道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第55回決着!! 10月の兼題は 「秋高し」、「コスモス」、「ぶどう」 で した。
ずいぶんと遅れてひたすら平伏! |
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一見楽しそうに見え、でもコワイ一句です。 | |
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ビル屋上からの秋の景の伸びやかさ。 | |
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葡萄の原産はペルシャ・コーカサス地方と言われる。その思いがペルシャの壷を引き寄せる。 | |
【入 選】
爽ビー靴のま白き一歩天高し あゆ 歩き始めた幼子。「ま白き一歩」の措辞が、一句を命となっている。 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○秋高し市町村合併初選挙 京羅坊
コスモスや黒姫山のこころざし
ロザリオのずしりと重しぶどうかな
天高し 馬肥えていく 牧の日々 花子
○秋高し 地下通路より 出てみれば
Uターン 「葡萄の里」は 大繁盛
花子さんの作は、何かしら「おかしみ」があっていいですね。
作り出したのではなく、無添加のおかしみ、だからでしょう。
○戞戞と岬の野馬秋高し? 傘汀
○コスモスや亡き人ばかり思ひめる
「思ひめる」思っているようだ、の意でしょうか。
○一つづつ皮むいてみる黒葡萄??
○秋高し飛行機雲のはるか先 方江
コスモスにひとふれもして夕散歩
ぶどう棚宝石よりも輝けリ??
○競ひ立つ剣岳(つるぎ)立山秋高し 洋光
元気!な一句。
○コスモスに囲まれてゐる幼稚園
幸せはぶどうの国に生れしこと
コスモスは薄紅が好き揺るるもよし 景子
野ぶどうは密に熟す道の辺に
〈野ぶどうの密かに熟れて道の辺や〉とするか、「野」「道」がしつこいので、
〈夕暮れや野葡萄ひそかに熟れている〉とされるか。
○秋高し洗濯物の翩翻と
○秋高し 黄昏時の銃の音 瞳夢
○コスモスの上をタンカー遅々と行く
〈コスモスの上タンカーの遅々と航く〉でしょうか。
野ぶどうの濃斑点見ゆ里の山
○金鴟尾のかがやく烏城天高し 吐詩朗
○喉すぐる種なしぶどう吉備の里
コスモスや托鉢僧の朝の駅
「托鉢僧の」の「の」を再考してください。
○秋高しチームの士気も弥高し とみゐ
コスモスや白髪より数減りにけり
食事済む骨とぶどうの皮残り
銀皿に映えし葡萄の古代色 薫子
○コスモスや古寺に猫の戯れし
「猫の」の「の」を削りましょう。?
○三山を望む故郷秋高し
秋高し久しく聞かぬ下駄の音 門次郎
○コスモスや電車混雑青梅行き
〈青梅行き電車混雑秋さくら〉でしょうか。
抱上げて手の触れさせし葡萄かな
「手を」と。
○コスモスの風のいろいろ少女駆く あゆ
透きとほる光りくるみてマスカット
○秋高し飛翔の如く三冠馬 竹雄
誠にスゴかったですね。
コスモスの揺らぎ奏でる調べかな
豊かなる乳房の如きぶどうかな
○秋高し 猫の目線に 膝折りて もとこ
ぴぃひょろろ 筋雲巻雲 秋たかし
秋の高い空が見えて悪くはないのですが、筋雲巻雲はどうも秋の季感が濃いですね。
○揺れている心は見えず あきざくら
○コスモスの野に風の声もういいかい 美沙
〈もういいかいコスモスの野に風の声〉
○実のなきことば葡萄は掌に重し
○あかんぼの手にひとつぶのぶだうかな 章司
コスモスは道の左右に下校の子
〈下校の子道の左右の秋桜〉
○秋高や湖心に白き釣りの舟
○木道を一列に行く天高し 水の部屋
○張り板より銘仙剥がすあきざくら
懐かしい景色。
○学舎は兵舎そのまま秋桜 意久子
ぶどう狩り試飲は女房亭主ウロウロ
天高し箸食卓にしずしずと
○古伊万里に葡萄一房佳き日かな よし子
○天高し溢れて馬の水飲場
○井戸ひとつ残す旧家や秋桜
こすもすの大地揺すりし気配あり あきのり
○隆起せし地層は海へ秋高し
葡萄食ぶモナリザの笑み浮かべつつ
○飛行士の 帰還報告 秋高し 姥懐
カタカナ語 いわぬ外つ人 秋桜
野ぶどうの ガードレールを 荒ぶれり
「の」「を」「荒ぶれり」の関わりをもう少しきちんと。
滝つ瀬に沿い嫋やかに秋桜 満子
「秋桜」は第一義的に「嫋やか」なので、読者の想像に任せても大丈夫です。
〈滝つ瀬に沿いて靡けり秋桜〉とすれば、滝つ瀬の流れが見えてきましょう。
仰ぎ見る棚のぶどうは如何に採る
○豊作の家庭菜園空高し 天花
六双の屏風コスモス競うかな
○絵手紙の切手逆さま黒葡萄
小さな逆さに張られた切手が、心に引っかかっている作者の感覚が伝わります。
「黒葡萄」で、この一句が完成かどうか、もう一押し考えましょう。
秋高し返り櫻花の空に溶く さかもとひろし
「返り花」は季語ですから、この句では「秋高し」は削った方がよろしいです。
〈青空に溶けゆくごとし返り花〉
○ぶどう狩り天狗に似し人混じりおり
秋高し月を釣るには高すぎし
○秋高やどのかて飯もうれしけり 老松
「秋高」と言う使い方は余り眼にしません。「秋高し」でよいのではないでしょうか。
「かて飯」は「糅飯」混ぜご飯。又、「うれしかり」です。「嬉しかりけり」の略ですから。
○背信の虚しぶどうを1ツづつ
「一つづつ」と書きましょう。
○秋桜ホテルのバーの大壺に
逆縁のかなしみ深く天高し みどり
○コスモスよともえ五十で逝きました
「ともえ」さんが、どのような方かは知らずとも、哀しみが測惻と伝わります。
友の通夜葡萄かぐわしひと無言
○天高し眼優しき三冠馬 弘子
節槫だつ手はやさしかり葡萄剥ぐ
○コスモスの何祈るかに右左
○子の頬のいつもつやつや葡萄食む 龍子
○地下鉄の地上に出てて秋桜
○組体操すっくと立ちて天高し
すっきりとよき句が揃っています。
○コスモスや佐久に旅した母に逢う 霞倭文
生前の母が旅した佐久。そこを訪ねた作者は咲くコスモスの花の美しさ、たおやかさに
元気な母の笑顔を重ねたのでしょう。
息子より合わせたい人秋高し
息子さんから「会わせたい人が」と言われたのでしょうか。「会わせたい人」とカッコがつくと
解りやすいでしょう。
店先の大小葡萄選びかね
○秋高し深海にビルそそり立つ 萬坊
コスモスの揺れしとこまで乳母車
〈コスモスの揺れるとこまで乳母車〉「とこまで」は少し口調が幼い感じがしますが。
日は西に川悠々と葡萄棚
〈日が落ちる方へ川ゆく葡萄棚〉
秋高し胸のリボンの大きかる だりあ
○葡萄食ふみんな小鳥の口のやう
○コスモスの風思ひ出のつぎつぎと
紺碧の湖(うみ)段々と秋高し 紫微
「段々と」が「次第に」なのでしょうが、「秋高し」に掛かると、上手く繋がり難い感じがします。
○秋桜群れて盛りを過ぎにけり
熟るるまで待ちかねぎしぶどうかな
○秋高し犬はリードを引っ張れり 山野いぶき
○食べかけの葡萄一房卓の上
○コスモスや休学の子の戻りたり
明るくあたたかな句が揃っています。
○天高し山並凛と甲斐の国 のぼる
○一叢のコスモス残す坊の庭
葡萄盛るガラスに透けて濃紫
○耕運機持てる友あり秋高し 悠々
小説家の佐木隆三氏は、門司港の小山(風師山)で畑を借りて作業をされています。
真
っ赤な可愛い耕運機は「織姫」と名付けられていました。七夕に配達された由。
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