恐ろしい女子高生の生理感覚

山崎 れいみ

 「苦界」という言葉を、逆説的に連想するのが最近の女子高生のいわゆる援助交際というヤツだ。"売春と同じようなものだし、傷つくのは本人だろうに"と思うのはものを知らない大人たち。

 彼女らはそんなことでは傷つかない。悪いことをしている自覚はないし、アルバイトの中では最も効率のよい仕事と心得ている。つまりはハンバーカーショップでバイトするのと同一線上に援助交際を置いているのだから、傷つくわけがないのである。

 年齢は相当に異なるが同じ女ということで考えてみると、初めて会った男に触られたり、ましてセックスしたりするのは、非常に嫌悪感の伴うものである。強烈な嫌悪を感ずれば感ずるほど金銭とは関係ないはずではないか。従って昔は「苦界」と言ったのだ。

 しかし、いまどきの女子高生は同様のことをしても苦界ではないらしい。好きでもない男とセックスしても、対価を手にすればケロッとしていられるのだ。

 性を売るのがいいとか悪いとかの論議ではない。要は、その行為が苦痛を伴うかどうかである。

 かつて、というより普通の女の性は、好きな男となら快楽がありそうでない相手なら不快という振幅があった。それは社会、道徳、宗教、或いは時代の変化などとは関係ない生きものとしの女の生理と思っていたのだか、どうやら昨今の女子高生は快不快の振幅を失ったようだ。失ったものを取り戻すのは難しい。恐ろしいことである。



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