車がない、通じない、靴がない
今回の夢は、通常通りにことが運ばない夢です。「電話が通じない」「自分の靴が見付からない」など困っています。さて、こんな夢はどんなメッセージを発しているのでしょうか。
夢の相談の方は栃木県・宇都宮市のA・Sさん。48才、女性、会社役員です。
- Sさん :『私が一年ぐらい前からみる夢です。@車を止めておいた場所に戻ると、車が な いので探すのですが、どこにもない。A電話をかけようと思い、ダイヤルを回すがかからない。何度もかけ直すが通じない。B何かの集まりに出掛け、帰るときに靴を履こうとすると、自分の靴がない。一生懸命探すが見つからず、すごく疲れた。C車を運転していると、前に進まず、後ろへ行ってしまい、ブレーキが利かない。しかし、どこもぶつからない。』
- 新山さん:『A・Sさんは@Aの夢を何度も見ていて、BCが一回だけだそうです。古い順番に書いてくれました。この四個の夢に共通しているところは、すべて通常通りに事が運ばず、大きな障害ではないが、困っている状態だという点です。車、電話、靴などは、現実とかかわるために必要で身近な道具です。ユング心理学では「ペルソナ」といって、心理的に仮面をつけて、私たちは社会とかかわると言います。言い換えると、それは本当の自分が社会とかかわるとき、妥協するための広い意味でのウソであったり、「はったり」であったりします。これをきちんと分かってつけ換えができると、立場や役割をふまえ、自分自身を殺すことなく、また他者を否定したり、迎合せずに折り合いをつけていけます。このとき、気をつけなければいけないのは、「仮面をつけている」という意識です。何ととなくつけていたり、習慣化してくると、仮面の下にある本来の自分を見失い、仮面自体と自分自身とを勘違いします。』
- Sさん :『仮面をつけているのですか。自分を抑えているのでしょうか。』
- 新山さん:『丸裸では、社会に出て行くことができないように心理的にも、仮面なしでは、相手を傷つけたり、自分も守ることができません。この仮面が、夢の中ではしばしば、靴、車、電話といった外界と自分をつなぐものとして象徴的に表現されます。A・Sさんが一年ぐらい前から、自分自身を取り巻く環境とのすり合わせに問題が出ている点を、この夢は伝えています。最近のBCの夢の方が、@Aよりもう少し困った状態が進んでいます。Bでは靴がないため帰れない状態。Cでは車のブレーキが利かない状態です。今はぶつからないのですが、このままいくと、ぶつかってしまう危険性を含んでいます。』
- Sさん :『なるほど、思いあたるふしがあります。』
- 新山さん:『現在の自分の状態を振り返り、周りとのかかわり方を再チェックするとよいと思います。知らないうちに周囲に合わせ過ぎたり、逆に自分を出し過ぎて浮いてしまっていないかなど、原点に戻って見直すと具体案が出てくるでしょう。無意識は何度も似た夢でメッセージを送ってきます。立ち止まって、いくつかの夢の接点を見つけていくと現在引っ掛かっているところが浮かび上がってくるでしょう。』
★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。ラジオ日本「新山恭子のドリームトーク〜夢はあなたへのメッセージ〜」(日曜後5:35)のパーソナリティーとして出演。
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