳
なにやら不可思議な空気感の句材。辻地蔵の傍らに老婆が腰掛けて動かないのでしょう。
ゆるやかにフェイドアウト…。北林谷栄がやるとぴったり!切れが二つなので、
<辻地蔵の傍えの老婆春の暮れ>でしょうか。
草餅や料金箱に誘われて
無人販売?
○なつかしや根来の茶屋にわらび餅
○また戻る床屋のはなし春の暮 吐詩朗
○ほつれ髪かき上ぐをみな春夕べ
乗り過ごし帰路聞く少女春の暮
この句材も可憐ですね。
中七がいささか説明過剰。「春の暮」ですから「帰路聞く」は削れます。
<春の暮乗り過ごしたる少女かな>
○野良仕事終えて家路へ春の暮 竹風
メーデーの若き日のこと時過ぎて
下五を再考。中七と重なります。
○撮す人写されている春の昼
○落ちてなほ花とし生きる藪椿 高風
落椿の鮮やかさが切り取られています。「花とし生きる」は少々ダメ押しの感が強いですね。
○朧夜や二つの影の重なりぬ
類想句ありますが…。
○武蔵野の山川草木春の暮
帰宅にはまだ日の高き春の暮 照子
○授かりし色全開や花の春
○飼主に似たる犬連れ春の朝
大半はこの感じ。しばしば、飼い主よりも品がよかったり、立派なのも…。
○とうふ屋の売切れ仕舞春の暮 萬坊
○菜の花や遠くうねりて海の見ゆ
○春の暮水吸い込みし植木鉢 天花
○楠青葉雨筋まっすぐ降りてくる
○引き売りの豆腐屋のらっぱ春の暮 満子
臥竜のごとさくらさくらの吉野かな
(イースター島にて)
○レイの香に咽せて降り立つ島晩夏
○舞姫の舞台ベルリン春の宵 さかもとひろし
○花人を追いかけてみれば他人です
誰と思い込んだのか。もしかすると今は亡き人か。
葉桜のトンネル森閑宴あと
「葉桜」には、「宴の後」のイメージあり。
○ふりむけば犬がついてくる春の暮 みどり
<ふりむけば犬ついてくる>※打ち間違えの場合には、この行削除を。
○春の宵皿洗う音笑うごと
愁いつつ傘さしてゆくしゃがの道
「しゃが」と「雨」…悪くはないのですが、
蕪村の「花うばら」の一句をつい思います。
春の暮ペルシャのビーズ砕け散る 弘子
悪くありませんが、「砕け散る」の強さをもう少し考えてみて下さい。
○寂しさをゆるりと抱き花月夜
春愁やおほらかに引く貧乏くじ
「おほらかに」を再考。「判って引いている」という感じがでる表現を…。
山下る里の灯見ゆる春の暮 紫微
<里の灯へ山を下りぬ春の暮>でしょうか。
○昭和の日君が股肱と励みたる
この「君」が誰を指すのか。こういう時に句会の構成メンバーが判っていると
理解の手掛かりがあるのですが。
「昭和の日」=昭和天皇=君。「股肱と」=天皇との関わり(民草としてでも)あ
り。
更には、そこを踏まえながら、一転して「君」=恋人。という「読み」も可能
なのです。
昭和15年の「新興俳句弾圧事件」では、「赤い」と書くと=思想的に「赤」を表している!と拘置されたのです。俳句の短さ。「読む」って自由で難しい!
○奥多摩はどこも水音風光る
○いつまでも雲を見てたい春の暮れ 山野いぶき
春霞晴れぬ心を抱えおり
○春障子臥せっておれば無音かな
<その中に臥せて無音の春障子>
○新鞍馬天狗に夢中春の夜 有楽
なにやら歌舞いた鞍馬天狗でしたね。杉作少年が達者でした。
○競い合う散る花片の髪飾り
○木蓮を目印にとの友のメモ
「打座即興」も「俳句」の楽しさ。
○点滴の一滴ごとや花は葉に のぼる
○うす塩の病院食や鳥帰る
○春の暮汽笛が身体うちのめし 美原子
船の汽笛でしょうか。思いがけない大きな音。別れの哀しみの深さでしょうが、「うちのめし」はいささか強すぎます。
<大いなる船笛残す春の暮>とでも。
○覗いたためか卵落として巣を去りぬ
燕か雀か…。心にある自責の念。
垣手入れ振り向けばもう後姿
○春夕コーヒーケーキ500エン 意久子
何となく気だるく、何となく幸せ…。
○辛夷さき逝きましひととおなじどし
朝ドラの瞳に正座新年度
○娘二人 母を看護の 春の暮れ 河彦
春の暮れ 川面に映る 影ひとつ
○ノンちやんを遺して花の雲に逝く 章司
「ノンちゃん雲に乗る」は石井桃子著。懐かしい一書。そして石井桃子氏のご高齢までの活躍。追悼の一句です。
○山風や西行庵の春の暮
陰陽道先師留魂碑春の暮
<陰陽道の先師留魂碑春の暮>
春の暮れ小さき流れの淡きかな 二穂
○待ちわびし紅花の種蒔きにけり
○雨長し繭につつまれ眠りたし 明法
「繭籠り」は季語。しばしばこのように思います。
○ふらここやぐいぐい漕いで太平洋
先行句ありそうですが、なかなかに元気な一句です。
○ありがとう繰り返し逝く春の宵 悠々
かく在りたいと…。一語でもよいかと思ったり…。