道場主今月の一言

「空の心といふは、物毎なき所、しれざる事を空と見たつ也。」
(宮本武蔵 「五輪の書」)

銀座俳句道場 道場試合第41回決着!!  

8月の兼題は 「 夕顔」 「冷素麺」 「炎天」 でした。

  台風のお見舞い申し上げます。
  16号の折は、丁度東京での会議。新幹線乗り継ぎで、
  最後の広島―東京行きでした。18号は、大被害。
  「台風一過」を実感しています。まだまだ台風シーズン。
  お気をつけて。
  今回の夕顔は、食用に夕顔もですが、観賞用「大花夕顔」
  とも解して、選句致しました。

   (谷子)

 

 爽涼の気の一句。結構でした。
 静かにも切ない一句です。
 夕顔の白い丸さと、生まれ出る筈の月の丸さと。
 「重き」の発見が、炎天の激しさを伝えます。

【入 選】

夕顔が咲いても父はおりませぬ      山野いぶき

源流は乗鞍岳や冷そうめん        洋光

留守長き瞑を夕顔ひらきくる       あゆ
木の箱の焼印まだら冷そうめん      天花
炎天へ突っ立つ避雷針一本        だりあ
原句は「避雷針の一本」でした。「の」は不要です。
 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

○夕去りの夕顔灯り侍りけり           傘汀
 食欲の有るとき無いとき冷素麺
 炎天に歓喜の虹かかりけり
   「炎天」「虹」共に季語です。もう一工夫を。

 夕顔に風吹きわたる如雨露かな         京羅坊
  夕顔に風吹き渡りはじめたる
 湯あがりの箸がすすめる冷やそうめん
 炎天の燕も狂う暑さかな
   これまた季語二つ。初めの頃は、きつくても季語を一つに絞る
   鍛錬をしましょう。


○ギャマンの冷やそうめんは白美人        竹雄
 農作業一人欲掻く炎天下
   畑にまだ一人佇ちたる炎天下
○くつろぎの夕顔の花咲いてをり
   
○炎天の球児となりて慟哭す           有楽
○母在れば冷そうめんよの声するに
   母在れば冷やそうめんよの声あらん
 水打てば夕顔のひだうれひ消え

 夕顔の揺れて背戸より友の顔          正己
 線香の仄かに揺れて冷やそうめん
○炎天の空に歓声甲子園

 廃屋や白き夕顔覆いけり            瞳夢    
○定年や二人ですする冷やそうめん
 炎天の砂に誓言 幼恋
     「誓言」は硬すぎます。

 炎天下 総勢九人 球を追ふ           花子
    球を追ふ総勢九人炎天下
 炎天や ビル陰ばかり 遠回り
○炎天や 溶け出しそうな ミニ団地

○嬰児のごと夕顔を抱き来る            洋光
○炎天を戻りて鳴らすのどぼとけ

 夕顔の気だるき午後はじっとして        方江
    萎えた夕顔なのでしょうか?
○老いてなお遊び心や冷やそうめん
 炎天や揺れることなしかずら橋 
    中七再考を。

○ブロックの壁壊されてゆく炎天      だりあ
 人生の楽しみ炎天下のカレー

○夕顔やきのうのニュース遠い過去         とみゐ
 幼き日ごめんそうめん冷やそうめん
    つい懐かしくて笑いました。 
 炎天下車天国徒歩地獄 

○?桶に張る冷そうめんに風生まれ         あゆ   
 炎天の白球へ跳びグラブ挙ぐ

○炎天や駅のオブジェは波形に           天花
    「波形に」を再考してみましょう。
○夕顔白し宿下駄の硬さかな            
    「白し」を再考。

 冷そうめん小粋にきりり惚けなんて        陽湖
○新宿発炎天からの逃避行

○古希すぎて可なく不可なく冷やそうめん      意久子
 炎天に右往左往の穴一

○蕃客へ男料理の冷やそうめん           吐詩朗
○夕顔や隠居住まいの定まりぬ
 炎天の産土神詣で幼児臥す

○炎天や狂いもせずに腕時計            遥
○夕顔の花より白く鶏眠る 
   白色レグホン。美しい一句です。

 夕顔や行きつ戻りつ一輪車            田淵萬坊
○垂れるもの垂れ犬歩む炎天下

○炎天のベル押し教典売りに来る           水の部屋 
○炎天を来て年金のこと話し出す
 冷そうめん飛石を来る昼の父

 炎天下 裸形の女 街に満ち            河彦
○炎天なれど 猫のTシャツ 胸を張り
 ふるさとは 冷やそうめんに スダチの香
    ふるさとは徳島。鬼籠野の酢橘毎年取り寄せます。

○炎天や影もかげ欲し我が真下           もとこ
 冷そうめん定年夫婦明日もまた
 夕顔の灯ともしごろや棚の上
    下五を再考。

 直角にまがる水流ひやそうめん??          中土手
○脛をうつ音して夕顔棚暗し      
    蚊を打ったのかどうか。美しく纏めようとしなかったことで、
    活き活きとした一句になりました。

 炎天下交差点急ぐひと無帽 

 夕顔の煮物の甘し誕生日                       紫微
○冷や素麺ギヤマン盆にひしめけり
 炎天や大和なでしこひた走る

 夕顔の幽かな香り愛しけり                       秋吉景子
   「愛しかり」です。
 炎天を吹き抜けし風秋けはひ
○顔揃う日曜の昼冷そうめん

 カナカナや輝き残す雲の縁(へり)        
○浮き沈みバケツのトマトへ清水汲む
   「浮き沈む」と。
 酸っぱさを身上とせし夏みかん 

 炎天の煙草のけむり濃く立ちて                      竜子
○割箸の柾目すっきり冷そうめん
  夕顔やすれ違ふ心隠しをり
    すれ違ふ心隠せり夕顔に

 ○夕顔の咲けるに命ゆらぐ見ゆ        あきのり
  こまごまと世話され母の冷やそうめん
  炎天の輝ける一歩アテネかな

○夕顔のぶらりと戦火知らぬごと          のぼる
○冷やそうめんヘリ墜落のニュース聞く
 地下鉄を出て炎天の九段坂

○炎天に戦敗れし子供の眼             さかもとひろし
 夕顔や少年の悲哀今遠く
 炎天に連山正しゅう全快す
   悪くはないのですが、「芋の露連山影を正しゅうす」の名句あり。


○冷やそうめん好きだったよね亡き父よ     山野いぶき
 炎天や大型トラック疾走す  

 賢治像の項垂れみちのく炎昼            美沙  
   みちのく炎昼賢治の像の項垂れ
○ひとり旅夕顔灯る宿に着く
 岩手富士のねまる縁先冷そうめん

○夕顔の路地子恍惚の友見舞う            みどり
 アーメンそうめん冷やそうめん懐かしき
   ミッションスクールでしたが、男子生徒が夏になると言ってました。
○うずくまる地にタンゴムシ炎天下
   

 夕顔やロングドレスの腰揺るる           弘子
○冷やそうめん木の香の町に呼ばれけり
 口紅を引き炎天を歩み初む

○炎天や渓間の玉堂美術館               二穂
○渓風の渡る小店の冷やそうめん
 夕顔や風の止みたるゆうまぐれ

 珈琲舗 古看板の 冷さうめん            姥懐
 炎天や つひに北国 沸騰点
○炎天や 日本列島 横臥せり
   なかなか面白い。若い女性とみるかどうか。

 マチネーの跳ねてまつすぐ冷素麺                    章司
 夕顔や少女は山羊の乳絞り
○夕顔や荷台へ売られゆく子山羊
 右隅に決まるスマッシュ炎天下

○切株が墓石のごとく炎天に                        美原子
   中七の発見、結構です。
 素麺の束ほどく指もどかしく
 夕顔に窓覆われて声かすか
        

炎天に浅間の煙白く見ゆ               悠々

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