バブル経済の崩壊以来、日本の評判は芳しくない。金融システムは明らかにほころびはじめた。競争力にしても最も権威があるとされている「世界経済フォーラム」の年次報告書によれば、96年の順位は14位(アメリカ3位、イギリス7位,ドイツ25位)と落ちている。

 ところが、アメリカの知日派の一人がこんなことを言っていたという。「日本という国は決してあなどれない。ひとつは先端技術の優秀さ。もうひとつは貯蓄率の高さ。先進国でも群を抜いている」

 そうかなあと思う。たとえば「光電子集積回路」。この集積回路は大きな量の情報を高速度で処理する機能をつくり出すもので、この分野の研究が期待されている。この研究面での日本のレベルは極めて高いのだ。基礎技術研究はともかく、実用化、高性能化の分野ではすぐれている。この方面での日本の技術は今後とも世界から注目されよう。

 日本の貯蓄率が外国にくらべて高いのは昔から知られている。日本銀行「国際比較統計」96年版によると、総貯蓄率は93年日本32.7%、米国12.4%、英国13.3%、ドイツ20.5%、フランス18.7%となっている。

 しかし、日本も貯蓄率は年々減る傾向にあって、家計貯蓄率をみると、84年15.8%から94年12.8%と下がっている(平成8年12月速報値)。

 いずれにしても国民の貯蓄率は国力の現われとみていいから高く評価されるのも当然であろう。暗い話が多すぎる昨今、少しは安心してよいのだろうか。


                       

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