道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第75回決着!! 6月の兼題は 「 蛍」、他、自由でした。
○水不足、集中豪雨、それぞれのお見舞い申し上げます。 |
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小さな子供たちが整列している様が活き活きと書かれています。 「浜辺」「海開き」といささか重なりますが、かえって、なにやら 海を前にした緊張と喜びにあふれた感じが強く伝わりました。 出来れば「良い子」ではなく、「良き子」と。 |
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伸びやかな一句でした。広げた両手がまるで翼のように思われます。 | |
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はるかな日の闇は、ことさらに濃く深く…。なればこそ、蛍火も更に 美しく思われるのでしょう。眼前の蛍の火に思い重なる歳月。 |
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【入 選】
蛍火やあの杜かげにかの聖堂 章司
杜かげ」で、この聖堂がチャペルなどではなく、湯島聖堂などというものかと。 |
パン黴びて所在なき日のひとり者 瞳夢 同じ「黴」でも「パンの黴」ということで、「ひとり者」というよりも「所在なき日の」の方へ重点が移っています。そのことで、軽みがでました。 |
光りにも匂ひのありき蛍籠 有楽 「蛍」の匂いを直接的に言わず、「光にも」と持っていった点お手柄でした。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○落ち蛍思い直して飛びにけり 正巳
遠望は紀ノ川あたり栗の花
<紀ノ川は輝くあたり栗の花>
塀越しにこぼれて散るや柿の花
○遠き日や蛍の夜々の逢引も 吐詩朗
過去はみな美しく切なく…。
鯉の口蓮の浮葉の間に集ふ
<鯉の口蓮浮葉(はちすうきは)の間に集ふ>
○うすものの句会の友の紅あはし
○新樹濃しメトロ顔出す御茶ノ水 満子
磴にしてどっぷり浸かる宮若葉
○蛍火や手術日決まるとメール受く 亀山竜子
○菖蒲園ゴム長靴の泥乾く
対岸のほたる足下忘れさす 方江
○蛍舞う村人だけの通り道
○おおきいな源氏蛍と君の肩
○幼くて蛍の闇を怖がる子 二穂
風蘭の微かに香る夕べかな
○狭庭には母の残せし鴨足草
○ちよろづの恋の明滅蛍の樹 章司
○ぶだうの木々おりいぶの木々蛍の灯
見事な景かと。
○指先の蛍のにほひ茵まで(しとね) 萬坊
○のぞく吾が目のなかにをり熱帯魚
小流れに灯りしばたく初蛍 のぼる
○緑立つ紙飛行機は風に乗り
熱帯魚地下の喫茶を彩りて
「彩りて」が再考のポイントです。
○映画「眉山」 蛍の乱舞 懐かしく 河彦
○きらめいて 木陰に子育ての 母五人
若いお母さんたちの輝き、いいですねー。
<夏木立子育て中の母五人>
「きらめきて」を削ることでかえって若い母親のキラキラした感じが
伝わるでしょう。
○吹き抜ける 風を相手に 一人酒
充足の一人酒。
人生はおもろうて悲しき蛍の夜 さかもとひろし
○蛍狩り甘きも苦きも恋もどき
○川面濃く友恋うている蛍の夜
○木橋行く人影淡し雨蛍 薫子
○トテ馬車の御者の茶髪や麦の秋
現代の御者像。
○時刻違ふ3個の時計明け易し
結構ですが、3個は「三個」と。
鳴かぬ日も鳴く日もなくて蛍かな 瞳夢
「泣かぬ蛍が身を焦がす…」とは古謡にも。
○初夏やジーンズ似合う孫となる
明滅の ホタルに合わせ 首を振る 花子
○ホイッスル 鳴れば集まる 玉の汗
「集まる」がなかなか面白いところです。
○どくだみの 売られているに 驚きぬ
何もかにも「売られている」昨今ですね。
母の日やアルバム広げひとりごと
○風に乗り客間にふいと燕の子
○問診の手話の手かろし風薫る
○蛍狩り木道にある湿りかな 天花
○半夏生金太郎飴の歪む顔
赤冨士や水の美味しい処に住み
<水美味き処に住みて夏の富士>でしょうか。
○蛍雪の文字いつしか消えて失せ 意久子
<蛍雪の文字のいつしか>か<蛍雪の文字のいつしか消え失せて>かに。
ただし、この一句、夏の句なのか、冬の句なのか…迷いますねー。
蚊帳をつり蚊帳を繕ふ祖母とゐて
「蚊帳をつり」「蚊帳を繕ふ」のどちらかに限定しましょう。
梅雨晴間孫にハンバーグのメールかな
「ハンバーグのメール」というのは、「今日のご馳走ははハンバーグだよ」というメールなのでしょうか?
○飛ぶ螢母の化身か吾れの掌に 竹雄
「魂かとぞ」とは古来からの蛍への思い。
早乙女の姿なつかし機械植え
鯖寿司をバッテラという母の味
蛍舞ふ銀河鉄道見ゆるかな 明法
<蛍狩銀河鉄道見ゆるかな>
○大器晩成となぐさめてをり蝉時雨
○煙突の影地に灼ける蝉時雨
○蛍を少女のように追いし母 山野いぶき
○木漏れ日を浴びてぼうふらうれしそう
素直な一句。この頃「ぼうふら」なかなか見ませんねー。
○白南風や実家の二階でまどろめり
○掬ひたる指透き通る夕蛍 紫微
ここまで美しく詠むならば、「透き通る」ではなく「透く」で書く工夫を。
○明治帝祀る宮居や花菖蒲
○日に映えて白帆のごとし水芭蕉
○父祖の地やほうたるに魂(たま)あるらしき 洋光
○あぢさゐの百態百色水を欲る
噴く水の教へてくれぬ風の向き
○眠ったら母が蛍を出してくれ 有楽
消えたのはいくさの最中螢川
「蛍川」が消えたのか、誰かが消えたのか?誰かを書いた方が、しっかりとした句になりましょう。
ほたる宿青光群れて会議中 みどり
童画風なのでしょうが、「青光群れて」がその雰囲気を壊しています。
○わが蛍こころに棲まわせて闇をゆく
天目指しらせんに咲絹文字摺草
○初蛍踵に微熱ひきずる夜 弘子
胸薄き少年は塾梅雨の月
「少年は塾」が句を小さくしています。
<少年の胸の薄さや梅雨の月>でしょう。
○竿鳴らし帆になるシーツ青嵐
一年を生きた証のほたるかな 美原子
髪洗う男の指に揉まれけり
「揉まれけり」を再考。男性美容師でしょうか。<男の指に髪洗われて…>
○草取りの生の葉重き二袋
何だか、ずしりとした重さを感じさせるリアリティがあります。
○喧嘩して佇む先の蛍かな 悠々
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