道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第62回決着!! 5月の兼題は 「青田」、あと2題は自由でした。
梅雨入り前から、関東地方は大雨が続きました。 |
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オノマトペが上手く働いて、燕来る頃の空気感が元気に伝わります。 | |
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「火星」に水があるらしい、ということによる楽しさ。 「金魚玉」がその火星のイメージにやわらかく重なっている。 |
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中野重治という思想堅固且つ柔らかな感性の詩人の生家は | |
【入 選】
夏兆す雫のごとき耳飾 薫子
「雫のごとき耳飾」というフレーズはよくありますが、 |
傘と傘 行き交う橋や 菖蒲園 花子 雨の菖蒲園の風情がゆったりと書き留められています。 |
椎の花 里にもうなき 坊主山 あゆ
「坊主山」と親しまれていた山の姿、その頃の幸せな時間が、 |
風渡る八丈島の青田かな 竹雄
悲哀の歴史を負う八丈島の眼前の豊かな青田の景色。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○越後路や山もやさしき青田風 薫子
○ 灯台につづく坂道黒日傘
○青田風 農に生きたる 父想う 花子
○母の日や 納屋に眠りし 背負い籠
俳句をやり始めると、このように、胸中をかすめたり、胸にしまったままにしてしまうことも、残しておくことが出来ます。ご両親へのよき供花かと。
○見晴かす ひとめぼれてふ 青田かな あゆ
ニンフ め
○母の日や「妖精の瞳」てふ 花が来し
「妖精の瞳」 は紫陽花の鉢植ですが、変った花弁で、秋まで咲き、最後はグリーンボールに変化とのことですが---さて?
贈ってくださったお子様に、この一句をお届けください。その時のお母様の笑顔を感じてくださるでしょう。
○電柱のカラス見ている袋掛け 竹雄
○歩を合わせ呉れし友逝く走り梅雨
三句とも結構でした。
○神の座を連ねて越の青田かな 洋光
「神の座」がもう少し伝達性を持てば…。
○初夏のワイシャツ糊をよく利かせ
○師の句会果てて帰るさ虹二重
○葉の裏を返して寄せる青田風 正己
〈葉の裏を返しては寄せ青田風〉とすると、動きが生まれましょう。
ベランダに三つ並べて茄子の苗
茄子の花は千に一つの無駄もない、という言葉を信じて、ベランダで作ったことが
ありますが、見事失敗。有角家の茄子が見事に実を結びますように!
老木に重たき程の棕櫚の花
驀進の青田振り分くバイク音 瞳夢
〈青田振り分く驀進のバイク音〉と
彳亍の曾孫の揺れる庭若葉
「揺れる」がもうひとつ…。 曾孫ちゃんの句を沢山作ってあげてください。
○少年の草笛高し久留里城
○青田風一両電車山に入る 方江
○頂に雪遊ばせて山笑う
夏柑 の明るさだけの空家かな
〈夏柑のただに明るき空家かな〉
○コーラスの声運び来る青田風 のぼる
○ぼうたんに寄りて離れず車椅子
白牡丹うなだれて咲く昨夜の雨
昨夜の雨の重みが想像されればよいので、
〈白牡丹にまだ残りたる昨夜の雨〉
○明日香路の石積みあげし青田かな 二穂
○かきつばた保育園児の散歩みち
つる薔薇の咲き乱れたる古き家
○青田風巻機山の肩に雲 水の部屋
○薫風や毘沙門天の落語会
○梅青しポルシェの見ゆる長屋門
○万屋の前にバス停青田風 天花
○夏来たる袋小路に子らの声
幼子と指きりげんまん夏は来ぬ
○麦秋や家蔵残る須磨古道 龍子
○ビルとビル繋ぐ青田でありにけり
○枇杷熟るる漸く取れし手のギブス
なによりでした。
いい事の無き日の続く青田かな 門次郎
〈よきことのなき日続きぬ青田風〉
泣止まぬ子に驚きの祭りなる
あれやこれ母や牡丹に疲れけり
〈あれこれの牡丹に母の疲れけり〉
青い田が都市計画のように見え 有楽
面白い発想です。
〈都市計画の如並びたる青田かな〉
シャネルビル マロニエの花咲き初めり
○リンデンの並木通りの薄暑かな
母の日に伏してなを母に世話やかせ 美原子
〈母の日の母に看取られいたるかな〉
○人の居ぬ洗い張り屋の藤の棚
〈藤の花(もしくは藤の雨)洗張屋に人気なく〉
〈人気なき洗張屋や藤の雨〉などと。
風薫る母にもらいし着物とく
〈若葉風母にもらいし着物解く〉
○緑陰のバス停にただ老女居り 霞倭文
○メトロから常磐線へ青田見ゆ
〈メトロから常磐線へ青田風〉の方が、原句よりも「へ」のところで「切れ」がつよくなるかと。
孫会いに産院急ぐ緑雨なか
〈孫に会いに産院へ急く緑雨中〉
○小学校うらの青田の稲荷さま 意久子
○青田風おかっぱあたまの疎開の子
師の色紙「青田のごしく」眺めおり みどり
?
○一輪の昼顔ゆれる事故現場
○天仰ぐ雄しべ一本つつじ散る
○縁側の茶請けはこうこ青田風 弘子
○牡丹剪るその一瞬や息を止め
走り梅雨返事を出せぬ青ポスト
青田の中青春鮮やか記憶箱 坂元宏志
○枝に朽ちて尚薔薇の形雲疾し
「雲疾し」が少し強すぎて、朽ちながらまだ形を保つ薔薇の印象が薄くなります。
梅の実の青さも青し虹の空
「青梅」「虹」季語です。
〈梅の実の青さも青し雨後の空〉
菖蒲野や山姥駆ける気配あり よしこ
少年のまなこ澄みたる青田風
俎板をきらうや鰹 佳き御沙汰 老松
青空を青年遍路 青田波
「青」がいささか重なり過ぎます。
四匹め 猫の引越し 藤寝椅子
何処から何処へ?籐寝椅子へ、でしょうか?
満々と水張る青田鷺三羽 紫微
「青田」では水が主役ではありません。「水田」「植田」なら水が満々とみえますが。
○短夜や六十年の裏話
○籠枕古武士の如き祖父なりき
○歓声の 匂ふ球場 青田風 姥 懐
峡四五戸 憲法記念日 反旗めく
何が「反旗めく」のかを。峡の四五戸が…でしょうか?
○錆深き 老舗のシャッター 春の雨
○小海線の 車窓に青田 連なりて 河彦
みどり風 二人の部屋で 受け止めて
○郷愁を 食べるルビーの ゆすら梅
青田あり猪苗代湖の茫洋と 萬坊
○駅長の小さな畑豆の花
懐かしさの篭った一句です。
○青田には青田の匂ひ母もどる 章司
○なつかしきこの青田風父の家
ふんはりと朝の気のせて青田かな あきのり
頬赤く歩める吾子に青田風あい
○ ひと雨の間を入れての日永かな
○車窓には青田車内ではケータイ 山野いぶき
○荷を解くおかえりなさいと春の月
○ぶらんこのいまだかすかに揺れており
○青田すぐそこに広がる館かな 満子
薫風や白詰草の首飾り
「薫風」「白詰草」ともに季語です。
〈そよ風や白詰草の首飾り〉
○余花に会ふ信濃の奥の山の道
○反戦の並べしブーツ緑濃し 悠々
戦死した兵士のブーツを並べた景は、強いメッセージを発しました。
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