道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第70回決着!!
「雪だるま」は難しい兼題でした。ついつい子供っぽくなるか、寂しいものに |
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夜の寂しい雪だるまの姿が、しっかりと影絵のように書かれています。 | |
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誠に難しいこの結びの言葉。「竜の玉」が絶妙でした。 | |
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一段落した後の静かな神社、そして参道。すでに春めいた日差しも、と感じるのは、 「長寿箸」「残り福」のよろしさからでしょう。 |
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【入 選】
老一人 雪だるまでも 作ろうか 花子 |
白梅や連載小説の結末 だりあ あまり思いがけない結末ではなかったような感じが伝わります。 |
福枡の焼印濃かり春来る 天花 節分の福枡。その焼印の濃さが、立春の日差しの中で、 くっきりと春を告げるようです。 |
月影の満つる校庭雪だるま 章司 昼間の賑やかな声が幻のような静かな静かな景色です。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○雪だるま一つの命生まれます 方江
毛糸編むおなかの子はすでに女
生まれる前から胎児の性別が解るのも何かしら落ち着かないものですね。
「すでに」というと、胎児が女の子っぽい、という感じにもなります。
しきたりのうすれ行く夜や芋頭
「うすれゆく世」ではないでしょうか?変換ミスでしょうか。
女手や 枯野となりし 休耕地 花子
○戯れし 番いの鳩や 冬うらら
だるまツアーもあって能登の旅 竹雄
どんなツアーなのでしょう?
硝子越し廊下ほのかに寒の月
「寒の月」に「ほのか」はどうも…。
○雑煮餅こんがり焼けて匂ひけり
土地によって、雑煮はそれぞれ。広島だったか、餡餅が入ると聞きました。
雪達磨プラスチックの炭火かな 正巳
〈雪達磨プラスチィックの炭の眉〉でしょうか。
○初空や遥かに白し那智の瀧
未曾有宇の人出となりし初詣
ハイヒールブーツを追ひ抜く師走かな 竜子
○筧鳴るリズム正しき寒の水
宅配便村起してふ雪だるま
〈村興してふ宅配便の雪だるま〉ですか?
成人の孫にしゃしゃり出てツゥーショット 意久子
○糠床の朝の機嫌の好かりけり
冬も糠漬けを頑張っておられるようです。敬服。
雪だるまの自慢の孫も二十歳となり
「雪だるまの」の「の」がよく解りませんが、一句目と合わせて、お孫さんの成人を
全身で喜んでおられるのが伝わります。
○小さき手の小さく丸めし 雪だるま 瞳夢
○魂燃ゆる雪の信州無言館
冬最中の「無言館」での感動が伝わります。
断崖の波のとどろき冬鴎
○泣き面の絵本の中の雪だるま 薫子
富貴豆の小皿に淡き初明かり
○鶏がらを煮出し男の七日粥
男のグルメ料理っぽいですね。
○炭の眉隆盛像の雪だるま 吐詩朗
○初夢と獏も消したる妻の声
○柿啜り皮を残せる鳥の遊戯(ゆげ)
見事な鳥の技を「遊戯」とは言いえて妙です。
○黄昏れてべそをかきたる雪だるま のぼる
○ネクタイの派手目を選び初句会
頑張ってください。
左義長も許せぬ地球温暖化
○目と鼻が泣きそうになりだるま溶け 有楽
○紋付きのフジコ初弾きCampanella
○雪よ降れ平成汚濁覆うほど
そうすれば、見掛けだけでも「美しい国 日本」ですね。
○雪達磨ぽんとたたいて通り過ぎ だりあ
春を待つメタセコイアの実の震へ
○あれこれと飾りを付けて雪だるま 二穂
どんな雪だるまができあがったのでしょうか。
パン屋へのみちは山茶花咲いた道
○臘梅の匂い青空よくにあう
うつくしき虚飾は要らぬ雪だるま 章司
○標的は裸足の先生【せんせ】雪合戦
○福熊手かかげて門に雪達磨 あゆ
影ふたつ杖音一つ年歩む
季に合わせ選りたる切手は雪だるま 満子
○初鏡きりりと帯の決まりけり
気持ちのよい句です。
○印象派の空を透かして冬木立
○雪だるまダイエットしてる気配かな 天花
木の皿の反りの滑らか春隣
○ぽてぽてと桟橋の揺れ雪だるま 萬坊
浮桟橋でしょうか。今日は船の出港は見合わせられてもいましょうか?
和紙白し寒九の水を霧となす
「霧となす」のがどういう状況か見えてきません。
○陽は山に柚子湯に崩す五体かな
○冬うらら発電風車回りおり 山野いぶき
幼子の「こんにちは」とう冬日和
〈「こんにちは」という〉の方が、一句がしっかりしてきます。
○凍星や漁火三つ並びおり
○木仏の金箔まみれ日脚伸ぶ 水の部屋
ミサ曲の洩れし日曜雪だるま
「洩れくる日曜」でしょうか。
○眉一つ落としてしまひし雪だるま 洋光
〈眉一つ落としてしまひ雪だるま〉
雪晴れや北越雪譜の里朗ら
餌台の冬鳥百態見て厭かず
下五で、句が小さくなります。
○認知症てふに笑みあり春寒かな 明法
下五は「春寒し」と。
重き水ゆるりすり抜け寒の鯉
○南からのカード笑顔の雪だるま みどり
○寒参り憲法九条掲ぐ寺
(多門寺)
○今日もまだ「尋ね人」あり母子草
飛礫あび大雪達磨たぢろがず 弘子
○初春や自点自服の深みどり
これぞ茶の湯の極意。
迸る矢口寒九の水甘し
○雪だるまひとり残して夕暮れる 美原子
○還暦や蕚(うてな)おとして梅咲きぬ
還暦の感慨。誠に微細な部分によく目が届いています。
○ボロ市にインパネス着る男居て
霧氷咲く韓国岳に白い雲 さかもとひろし
○高千穂野逆鉾凜と冬空に
冬腹 茨を曝して春を待つ
?。変換ミスでしょうか。
○べそかきて耐へつ立ちゐる雪だるま 紫微
○敷松葉後楽園の落暉かな
○薄雪を小笹に載せて六甲路
○新しき デジカメで撮る 初日の出 河彦
○初詣 京のうどんの 温かき
レンゲ咲く メールの便り 早々と
○雪だるま 地蔵のやうな 紅頭巾(あかずきん) 姥懐
○父祖よりの 商ひ閉じて 寒の入り
ひもじくて 赤子啼く声 虎落笛
「棄児行」みたいですね。
○ページ繰る少女の真顔春隣 よし子
○どの家も椿を咲かせ里しづか
○冬晴れや用あるごとく鳥歩む
鳥の歩き方が見えるようです。
○雪だるま武士の一分の凛として 悠々
久々に正月映画に「武士の一分」観ました。何だか最後、山本周五郎の「日本婦道記」
の一編から取ってきたみたいでしたが。キムタクの訛りがヨウゴザンシタ!
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