道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第53回決着!! 8月の兼題は 「遠花火」「涼夜」「日盛り」 で した。
久々の選挙フィーバー。自民の大圧勝に茫然としつつ、「小選挙区制」の仕組みを身にしみて感じ取りました。 |
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〈職辞して日盛りの中帰りけり〉 添削をしても採りたい一句でした。万感が篭っています。お疲れ様でした。 |
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白く燃えるような日盛りの中の遺跡。「崩れゆく」の表記の方が、よいでしょう。 | |
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「ふるさとを枕にする」、まるごと故里にゆだねた感じがよく出ています。 | |
【入 選】
夜涼し晒に刺して青海波 水の部屋 |
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ほろほろと崩るる海の遠花火 あゆ |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
臥す人の 笑みに安堵の 涼夜かな 花子
日盛りや 通るは律義な 人ばかり
○素謡の湖面を流る涼夜かな 瞳夢
○日盛りや犬も通らぬ静けさよ
遠花火いくさ語りや夜の更ける
○遠き日の邀撃夜戦遠花火 傘汀
喜怒哀楽と友と分け合う涼夜かな
<喜怒哀楽友と分け合う>…と。
蒲焼きの匂日駅前日の盛り
○遠花火まだまだしたき事ありぬ 方江
○徳利のふれる音して涼夜かな
○日盛りを歩いて帰る一人かな
○そら鳴った遠花火にせかされて 景子
〈行くぞ!>とか、〈早く―〉とか言う声も聞こえそうですね。久しぶりの浴衣の帯を結ぶのに
てまどっているのでしょうか。
手花火と星座探しの涼夜かな
いささか材料過多。それも季語っぽいのが。
○日盛りの猫は身長伸ばしきり
〈日盛りの猫これ以上伸びられぬ〉
○遠花火二上山の遥かなり 正己
○日盛りや嬌声走るコースター
出来れば「ジェットコースター」と使いたい。
○仄暗き門を出て見る涼夜かな
○天国の人驚かす遠花火 竹 雄
人肌の懐かしかりき涼夜かな
〈人肌の少し懷かし夜涼かな〉
○ 欲かきて日盛りのなか野良仕事
この篤実さと、卑下の精神。
○遠花火ニュース松井のホームラン とみゐ
まるで遠花火が、祝意のようです。
○考へのがらり変りし涼夜かな
〈変わりし夜涼かな〉⇒がらりと変る夜涼かな
車窓より他人事に見る日盛りや
下五〈日の盛り〉と。
○若き日の父の文読む良夜かな 薫子
日盛りやリュックも軽き女坂
○遠花火音の途絶えし厨水
聴覚二つの句。静けさが伝わります。
○遠花火湖上に舟の影いくつ 洋光
駒下駄の音の行き交ふ涼夜かな
いささか道具立てが整い過ぎています。
○日盛りの陰を拾ひて帰りけり
マニキュアの刷毛ゆるやかに遠花火 意久子
〈遠花火マニキュアのまだ乾かずに〉
○切りぬきの歌壇俳壇涼夜かな
日盛りにひざ掛け冷房〆切日
クールビズにすると、〆切には間に合いそうもありませんね。
○日盛りや銀座は外つ国人の街 有楽
単に外国人が多いというだけでなく、銀座に氾濫の外資系の店並が浮びます。
間の闇に己もおりて遠花火
「間の闇」の「間」がどうも落ち着きません。遠花火によって認識する
「己」の存在というテーマは結構です。
○くろぐろと山鎮まりぬ夜冷えし
〈黝々と山静もりぬ夜涼かな〉
稜線の宝石となる遠花火 吐詩朗
○快活な井戸端会議涼夜かな
何時までも続く井戸端会議。女性の元気な声。
○白壁のまこと白かり日の盛り
○ヒース咲く半島の旅涼夜かな 霞倭文
○日盛りやテレビ捻れば選挙戦
子叱りつ母車輪こぐ遠花火
「車輪こぐ」という必要があるかどうか。自転車で駆けつけているのでしょうか。
○子ら去りて縁に二人の涼夜かな あゆ
○日盛りを来て黙々と検針夫
○遠花火厨に満ちて醤の香 水の部屋
擬宝珠にふるさとありし遠花火 京羅坊
「擬宝珠にふるさとありし」というのはどういう事をつたえたかったのでしょうか?
天然の谷風ありし涼夜かな
「谷風ありし」といえば、天然のものです。よき谷風を強調したかった気持ちは解るのですが。
○日盛りやケイタイあまた歩きをり
まことに、まことに。
○遠花火大人三人はしゃぎおり 山野いぶき
○母といて星を見上げる涼夜かな
日盛りの往還行くはわれひとり 満子
○過ぎし日のことのあれこれ遠花火
嬰なだめすかして巡る涼夜かな
「巡る」がいささか邪魔になります。夜の街を泣く嬰児を引っぱって歩き回ってる感じになります。
泣く嬰児をあやしているのでしょうから〈泣く嬰をあやし疲れし夜涼かな〉でしょうか。
○背中押す父かも知れず遠花火 もとこ
作者と父との胸中の対話。
○月涼しあの何処からか宇宙船
○蝉時雨立禅てふ静けさに
遠花火郵便局ある港町 天花
○日盛りやいぐさの匂ふ雑貨店
○涼夜かな上り框の白き擦れ
古い上り框、丁寧に拭きあげられた旧家でしょうか。
○尾を立てて猫帰り来る涼夜かな 竜子
猫が一番涼しくなったことに敏感ですね。
停滞の国道に消え遠花火
○日盛りやマンモス館の列長し
○団欒のビルレストラン遠花火 紫微
業終へて二人の夕餉涼夜かな
中七までで、ようやくほっとして…の感が充分に伝わります。そこへ「夜涼」
(これもほっとする気分が主です)更に強調して「かな」と重ならない方がよろしいでしょう。
下五を「夜涼し」とするだけでも随分違ってきます。
○日の盛り岩肌赤き自刃の碑(阿南陸相)
○ヒロシマを 語る若者 遠花火 河彦
○遠花火 リバーシティーの 窓辺から
胸の谷間を いくつ見たやら 日盛りに
いささか辟易の感ですね。
○遠花火里の訛りのご挨拶 だりあ
○迷ふてばかり日盛りの蝶一匹
赤ん坊の拳のぎゅっと涼夜かな
「涼夜」でいいかどうか。「拳のぎゅっと」でいいかどうか?
○折鶴の幽かに羽ばたく涼夜かな 美沙
○父の忌の六十年けぶる遠花火
〈父の忌の六十年や遠花火〉で、しっかりと伝わります。
橋多き町瀬音立つ日の盛り
材料を整理してください。「橋」「多き」「瀬音」…二句出来ます。
日盛りの国会議事堂宴かな さかもひろし
(東京の高層ビルから眺めて思う)
○遠花火水面に映るはナルキッソス
日盛りにシェクスピア劇選挙戦
(8月30日公示に)
○高層のクレソンサラダ遠花火 老松
このクレソンサラダ、おオシャレで、きりきりと冷えて美味しそうです。
○日盛りを背負ふこの坂男坂
松島に瀬音の中の涼夜かな
ここは〈松島の瀬音の中の夜涼かな〉です。
○日盛りにほうき売り来て長話 美原子
難解のパズルに苦戦遠花火
○涼し夜の洗いたてカーテン軽く揺れ
○日盛りの校庭息をひそめけり よしこ
○遠花火昔の恋の話など
○すれ違ふひとの香淡き涼夜かな 章司
○日盛りや工事現場の弁当箱
○遠花火傘寿の父の肩を揉み
父と子の寡黙な愛情表現。
○早逝の 母を異国に 遠花火 姥懐
「戦争」を想起しました。
この窓の 外は涼夜か 四畳半
○日盛りや 老舗の土間の ひんやりと
○遠花火この六十年を想ひけり のぼる
○風通る蓮池に佇つ涼夜かな
蓮池と夜涼が季語として重なる感じがしますが、このままでよろしいでしょう。
○生活の音みな消えて日の盛り
○校庭にチャイム大きく日の盛る あきのり
○離るれば小さき世界よ遠花火
○思ひ出にゆられ寝入る子涼夜かな
三句共に揃っていました。
○良くしゃべる二人に間あり遠花火 萬坊
幸つつむ地方新聞涼夜かな
「幸つつむ地方新聞」ってどういうことでしょうか?
地方紙に包まれた幸せを感じさせるものならば、具体的に。
○日盛りを顔冥きひと五六人
なかなか面白い一句です。
○重篤の 人想う宵 遠花火 陽湖
○坂道と 路地の温泉(ゆ)の街 涼夜かな
○山国の 故に貴く 日の盛り
「故に」というのはなかなか使い方難しいのですが、かっきりと働いています。
○ひとと逢うホームの端に遠花火 みどり
〈人と逢うホームの端や遠花火〉
〈遠花火ホームの端に人と逢う〉
涼しさに読みかけの本手にする夜
〈読み止しの本を手にする夜涼かな〉
○幻聴かミズヲクダサイ日の盛り
○日盛りやうなだれかかる寄席幟 弘子
面白い一句ですが、「うなだれかかる」というのはどうも不思議な言葉です。
「しなだれかかる」とは言いますが。
遠花火土手に集へる花筵
花火と花筵は夏と春の季語です。
○出席の返事投函涼夜かな
○満州や包子食いたし遠花火 悠々
〈包子〉パオズという音が、懐かしく響きます。
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