忘れ物の夢は……
今回の夢トークの相手は東京・杉並区のT・Kさん。29歳、会社員です。
Tさん :「もう高校を卒業して10年になるというのに、忘れ物をして困ってい
る高校生の自分の夢です。この夢を頻繁に見ます。忘れ物は教科書だっ
たり、体操着や楽器だったり、その時によって変わるのですが、学校で
忘れ物気付いて、家に取りに帰ろうかどうしようか悩んでいる、という
変な夢です。」
新山さん:「ふだん、まじめで『失敗してはいけない』と思っている人は、このよ
うな夢を見るようです。
忘れ物の夢のほかにも遅刻する夢、バスに乗り遅れる夢などを見る人
も多いと思います。
私たちは日常、自分では気付かないうちに、周りの期待や要求に応え
ようとしています。まじめな人ほどその度合いが強く『キチンとする』
ことにこだわり過ぎ、強迫的に行動する傾向があります。T・Kさんの
場合、その心理を高校生の自分の姿に借りて表しています。
精神的成長が、高校生ぐらいで現状をこなしていくと、無理を生じ、
ストレスとなるでしょう。頻繁に見るこの夢は、早く周りに対するかか
わり方、仕事に対する態度のパターンの変更を促しているといえます。」
Tさん :「私はどちらかというと用意周到な方なのですが、たまに忘れ物をする
と結構取り乱します。もうこんな夢は見たくないのですが、自分で何か
のメッセージが込められているような気がします。」
新山さん:「年齢を重ねていくと、かかわる物事は、若いころより複雑になり、用
意周到にしていても、思いがけない方向に行ってしまう場合が増えてき
ます。自分では何げなく日常をこなしていても、気付いていないところ
で、かなりのつらさを請け負っていることもあります。夢はその人がそ
れに気付くまで何度も同じ内容で教えに来てくれます。自分のはまって
いる行動パターンはそれぞれ違いますが、振り返ってみると分かるかも
しれません。
例えば、『キチンとする』にこだわると、先々のことを計算し、ムダ
のないように時間を使い、人の出方を見て効率よく生きてしまいます。
するとどの部分にも“自分自身”は登場せず、ただスケジュールを追い
かけるというむなしさの連続になります。その時々を楽しんでいく態度
に変え、仕事やプライベートの場面で少しずつでも、自分を表現してい
くと“自分自身”に礼儀正しく付き合うようになり、心から時間と空間
を味わうようになるでしょう。一度に大きく軌道を修正するのは難しい
のですが、T・Kさんのような夢が続く時は、軌道修正のチャンスと考
え、差し当たってできるところから変えていくとよいでしょう。」
Tさん :「なるほど。では具体的にどうすればよいのですか。」
新山さん:「会社への道順を変えるとか、苦手と敬遠していたことをやってみる、
映画を見る、コンサートへ行く、服装を変えるなど理屈ではなく、実際
に変化を起こすと、思わぬ自分の発見があります。
29歳という、社会に出て生活が一応、安定しつつある時でしょう。
また、ちょっと退屈し始めることかもしれません。ここで小さな『ブレ
ークアウト』をすると、単一ではない、気持ちのゆとりのある毎日にか
わっていくことでしょう。
もう一つの解釈として、今の自分が忙しさや日常の中で、高校時代に
あった大事なものを忘れているともとれます。いずれにしても、何度も
同じ夢を見るときは、今の自分を振り返り、立ち止まって今のあり方を
考えてみるとよいでしょう。」
