先祖帰りする?現代っ子

山崎 れいみ

 この夏、刺青(いれずみ)をしている女の子が目についてしかたがない。初めはシールを貼っているぐらいに思って見ていた。ところが、遠目ではなく近づいてよく見ると、本物の彫りものなのだ。

 年のころは14、5歳だろうか、花柄のスリーブレスのブラウスから適当に日焼けした二の腕が健康に伸びている女の子の左腕に、可愛い小鳥の刺青。わりとおとなしそうに見えたので声をかけてみた。(つまりそれほど普通の女の子が刺青をしているということ)

 「これ?夏休みになってすぐ友だちと沖縄に旅行したとき彫ってもらったの。5千円だったかなあ。ええ、お友だちはチョウの夕トゥよ。この程度だと袖のあるもの着れば隠れるし、夏が過ぎれば見えることってないでしょ、一緒に風呂に入らない限り親にばれることもないし……。私はすごく気に入ってるからいいのよ」

 東京浅草の有名な彫り物師を訪ねる子もいるらしいが、多くは海外旅行したとき彫ってくるそうだ。ゾウやイルカ、トリ、花やチョウなどきれいで可愛い柄がほとんどで、3〜5千円が相場という。

 茶髪は元に戻せるが刺青は一生消せるものではない。いくら可愛いい柄で、いつでも洋服で隠せるといったって覚悟がいるのではというと、彼女いわく「おばさんが大人だからよ」。

 体の装飾加工、人類の祖先は日常的に行ったという。現代の子たち、もしかして先祖帰り?でも彼女たち、刺青とか彫りのとは言わない。あくまで“タトゥ”である。
                       

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