「BAGEL(ベーグル)」って知ってますか?

山崎 れいみ

 オモシロ若者ファッションを目当てに街を歩くと、どうしても目につくのか変わったショップだが、その中のひとつに「BAGEL&BAGEL」というのがある。はやい話がパン屋なのだが、店頭のディスプレイが面白い。短い杭が幾つも付いた薄っぺらな板が立ててあって、その杭にドーナツ様のベーグル、つまりパンをひっかけている。ちょっとしゃれたディスプレイの奥には立ち食いのスタンドがあって、星条旗をデザインしたエプロンの若い娘(こ)が忙しく立ち働いている。

 ベーグルを食べているのは殆ど若者だったが、ものは試し、勇を鼓して店に入り注文した。結論から先に言えば、正直言ってあまり旨いものではない。しかし、アメリカはニューヨーク、マンハッタンから流れてきたこのベ一グル、効能書きはなかなかのもの。

 かの地では昨今最もホットな食べ物だそうで、元はといえばオーストリア生まれ、ニューヨークのユダヤ系移民(NYの人口の20%)のエスニックフードだったが、1980年代後半からいわゆるニューヨークのヤッピーたちに片手で食べられる便利なダイエット食として注目され、一躍マンハッタンの昼飯の主役になったという。オフィスでパソコンを打ちながら、あるいはアタッシュケース片手にウォール街を歩きながらこのベーグルを食べる……なんともアメリカ的ではある。

 「ノーコレステロール、ノーオイル、ローカロリー、高タンパク」と栄養面でのうたい文句は最高だが、あまり美味しくないと、いくらしゃれてても日本人には不向きみたい。その証拠に幾日か見ているとだんだん客が減っている。(山崎れいみ)

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