道場主今月の一言

「一隅を照らす者は、これ即ち国宝なり。」
(世の一隅を明るくする人こそ、国の宝である)
(最澄)

銀座俳句道場 道場試合第40回決着!!  

7月の兼題は 「 夕焼け」 「清水」 「夏みかん」 でした。

  残暑お見舞い申し上げます。
  残暑ならぬ「残酷暑」。秋になってからの影響が案じられます。
  季語だけでも、秋の気配を楽しんでください。
  今回は「夕焼け」が大半になりました。「夏みかん」「清水」で、
  膨らんだ、又は二物の照合で大きくする句は、いささか難しかったの
  でしょう。もう少し、頑張ってみましょう。

   (谷子)

 

 ケイタイのメールに映える夕焼け風景。「葉山」が一句の眼目です。
 暗紅色の夕焼けの色と、哀しみが迫ります。
 楽しい一句。よい空気が広がります。

【入 選】

夕焼けの湾上の橋湾下の道            京羅坊

夕焼けや終焉もかく美しく            竹雄

夕焼けて今日そのままに火照る街         もとこ
夕焼や子供の声のころころと            だりあ
饒舌な女がふたり夏みかん             萬坊
 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

萱葺の庵に落とす山清水             京羅坊
 夏みかんこどもの顔のもへのかな

真清水ぺットボトルで買って飲む        竹雄
  真清水を
 夏みかん実る峠や伊豆の海 

 さきの日々戦禍救いし崖清水           傘汀
 坪庭の夏みかん稔る二年越し 

 明日の前 吉兆いずれ 大夕焼          花子
  「明日の前」は「次の日は」と
 夕焼けに 向き合う貌の 菩薩かな
廃屋の 端に三つ四つ 夏みかん

 電柱の鴉染まずや夕焼ける     瞳夢 
 さらさらと音をたよりに草清水
ひとり居の食べ余したる夏みかん

 夕焼に仕事と家庭の別れ道             とみゐ
   「夕焼けは」または「大夕焼」と
 清水飲み五臓六腑を清めけり
失敗は誰にでもあり夏みかん
    酸っぱさがイイですね

 狭き畠されど日毎の日焼け腕      吐詩朗    
 岩清水零るるままの幼き掌
夏みかん農の皺なる母の指
    
 夕焼けや一際高き雀平         正己
 音も無く滴り落ちて苔清水
    「滴り」か「落ちて」のどちらかで再考を
 スーパーに夏みかんだけが並びけり

 手の切れるほどの冷たき岩清水     方江
口唇の良く動きいる夏みかん
夕焼けがのみ込む空と波の音

 掬ひては項に触るる清水かな            紫微 
 姉賜びし新婚旅行の夏蜜柑
澄み渡るアラスカ大地夕焼雲

海の町ふるさとに似て夕焼ける           あゆ
  「ふるさとに似て夕焼ける海の町」と
滾々と熊野古道の山清水        
 忘られぬこの酸っぱさを夏みかん 

 朝忙し子等に剥きおく夏みかん           もとこ
手に痛き清水に悔いの甦る

 清水湧く盆に刺し子の布巾かな           水の部屋
夏柑や長屋門より外車出づ
階下より飯噴く匂ひ夕焼雲
   懐かしい匂いですね 

 大夕焼再会という魔術              だりあ
夕焼や宇宙基地めく精錬所

夕焼ける富士に向かひて機首上げぬ         洋光   
 引き出しの苦き思ひ出夏みかん
   「引き出し」がよく解りませんね
 鹿島立つ防人汲みし清水とや

 遺されて叔母の丹精マーマレード          意久子
 湧き水の桶の天秤孤児の肩
疎開子の駆け寄りて来し夕茜
   私の連れ合いも「最小の疎開児童」です。切ない夕焼けの思い出ですね。

いずこより来たりし人ぞ清水問う          有楽
盗る人もなくふくれ面夏みかん
   面白い一句です
 あきらめのいろになづみぬ寝夕焼
     「寝」?

 大夕焼路地から匂ふ玉子焼             天花
バス停の夕焼空に出会ふかな
 山清水赤チン滲むひざ頭

大夕焼明日のサッカー前祝             のぼる
   きっと勝利!でしょう
 岩清水苔のみどりのやわらかき
   「岩清水」「苔」共に季語です
 苦労して剥く夏みかん妻の留守

 夏みかんスローライフという言葉          中土手
副都心と妍を競いし夕焼雲      
 筧から両掌に受けし山清水 

 夕焼けに 桜の木肌 なまめかし           河彦
夕焼けを 眺めて一人 酔うべきか
   いささかサビシイ。でもなかなか味があります

 藍染の青をうながす石清水               竜子
同病に憂さを語りて夏みかん
 港湾の荷揚げのクレーン車夕焼け雲
    「クレーン」だけで、「車」は削りましょう

夕焼けが天竜川を染めにけり             陽湖
 古希の宴母郷の清水語る夫
 青春の頬いっぱいになつみかん

夜の散歩清水に滴る月を掬む             美沙
佇つわれは宇宙の微塵海夕映え
クレヨンの絵日記大き夏みかん
   作品が揃っていました。頑張ってください

棟上げの紙垂(しで)高だかと大夕焼         萬坊  
砂を刺し砂巻き上げる清水かな

刻々と変わる夕焼けみな黙し             みどり
 ご一緒に波だちて湧く清水みち
 夏みかんマーマレード作る祖母流の

指しゃぶる赤子の寝息夕焼くる              弘子
 ひざまづき両掌に岩清水
情美味し天草からの夏みかん

夕焼けや遠くなりたるひとのこと             二穂
 昼餉してしばしの憩い山清水
 夏蜜柑鈴なりのまま過疎の家
酸っぱさも思い出もあり夏蜜柑

 夕焼け雲隣り世映す光あり               あきのり
 きつねこんねんねこよいこ夏みかん
昏きより刹那の光泉湧く
   美しい一句です

 甘夏柑母は酸しとてそつと除け             章司
重曹にひとりごとめき夏蜜柑
   懐かしい音と、味を思い出しました
夕焼けの岸に肩寄す車椅子
 奥宮へ尨犬(むく)蹤きゆけり岩清水

大夕焼 思いっきり揚げる ブラインド          姥懐
参勤の 殿の使ひし 岩清水
 マニキュアの 赤つき刺さる 夏みかん

 夏みかん他家のも気になるジャム作り       美原子
 夕焼けに飛行機雲の接近す

 黒雲行く田んぼににわか新清水            さかもとひろし
 白壁に映える青さや夏みかん
カラスなくふと立ち寄れば涸清水

諍いの疲れしさきに夕焼雲               悠々

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