道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第58回決着!! 1月の兼題は 「初詣」、「雪」、「冬の牡丹」 でした。
「春光」という言葉が思われる日々となりました。 |
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美しい一句でした。「冬牡丹」というと、つい紅とか白とか 詠みたくなるのですが、月下、一気に「銀」と断じたのは手柄でした |
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雪の降る降誕祭を思いました。「顔のドレミファ」が、大きく開けた 口のそれぞれを伝えて楽しいですね。 |
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「影よ光よ」で、寒晴れのよき一日が思われます。 | |
【入 選】
冬牡丹よそゆきの娘ら通り過ぎ 山野いぶき 冬牡丹なので、よそゆきの娘たちの姿、華やか過ぎず、清潔で可憐さが伝わります。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○今の世に戦友なく九段へ初詣 傘汀
○落柿舎の蓑笠ほしき寒牡丹
初詣犬はよろこびけ立てけり 京羅坊
何を「け立て」たのでしょう?
雪のなか乙女占う神の池
○藁苞にほほえむ冬の牡丹かな
願いごと欲張り過ぎて初詣 竹雄
「過ぎて」か「過ぎし」か。
○御降の積りに積れ吉事かな
「…今日降る雪のいや繁(し)け吉事」と、古歌にもあります。
それを踏まえつつ、「積りに積れ」に、心の昂ぶりがよく伝わります。
冬牡丹いや葉牡丹を飾りけり
そのかみも同じ願いを初詣 瞳夢
○ぬくぬくと藁苞にいる冬牡丹
○狼の跡一直線雪に消ゆ
野性味横溢。
○押され行き 願い八分の 初詣 花子
降り止まぬ 雪と対峙す 越後人
〈降り止まぬ雪と対峙の越後人〉と
初雪や 韓の扉を また開く
「韓の扉」が、よく解りません。
○手水場の筧も青き初詣 正己
雪の屋根腕の日の丸頼もしき
「雪の屋根」というと雪降ろしみたいですが、トリノでしょうか?
○藁菰の奥に寄り添い寒牡丹
大きく咲いても、何かひそとした寒牡丹の感じが
よく伝わります。
初詣初寅の寺善男女 景子
○雪ン子の帽子そのまま冬牡丹
これもまあ庭木の上の雪おろし
これでもまあ「雪おろし」かと…。
ご近所の小さき神社に初詣 山野いぶき
〈ご近所の小さき神社初詣〉
○雪の中ひとり住まいの母いかに
○初詣やさしく雨の降る道を 章司
ベランダに一羽雀や雪しきり
○海鳥のこゑ切れぎれに冬牡丹
嗽ぐ水の甘さや初詣 洋光
○辞するとき父母の家雪霏霏と
出来れば〈霏々と雪〉と
○朱の鳥居くぐりて百歩冬牡丹
肩越しの小さき祈ぎ事初詣 もとこ
○区切られて待たされている初詣
大きな神社の初詣風景。
寒牡丹あやうきまでに緋をひろぐ
どうも、「冬牡丹」とか「寒牡丹」というと、「あやうきまで」という
言葉が似つかわしくないのです。いっそ
〈牡丹(ぼうたん)やあやうきまでの緋をひろぐ〉の方がよろしいでしょう。
学僧のよく剃るつむり初詣 龍子
「よく剃るつむり」は「見事なつむり」とか「青きつむりや」とかに。
冬牡丹菰より覗く紅の濃し
〈濃き紅の菰より覗く冬牡丹〉と。
目測で根雪の菜掘る朝餉かな
〈このあたり根雪の菜掘る朝かな〉でしょうか。
初詣餅搗きはやす三味太鼓 吐詩朗
遠嶺を舐める狂気の雪しまき
雪の恐ろしさを書こうとされたのでしょうが、言葉がいささか
先行しています。「舐める」という遠景と「狂気の雪しまき」という取り巻かれた感覚が少しズレま
す。
どれどれと人の狐狸の目冬牡丹
〈どれどれと目を集めたる冬牡丹〉
男坂登るひとりの初詣 美沙
○大雪の国へ母訪う夢幾夜
○教え子の巣立つ日迫る冬牡丹
ポスターの画鋲錆びをり寒牡丹 天花
寒牡丹園のポスターなのでしょうが、
これでは寒牡丹のポスターになってしまいます。
○初詣お国訛に振り返る
「ふるさとの訛なつかし…」ですね。
雪狂う郵便受けにすのこかな
どういうふうに「すのこ」をかけているのでしょうか?
○ぼろぼろのGパン流行る初詣 門次郎
正面に雪の富士この道の好き
〈この道が好き正面に雪の富士〉と
客待つ間三十分や冬牡丹
〈客を待つ三十分や冬牡丹〉
○行終へし僧のきびすや寒牡丹 水の部屋
○風鐸のゆるる音かも夜の雪
町川にべか舟一艘初詣
揚げたての饅頭後で初詣 とみゐ
「後で」は削りましょう。〈揚げたての饅頭の香や初詣〉。
静寂に窓明け見れば雪匂ふ
〈静けさに〉でしょうか。
藁囲ひ冬の牡丹のコスチューム
○雪煙るビルに彩ある人の影 薫子
世の悪に染まりて溶けし雪の色
中七まで少々言い過ぎ。
〈穢れたるこの世に溶けし雪の色〉でしょうか。
編み藁の温み秘めたる牡丹の芽
うぶすなに兵士の手紙貼られをり 意久子
靖国でしょうか?
○叔母逝きて庭にのこれる冬牡丹
○雪催小さきカップを掌に囲み
〈雪催デミタスカップ掌に囲い〉と。
○初詣鳥居の上の願い石 方江
観察が行き届いています。
○雪掻きて子等を迎える教師かな 方江
石光寺低き藁苞冬牡丹
○不揃いの雪舞い踊る試験の日 霞倭文
「不揃い」が、試験の日の不安感をよく伝えます。
○新築の介護ホームや冬牡丹
二人こそ日昇るなか初詣
「こそ」が、作者の気合程には、読者に伝わりません。
空間近か雪原滑走スキーヤー さかもと ひろし
○白い雪白い海鳥関門峡
雪賞でる情趣何処屋根崩る
屋根が落ちたのですか?屋根の雪が落ちたのですか?
○沈々(しんしん)と雪降り沈(しん)と雪の音 よしこ
〈深々と雪降りしんと雪の音〉
○初詣猫背の君のあとを行く
山門に立つ若者に雪の積む
このままでは埋もれてしまいます。
〈山門に立つ若者に雪吹雪く〉くらいで。
○襟足の匂ふ結ひ髪初詣 あきのり
雪の夜やとんとん夜なべの音のして
このままの情景なのでしょうが、
「雪」「夜なべ」と季語ですし、「雪の夜」「夜なべ」と
重なります。
〈雪の夜やとんとん働く音のして〉と。
○不器用に孤独に生きて冬牡丹
○初詣来る人みなが戦友に似て (靖国神社) 有楽
切ない一句です。
○街の灯は水晶のごと雪凍てぬ(アンカレッジ)
○宮前の賑いよそに冬牡丹(鎌倉)
○雪一色 穢れも恥も その下に 河彦
泥道を 足袋気にしつつ 初詣
「横笛」の 小紋の女 初詣
何やら艶めいた一句ですが、括弧で表現された「横笛」がどういう意味なのか。
滝口入道の「横笛」のような女性なのか、「横笛」を吹いているのか、今ひとつ解りにくいです。
体調の宜しと決めて初詣 のぼる
○土鳩来て何ついばむや残り雪
○からす二羽はや侍りけり初詣 萬坊
○ひと尋(ひろ)と雪の深さ答へけり
ひと尋と雪の深さを答へけり
○参道の露店も楽し初詣 満子
○ふる里に向かふ翼下や富士は雪
藁菰の中で微笑む冬牡丹
瞳に笑みや 袖する人の 初詣で 姥懐
○豪雪の 闇深くして 玻璃の悲鳴(こえ)
出来れば「悲鳴」をルビで「こえ」と読ませるのは避けたいものです。
〈豪雪の闇の深さや玻璃軋む〉と。
○玉砂利を踏む三世代初詣 紫微
○限りなき雪原に立つビーアンビシャス
姫君の菰被りたり冬牡丹
○狛犬の鼻まんまるき初詣 だりあ
許しがたきことの起これり冬牡丹
中七を受けるのには、「冬牡丹」では不足でしょう。
○折鶴の尾の尖れれる春の雪
〈折鶴の尾の尖りたる春の雪〉
雪の道グラデーションの轍描き 美原子
雪積り廃墟に見えし副都心
○雪降れり墨する音のやさしさよ
○すれ違う顔生真面目な初詣 みどり
音のなく発熱のまま雪暮れる
「発熱のまま」が作者自身のことならば、もう少し推敲しましょう。
〈熱の身に音なく雪の暮れにけり〉
○老婦人声かけ佇む冬牡丹
○氏神の篝つつまし初詣 弘子
身にひそむ獣眠らせ雪積もる
きちんと書かれていますが、先行の詩歌あり。
占いてうなづくをんな冬牡丹
もう一歩、深く。
○こもかぶり一光有りて冬牡丹 老松
○立錐となりし参道初詣(伊勢神宮)
○明けそむる梢 嫋やか銀世界
この調子でお書き下さい。
○み熊野の闇に篝火初詣 あゆ
○ひらひらと紀の大島に雪が降る
○藁苞の雪より白き寒牡丹
句が、よく揃っていました。
豪雪や老いた人のみ死にゆきて 悠々
国の力が行き届いていない弱い土地と、そこでの弱者があぶりだされたような雪害でした
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