道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第80回決着!! 11月の兼題は 「山茶花」、他、自由でした。
今年も後半月になりました。年々、何と一年の早いことかと思います。 |
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濃く懐かしむ為の法要が、遠ざかっていくことの確認に繋がる寂しさ。 |
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さみしい景と言えば言えますが、凛として。寝室にまで書籍、紙類の氾濫、侵食の中に居る筆者としては、死後の景だけでも、斯く在りたきものと、ふいに思ったりもして…。 | |
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白という色の美しさと厳しさ。「一途」という言葉も又。「その」が、読者を掴まえて白山茶花の散り敷く世界へ誘います。 |
【入 選】
焼芋買へば古新聞に地震のこと のぼる 「古新聞」というのは、何かしら懐かしくあたたかい感覚を与えます。熱心に読んだりして。このような素材の句は多いのですが、この句は、「地震」によって、すぐに古びるニュース、「新聞」という「新」の言葉などに思いが広がっていきます。 |
しぐるるや塩大福の塩かげん 萬坊 「塩大福」って、なかなかの発明(塩餡がそもそも発明ですが)、と思っていますが、「時雨」に似合いますね。 |
金髪のやうな枯れ萩かかへ刈る 内藤吐詩朗 「金髪」という萩の花とはかけ離れた一語が、よき日和の中の萩の黄葉を存分に想像させます。「かかへ刈る」という設定も「金髪」を受けて巧みでした。大事に愛でている萩であろうと思わせてくれます。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○冬枯れに水琴窟の遠き音 美原子
廃屋の蔦からましお茶の花
<廃屋の蔦を絡ませ>でしょうか。「蔦」「茶の花」と植物二つを同時に使わない方がよろしいです。
尚、「お茶の花」と使用している句がありますが(歳時記例句でも、有名俳人でも)、賛成出来ません。
○屋根葺きの脚軽やかに木の葉散る ほむら
冬もみじ 火群 思はせ 根来寺 あゆ
「思はせ」が一句を弱くしています。
○敗荷や 居丈高なるまゝ 折れて
○秋の声李白吟じぬ黄鶴楼 紫微
<秋声や>と。
○爽やかに長城に立ち八十路なり
結構でした。私ももう一度「長城」、というより中国に、と願っています。
飽かず見る五百羅漢に秋日射す
○山茶花の白さ残して暮れにけり 正巳
大根やど根性の子沢山
<ど根性の子沢山なり大根引き>
○大根引き生駒山にも雲はなし
山茶花の紅白庵の屋根を越え 方江
○秋祭りひよこの軽さあたたかさ
やさしい一句です。
お多福もひょっとこもいて石榴の実
○老いらくのままごとしたや返り花 有楽
高台寺木枯らしゆくや京灯
一昨日京都から戻りました。「京灯」は「祇園」でしょう。一寸、京都案内になりました。固有名詞は難しいですね。
○車窓ゆくこころ枯れたる国の色
この「枯れ」は季語としては微妙ですが…。
しみじみと色即是空夜半の空 高風
洋食の箸休めとて菊膾
洋食も箸が付くご時勢。「箸休め」も変ではないのかもしれませんが…。
○童謡の山茶花孫と家路かな
多分「たきび」の歌でしょうか。繋いだ小さな手のぬくもりと小春日和のあたたかさが伝わります。
○山茶花の散り敷く朝の通学路 照子
○暖炉焚き落着く場所の決まりけり
○冬紅葉せかるる如く散りてをり
三句共しっかり書けています。身辺の小さな事をしっかりと見て、観て、視てゆきましょう。
○山茶花の絨毯の赤まばゆかり 竹風
<山茶花の赤の絨毯まぶしめり>
リズミカル大空群れて鳥渡る
尾花揺れ空の広さよ雲流る
<尾花揺れ空の広きを雲流る>
山茶花や薄暮に浮きし坂の道 薫子
○紅葉して鞍馬の茶屋のきな粉
「きな粉餅」かと、勝手に補いましたが…。
○ジーパンの客乗せ初冬の人力車
山茶花の香りや街道沿いの家 山野いぶき
○暮早しさっさと風呂に入りたり
何やら気合充分。さて「長き夜」を…。
○秋灯やお詫び映像長長と 亀山龍子
何だかひどい年でした。大臣、老舗、名産…次々と。
○コスモスの色の分れ目別れ道
○山茶花や和紙ひたひたと漉きし音 萬坊
「漉きし」ではなく、「漉く」の現在形を再考して下さい。
○折れ曲がりの一世のごとく枯はちす (いっせ)
○山茶花の咲き次ぐ日より続きかな 二穂
「日和続きかな」と。
色どりに庭いちめんの柿落葉
「彩りや」でしょうか。
小春日やフェルメール展人のおび
<小春日やフェルメール展に人並び>
ひと逝きて山茶花のぼる朝の道 みどり
「山茶花の道〜坂」を上るのでしょうか山茶花が上っているようになります。
蔦からみ竜昇るごと冬紅葉
<竜昇るごと蔦のからみし冬紅葉>
○寝付かれず「深夜便」聞く冬の朝
○教へらるまま山茶花の角曲がる 弘子
○吾亦紅実直という宝物
○母恋ひにうづくまる娘や石蕗の花
切ない一句でした。
○さざんかや手話の手の先やわらかき 明法
きらめきて風にからみて七五三
<七五三きらめく風のからまりて>
声高に武勇伝なり榾赤し
<声高な武勇伝なり榾赤し>
○山茶花の濃き紅あふる丘の午後 のぼる
○招運の御みくじ吉と一の酉
一輛の銚子電鉄山茶花の白 意久子
<一輛の銚子電鉄白山茶花>
○事務室の初ストーブや人を待つ
○冬初め捜し物して一日終え
茶花を薔薇と見紛う宴終わる さかもとひろし
「山茶花」
山茶花の散りそめし道狆の行く
人の背越え黄落銀杏風に舞う
「風に舞う」がありますから、「黄落」は必要ありません。
山茶花やすこしの米と母の絹 章司
「すこしの米」と「母の絹」が交換された、という記憶でしょうか。
<山茶花や米に替りし母の絹>
○山茶花や左右に猫のわかれたる
面白い一句。山茶花日和の下での一景。
○硝子戸の外のさざんくわ漱石忌
○山茶花や何時も掃いてる翁あり 瞳夢
○一夜明け元の木阿弥落ち葉降る
誠に誠に。
○観光の冬日に速し人力車
○山茶花や未だ半袖小学生 満子
時々見掛けます。元気でよい、と思っていたら、身体に負担が掛かりすぎる、と
いう医師の見解もありました。(閑話休題)きっと元気な男の子ですね。
豆腐屋のラッパの音の愁思かな
「秋思」でしょうか。
啄むは鳥実紫まる坊主
<今日もまた鳥来ておりぬ実紫>
○山茶花のぱらぱら零れいと寂し 内藤吐詩朗
<山茶花のはらはら零れいて寂し>
○クリスマス蝦蛄サボテンの紅きよし
山茶花に明日を問われて黙りこむ 悠々
「黙す」という言葉があります。
<山茶花に明日を問われて黙しいる>
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