ミュージカル紹介
ふるさときゃらばん「Oh!マイSUN社員」

新山 恭子

 ふるさときゃらばんの舞台は今回で3度目だ。


撮影 英伸三さん

 二年前、初めて観た時、食わず嫌いで見ていなかった事を後悔した。荒けずりだが、その迫力は、狭い舞台をかけめくり、訳がわからないまま、やけに興奮したのを覚えている。「ふるさときゃらばんてこういうのだったんだ」と妙に納得していた。昨年二度目の舞台の時は、正直言ってがっかりした、皆さんダンスは、ずっと上手くなり、プロ並みの発声で話が進んでいく。しかし何かが足りない、ダンスが上手くなりすぎたのか、脚本のせいか、いずれにしても、初回の時の様な感動はなかった。


撮影 英伸三さん

 今回「Oh!マイSun社員」を観て、前回の足りなさが何故なのかわかった。また今回は前回と違う楽しみ方ができた。安心して、登場人物と一緒にストーリーに入っていけた。これは上手なダンスが、鼻につかない位、それぞれの表現力になるまでの域に達していたからだと思う。必死でなく、ずっと笑顔のままでもなく、その時のセリフに合った表情で、身体の動きが自然体で、セリフを活かす二次的役割になりきっていた。これでストーリーが浮かび上がり、無駄な「一生懸命さ」が消えて、さらっとして、それでいて見応えのある舞台になった。2時間40分を、長いと感じさせず、セリフの1つ1つが活き活きと見る側の心を、揺さぶり、軽くて深い時間を過した満足感があった。久々の「本物」に触れた思いで会場を後にした。


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