道場主今月の一言 (不易流行) |
銀座俳句道場 道場試合第33回決着!! 12月の兼題は 「12月」 「雪」 「重ね着」 でした。 頌春
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父の姿、その父への作者の思いがよく伝わります。 | |
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「油膜」が多くのこと、多くの思いを伝え、迫ってきます。感情を書かぬことが、複雑な感情を想像させるのです。 | |
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「重ね着」という齢を感じさせる季語。しかし、だからこそ「雲早し」に、世情への鋭敏な感性を受けるのは、こちらの読みすぎではないでしょう。 | |
【入 選】
忘れゐることに癒され十二月 もとこ |
重ね着を重ねて脱ぎて見舞いけり 中土手 |
初雪や恋の芝居のはねし道 章司 |
十二月てきぱき動く花時計 竜子 |
重ね着を肯ひ合へる齢かな 洋光 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
○大滝にしめ縄白き12月 正己
雪乗せて機関車汗のターミナル
十二月男言葉に戻りおり 清七
雪山やぽっくりあの世へ寝返りす
○重ね着や空席多き連絡船
重ね着の子は懐手 草野球 瞳夢
「重ね着」と「懐手」と季語が重なります。
○ふいとうや 四人の雑魚寝雪の宿
「ふいとうや」は「吹いとうや」でしょうか?雪山を思います。
○しがらみの解けてぶらりと 12月
「12月」は「十二月」と。
○故意・過失・殺人・未遂・十二月 中土手
うらうらと帰郷の友の雪だより
○出掛けしが戻り重ね着集金日 意久子
「出掛けしが戻り」が一句を活き活きとさせています。
○そうじ終え「甘味御前」や十二月
「おばあちゃん見て」目玉筆の穂雪だるま
雪だるまの目玉が筆の穂?子供の声が聞こえそうです。
きな臭きまま世は十二月となり とみい
○重ね着や散髪あとの頭の軽さ
○休むぞと決まれば降れや大雪に
私も雪大好きです。雪が降ると元気になります。休まなくても「雪降れ降れ」です。
神様へ報告をする十二月 だりあ
何の報告か、もう少し書き込むことです。
十二月雲のゆくへを追ふときも
天上の花かと思ふ十二月
「雪」そのものは書かれていません。
○重ね着や鳥の滑空するみそら 章司
十二月何処も鳩のゐない村
「十二月何処(どこ)にも鳩のゐない村」
雪はげし夜汽車は宙を驀進す
○重ね着てすこし足りたる思ひかな 吐詩朗
樹を仰ぎ開けたる口の雪明り
○雪の日のコーラン響く異人坂 竜子
○重ね着て夜遊びの猫叱りをり
○重ね着の胸内に隠す老う不安 もとこ
「重ね着や老いへの不安胸内に」
還暦の重ね着赤いセーターも
雪囲い暗がりにしんと薬師佛 泥臥
○重ね着を一枚ずつ剥ぐ鍋の湯気
師走とゆう匂いのしない十二月
面白い一句です。もう少し踏み込んで書くとよくなるでしょう。
はだか木の並木も絵なり十二月 竹雄
お祓いの雪とおもえば紙吹雪
耐性のなくて重ね着きぶくれて
「耐性のなくて」が面白いです。「重ね着きぶくれて」は重なり過ぎ。
「耐性のなくてと言うて着膨れて」でしょうか。
12月 手帳二冊を 持ち歩き 葉笑
12月 余裕で賀状の 歳になり
○12月 孫の来る日を 指を折る
「十二月孫の来る日を指折りて」
十二月正義を謳ふ戦熄まず 洋光
○雪の積むほかに音なし座禅堂
十二月 夢のつづきを 送り出す 花子
追ふごとく 先輩訃報 十二月
何を追うのかを。
○職辞すと 友告げに来た 十二月
「職辞すと告げに来し友十二月」
12月テロに怯えつつ里帰り さと子
重ね着に振り子となりぬ瞳かな
小さい子でしょうか。一寸断定しにくいですね。
一弦はやがて重なり由布の雪
一弦琴なのか、何か別の弦楽器なのか?
○逝きし娘の誕生日来る十二月 陽湖
○ループ橋雪のかなたに灯りおり
重ね着て寝覚め待つ薄茶点つ
少し材料が多いので、
「着膨れて一人手前に薄茶点つ」と
○着膨れてテレビ体操見ておりぬ 倭文子
結構です。「良くあんなに身体が曲がるなー」なんて感心しつつ。
○ジャムを練る香りの篭り外は雪
十二月半世紀振りのうどん打つ
○版画彫るいつものならい十二月 二穂
○快晴の大雪山ダイヤモンドダスト
「ダイヤモンドダスト快晴の大雪山」
重ね着もファッションの若い人
○雪催い乗りかえ駅の絵地図かな 晴子
○十二月母の歩幅に合わせをり
雪はげし列の終わりにプラカード
○常連の顔がみえない十二月 美原子
バインダー納まりきらぬ十二月
重ね着の降り立つ先は市が立ち
「降り立つ先は」の「は」を再考してみてください。
音高く軍靴のひびき十二月 みどり
○いつの世も死ぬのは兵士雪しきり
「いつの世も兵士には死が雪しきり」
いざ行かん重ね着のファッションキメちゃって
○救急車の行く手阻まれ十二月 弘子
畑土の黒グロ雪の降りしきる
○重ね着はせぬと九十二歳の恩師
ご立派!!見習いましょう。
吐く息の白さに急ぐ十二月 方江
「白息」「十二月」と重なります。
ひらがなのような沼あり雪景色
「ひらがなのような沼」といわれても、今ひとつ想像し難いです。
○重ね着や老いのペンだこ大切に
○厚着して今を自在に遊びをリ 水の部屋
十二月ドラッグストアの幟旗
○ナプキンは鶴の形や雪明り
美しい一句です。ただ、すでにナプキンの美しさは鳥に見立ててさまざま書かれています。
○犬もゐて消防訓練十二月 のぼる
○雪便り聞きつつ小豆南瓜食ぶ
○着膨れて財布のありか失念す
実感あり。
○十二月 故郷に母は 眠りたもう 河彦
一周忌 雪に心を 清められ
○ほろ酔いの 女と二人 雪を待つ
束の間の夢追い落胆十二月 あきのり
雲払い青空割きて雪峯立つ
「雪峯立つ真っ青な空を割き」
○着ぶくれて修羅を経しかや皺の顔
気配してドアを開ければ宵の雪 山野いぶき
○ねぼすけになんとまぶしい雪景色
俳句はここから始まるのです。この「ワオッ」から。
憂きことの 千鳥走りや 十二月 姥懐
救急車 サイレン赤き雪の道
○重ね着の掛け声強くなりにけり
十二月重き歴史を刻みゆく 悠々
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