道場主今月の一言

誠の恋をするものは、みな一目で恋をする。」
ウィリアム・シェークスピア
 

銀座俳句道場 道場試合第82回決着!!  

1月の兼題は 「寒風」、他、自由でした

 先回は年頭からお待たせしてしまいました。で、今回は頑張って早目に。

お知らせ一つ
  2月10日午前7時30分〜8時30分に、NHK教育テレビで、
  NHK全国俳句大会の放映があるそうです。
  再放送は3月24日(月)15時〜16時の由。        (谷子)

    寒風にちぎれ飛ぶ漁協放送。聞き取れぬだけに、緊張感が更に増します。
      「鏡開き」の、松の内を過ぎた感覚がおだやかに伝わってきます。
   「今朝の日射しかな」は、「日差し」としなかった点も含めて、一句を充足させました。
   「俳句」はあれもこれもと言わないことだ、とこういう一句を見ると思います。
       「さざめき」「春の波」が、新しい命を伝えます。

【入 選】

断ち切れぬ思い断ち切れ冬嵐        みどり

「断ち切れぬ」「断ち切れ」の畳み掛けが、思いの深さと冬の嵐の
     強さを伝えて、効果をあげています。

 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

 寒風や耳たぶ赤くペダル踏む              方江
廃屋となりし官舎に寒き風
寒風や子等の声とぶ河川敷

寒風や地震(ない)追悼の燭あまた       吐詩朗
駅階段吹き上ぐ北風(きた)のちからかな
    下五、結構でした。
 北風(きた)すさぶ駅のホームやオリオン座

捕鯨船 しづかに舫ふ 冬深し            あゆ
面妖な 傷 まざまざと 鎌鼬 
       「面妖」がよく働いています。

なお走る親父の気迫 寒風裡            瞳夢  
        「親父の気迫」に、なんだか皆道を開けそうです。 
縄張りの裂帛とどろき寒に入る
       建築現場でしょうか。 
 初鏡 片目でそっと眺めいる

 寒風やせわしく揺れる縄暖簾             正巳
晴れマーク並ぶ予報や寒の入り
  
初釜の花びら餅や淡き恋                高風
 初写真おどけ顔する孫一人     
     子供って、絶対に一人は居ますね。年齢も解ります。
 寒風や児らの歓声鬼ごっこ     

友逝くや寒風に向きただ歩む              照子
 塾帰りがんばる児等に寒の月   
蝋梅に夕日の影のうすくあり 
       美しい一句になりました。

朔風や爆弾低気圧来る                有楽
 スタンドの価表見上げる寒さかな
       一寸、さみしい。
 虎落笛拍子木の音夢に入る

 勧めても受けぬ盃年忘れ             竹風
 何かありましたか?「年忘れ」の開放感が今一つ。
    それとも「乗ったら飲むな」の方でしょうか。
酔う程に饒舌続く年忘れ
 吹き荒ぶ孤高に堪えて冬の月 
     「吹き荒ぶ」「孤高」「堪える」といささか重なり過ぎます。

  灯台の寒風割く灯一閃す          明法
     <寒風を割き灯台の灯の一閃>
  蕨生る空を見上げて何問ふか

  寒風や稚かと見れば犬を抱き            章司
       本当に、このような景が多くなりました。服を着せられた犬というのには、
       どうも抵抗があります。

  寒晴やひたすら走者伴走者
        <伴走者走者ひたすら寒の晴>
 青北風を切るワイナナのストライド

 寒風に頬まで帽子を引っ張れり         山野いぶき
寒風や海の藍色際立てり
 霜柱日に照らされて崩れゆく

寒風や折り紙にある山と谷            天花
     出来れば、季語を再考。
蒼天や妣に届きし年賀状
     切ない一句です。「蒼天」が誠に効果的。
春隣マニキュアの色試し塗る

 バス待つや寒風に身を丸くして           のぼる
 北風やいつも裸の仁王像
ジャンボ機のつぎつぎと発つ冬日和
     気分のよい一句。
   節分の大雪の東京は、羽田発が全て発たなかったようですが…。
  
寒風や胸に赤児を引きつける          二穂
薄氷の虹のきらめきまといけり
 小春日や翡翠狙うレンズの列

 寒風や電線ピンとはりてゆれ            美原子
 冬座敷多色づかいの布ぞうり
      並べてあるのでしょうか。
微熱あり侘助の白落花する
      <微熱あり白侘助の落ち続く><微熱あり白侘助のまた落ちて>

 太き棘春身構える冬薔薇              さかもとひろし
      <春来ると身構え薔薇の太き棘>「春」「冬」と一緒に使わぬように。
枯れ花に残る誇りや冬薔薇
 裸木にも言い分ありし冬薔薇       

寒風や鴎外橋の待ちぼうけ                よし子
冬晴れや白虹句碑に歩み寄る
 大甕を叩きて春を捕らへけり 
     もうほんの一寸踏み込んでみて下さい。

寒風に空青々と沈黙す                   みどり
 手に刺ししブローチの針寒の夜

寒風や引越しトラック連なれる              弘子
 冬晴れや時の裁片切り取りぬ
 「哲学」という名に惹かれ冬小経
         「小径」?京都の「哲学の道」でしょうか。

北風やサッカーファンの赤うねる             萬坊
初富士や盛り蕎麦すする真向かひに
神主は園長先生初もうで
      自在に楽しそうな三句でした。

縁側に爪を切り居り春はそこ                意久子
 北風に祖母の名を呼ぶ夢の中
 拍手する母を重ねるテレビ前
        在りし日の母上の姿。折にふれ…でしょうが、季語を考えてみて下さい。

 寒風を逃れデバ地下物産展           亀山龍子
 古雛返して足裏の白さ知る
    <足裏の白さありたる古雛(ひいな)>
 待望の孫は女の子や雛飾る
      おめでとう存じます。

寒風や己が力を試し漕ぐ          満子
 よく「雪を漕ぐ」と言いますが、「寒風」の強さが伝わります。
正月の空は真っ新星揃う
 何ひとつ変らぬままや去年今年

 寒風に供花撒き散らす霊地かな           薫子
冬うらら睫毛の長き陶の猫
       ディズニー映画の猫がモデルでしょうか。睫毛の長い、尾の長い美猫。
ポケットに去年のおみくじ吉とあり 

寒風や「愛」てふ姉の満中陰           紫微
 生と死を分つ一夜の虎落笛
 神仏の加護あり今日の除夜の鐘
  
 元日や風にたなびく満艦飾              悠々

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