道場主今月の一言
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銀座俳句道場 道場試合第50回決着!! 5月の兼題は 「若葉」「かつお」「万太郎忌」 で した。
「かつお」も「万太郎忌」も、難しい題のわりには、 |
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やわらかな情感、結構でした | |
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初鰹を載せるに不足の無い大皿。大きな一句。 | |
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日常の中から見つけ出した一句の味わい | |
【入 選】
若葉風視力検査表の丸 だりあ |
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【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○不忍の波のおくりや傘雨忌 老松
円卓に主品となるや初鰹
○海透かす鎌倉山の若葉かな
「傘雨忌」「鎌倉」共に、風情しっかりと書かれています。
○楠若葉土俵の尻の小さかりき だりあ
子供相撲でしょうか。可愛いく白いお尻が見えるようです。
まっさらなる欅若葉の風生きる
〈まっさらな欅若葉の風生きる〉
若葉きく 見よう見まねの 太極拳 トシ子
〈若葉照る見よう見まねの太極拳〉
○擦り切れし 詩集をめくる 若葉風 花子
○SLの 汽笛を運ぶ 若葉風
○バルビゾン 乳の匂いの 若葉風
バルビゾンに行かれたのでしょう。未見の選者はバルビゾン派の画を思いました。
本殿は十六丈の杜若葉 京羅坊
「本殿は十六丈」、48mの高さなのでしょうか?
○灯台の夕陽かつおのたたきかな
○万太郎忌夏川りみを流しつつ
「夏川りみ」とは、御主ナカナカ!ですネ。解らぬ方は、レコード店へ、どうぞ。
若葉陰時の余白のありにけり 傘汀
○これからは青空つづく初鰹
十五・六初燕寄る樫若葉 秋吉景子
「初燕」「樫若葉」共に季語です。この句では「初燕」に絞った方がよいでしょう。
○初鰹まず日本酒の封を切る
切り株に若葉芽生えて並木道 正己
「蘗(ひこばえ)」という季語(春)があります。
○鉢巻きと声に鰹の活をかけ
○万太郎忌鍋の豆腐がコトコトと
「湯豆腐や」の一句が、作者の胸に浮かんだのでしょう。
○若葉風ゆずられし席あさく掛け 方江
感謝と共に、何かしら落ち着かぬ思いも伝わります。
髪止めの赤き少女や初かつお
「初かつお」の季語を、「若葉風」に替えた方が一句が活き活きするでしょう。
新たなる出会いもありて傘雨の忌
「傘雨の忌」でなくてもよいような…。
○若葉風ネクタイよろし三男坊 意久子
初出勤でしょうか、一人前になって、という思いと、さあ頑張っておいで!と。
奥の間の遺影のひとつ初鰹
「初鰹」再考を。
○朝床のこむら返りや万太郎忌
つい笑いました。万太郎享年74、でもなんだかずーっと老人の感あり。そのような人物像が浮かびます。
○魚偏の羅列湯呑みや傘雨の忌 薫子
砥部焼きの皿に鰹の色深き
「色深き」を再考しましょう。
若葉風、横路,小路飛騨の里
いささかリズミカル過ぎて、「飛騨」の雰囲気が薄れました。
若葉垣駅への近道迷路めく 天花
若葉吹く女庭師の腰タヲル
「タヲル」ってなんでしょう?片仮名なので、なお迷います。
○黒潮に棹撓らせし鰹舟 竜子
○キヨスクの深川めし食ぶ傘雨の忌
「傘雨の忌」と「深川めし」の懐かしさ。今や「深川めし」も、「キヨスク」(キオスク=kiosk)で売ってるのですね。
○若葉寒優柔不断のロダン像
「考える人」でしょうか。ついつい笑いました。ロダンさんもまさか、こうまで言われるとは思ってなかったでしょう。価値判断をひっくり返すのも「俳句」の楽しさの一つです。
○杉若葉高野は聖おわします 有楽
久闊を伊豆の地酒で初かつお
短夜の憶いは新派の万太郎
懐かしき「新派」。考えると「新派」という名称もスゴイですね。今や明治、大正の
風俗博物館としても貴重になりました。
スーパーのかつおで夕餉小さき幸 山野いぶき
いささか素直過ぎました。
万太郎忌今夜は友のライブかな
万太郎忌と誰かのライブと。どうも繋がりが悪いです。どのようなライブかを書くと、もう少し繋がって(全く正反対という繋がりも)くるかもしれません。
拝殿の産土民話若葉風 吐詩朗
○憂ひ事いろはにほへと傘雨の忌
万太郎の書くものも、万太郎自身も「憂い事」様々。それにしても、あの時代の「憂い事」の多さよ、とも。
常客となりし草屋にかつを鮨
「草屋」を再考。
○勲章のリボンあや織り傘雨の忌 水の部屋
面白いものに目を留められました。
交番の若葉明りの古着市
「の」を重ねたことで、反って解りにくくなりました。
真ん中にピンと魚屋の初鰹 あゆ
いっそ「盤台」の方が。一心太助みたいですかねー。
○変声期らし母を呼ぶ垣若葉
ひときはに万太郎忌の遠嶺星
○それぞれの山それぞれの若葉かな 洋光
振り売りの媼のさばく初鰹
傘雨の忌徒然草に膝を打つ
○セパ交流テレビ相手にかつお食う 霞 倭文
「交流戦」久々のヒット企画でした。
通勤路護岸の底も若葉かな
キャリア引きお婆市場でかつお買う
「キャリア」というと、キャリアウーマンですが、退職したということでしょうか。
「キャリー」だと、日本では買い物車を言うようですが…?
幾重にも山あれば緑新たなリ もとこ
○聖母マリア守る岩窟(いわや)の蔦若葉
○葉桜や友を待つ間の風強し
トンネルやまるい若葉へ疾走す 満子
なかなか面白い視点と表現です。
○一本釣りの鰹踊りし船板に
○遊学のカルチャーショック傘雨の忌
遊学先は東京だろう、というのがしっかりと解る一句です。
幽邃の古刹の参道若葉風 紫微
「幽邃」「古刹」といささか、重なります。
○鰹釣り大和男子の武者振るひ
○老いの身の鮨を好めり万太郎忌
〈老いの身の鮨を好めり傘雨の忌〉と。
○窓ありて2005年の若葉かな 陽湖
「年々」なのですね。桜も若葉も。
四品にかつお捌くを夫が待ち
○嶺になほ雪ある信濃万太郎忌
○濃き淡き若葉繁り嫁ぎゆく さかもとひろし
花嫁の父の照れ隠す若葉雨
○庭若葉花嫁の父の想い濃し
〈花嫁の父の背中や庭若葉〉でしょうか。
○杜若葉ふるさと知らぬ象の居て よしこ
○宮若葉影ふみあそび終らない
ねぎ買うてしょうが買うて初かつお
〈ねぎ買うてしょうがを買うて初かつお〉
歴史的仮名遣いならば
〈ねぎ買うてしやうがを買うて初かつを〉ですね。
○若葉匂う窓開け放ち友と酒 河彦
鉢植えの竹の若葉に雨やさし
〈鉢植えの竹の若葉や雨やさし〉
○金堂へ若葉をくぐる中尊寺
○犬の耳また立ちており若葉風 あきのり
○ぶちきられ怒りありたる松魚かな
川面の燈とこしなへ万太郎忌
〈とこしなへ万太郎忌の川面の灯〉
○楓若葉真白きテーブルクロス干す 美沙
〈楓若葉真白きテーブルクロスかな〉
○速球のピッチャーは少女丘若葉
三陸の海の群青初鰹
○子の魚籠は転がりしまま若葉風 萬坊
釣りに飽きたのか、そこらで遊んでいるのでしょう。
孫が来て掴まりて一歩初がつを
メデタイ!一句ですね。
きんつばの楊枝まっつぐに傘雨の忌
わざとの「まっつぐ」(東京弁)なのでしょうね。
百の鉢 それぞれ違う 若葉雨 姥懐
○初かつを ありったけの 口で食ふ
名のみ知る 花は如何なる 万太郎忌
〈名のみ知る花を思えり傘雨の忌〉
○若葉風バンドネオンの歯切れ良く こばやしのぼる
○浜の宿皿鉢の鰹うまかりき
「皿鉢」=さわち・さはち、と読みます。土佐のさわち料理、長崎の卓袱。
傘雨忌や名指して「雷おこし」買ふ
苦労の跡の見える一句ですが、「傘雨忌や」は別の季語の方が、中七以降をいかせるかもしれません。
通夜帰り霊ゆうらりと若葉蔭 みどり
いささかコワイ一句です。
人を恋い湯島の路地行く傘雨の忌
「人を恋い」が、新派調を濃くし過ぎます。ここをもう少し薄くしたら、
「湯島」以降が生かされるでしょう。
○怒りこらえかつおごはんを飲みこめり
なんで怒っているのかは解りませんが、怒りの強さは伝わってきます。
○初鰹おかみは土佐の出自とや 弘子
○浅草に洋菓子を買ひ傘雨の忌
逆の要素の照合。でももしかすると、万太郎はハイカラな洋菓子好きだったかも。
○若葉風素肌に絹のシャツまとひ
いささかカッコ良過ぎ、とも。
○ヘアカラー明るめにして若葉風 美原子
○かつお食べて離婚のいきさつ打あかし
「打ち明けし」でしょう。
遠足の子等の声遠く若葉風
「遠足」も春の季語です。
若葉雨花粉の魔界出口見ゆ ともゐ
この花粉は「杉花粉」。花粉症の人のやれやれの思いでしょう。
網はせぬ君子の如きかつお釣
「一本釣」の心意気ですね。
○宵の街ふと縄のれん傘雨の忌
〈傘雨忌の宵の街なる縄のれん〉でしょうか。
○ありなしの風に若葉の夜のみどり 章司
ジャニーズに列なす乙女万太郎忌
○万太郎忌雨に色濃き藤の花
忌日と季語が重なってもよろしかろう、と飯田龍太氏も言われています。
◎命なる幾億万年の若葉かな
悠々
「命なる」が迫ってきます。
つい、戦後60年を重ねますが、「幾億年」の中では、それも一瞬のことかもしれません。
となれば、「今」は見えないほどの刹那とも。
「俳句一句」、その中で、命を刻む営為と思えば、更にいとおしいですね。
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