場所をわきまえたい「ヘソ出しルック」

山崎 れいみ

 気温が上がってくるにつれ気になるファッションが出現し始めた。へソ出しルックだ。

 自分の娘でもなし別にどうでもいいや、と見過ごしてしまえばいいのだろうが、それがオフィス街だったりレストラン内だったりすると、違和感だけが先行してゾッとしない。まして電車やバスの車内で横に座られたりすると、素肌からその子の体温がビタッとこっちに伝わってくるようで、超気持ち悪い。

 夏日ほどに暑かった連休最終日の昼下がり上京する従姉妹を迎えに東京駅へ行った。U夕ーン時刻にはまだ少し間があって、駅はさほど混雑していなかったせいか、ヤケに目立つ一団に気づいた。一団といっても5人ほどの少女たちだが、ユニホームでも着けているように全員ヘソ出しルックだったのである。

 類が類を呼んだ彼女たちなのだろうが、ご丁寧に顔まで可愛くないのが揃っている。

 が、当の本人たちはまことにいい気なもので、声高に人気タレントの噂話をしてはあたりをはばからず大笑いの連続。その度にヒクヒク動くへソが丸見え!中央通路の真ん中あたりだからイヤでも見ることになる。

 珍奇なものでも見るように立ち止まったのは私ばかりではなかった。

 この5人が何処へ行くのか何処から帰ってきたのかはしらない。しかしここはリゾート地ではない。ファッションには自ずとTPOがあることを、この子たちに教えてくれる人がいなかったのは淋しいかぎりである。



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