10万7000円、1ヶ月間のインド旅行(最終回)

向 直美(フリーライター)

 最初がインパクトがあったせいか、その後たいていの事では動じなくなっていた。安宿で宿代をふっかけられたら、払わない、泊まらないと言い、リキシャー(タクシー)にボラれそうになれば、毅然とした態度で断れば良いのである。

 それが通用しなかったのは、リキシャーが間違えた場所に行った時だけ。すぐにケンカになった。大声で相手を罵り、自分の主張を始める。するとアッという間にインド人の野次馬が30人ほどが集まって来た。私の味方をする者、運転手の味方をする者。そうかと思えば、どんどん集まって来る野次馬にケンカのいきさつを説明してまわる者もいる。インド人はひまな人が多い。

 外国へ行くと考え方の違いを感じる。そして、日本人の考え方を反省させられることが多い。

 インド人の日本人に対する印象は @リアクション(反応)がない。A何を考えているのか分からない。B自分の意見をハッキリ言わない。C英語が下手。D押しに弱い。ということだった。耳が痛くありませんか?

 沐浴で有名なバーナラシーでは、日本人の長期滞在者が他の町に比べると多い。だが、町のことを聞くとほとんど知らない。彼等は外国人専用レストランだけに行き、日本語が上手なインド人だけと仲良くなっている。

 そして安価で手に入るドラッグ(30円ぐらい)を使用し、一日中ホテルでボーとしている。ひどいのになると、ドラッグを使用後、ガンジス河で沐浴しようとしてそのまま行方不明になっている。(現時点で日本人は2人)

 レストランは、地元の人が行く店の方が安くておいしい。ターリーという定食は、たいていカレー3種とライス、チャパティー(インド風パン)、ヨーグルト、漬け物かサラダが付いて平均的相場は15ルピー(57円)。お腹いっぱいになるまでおかわり自由。インド式に手を使って食べると店の人は大喜びだった。

 それと、日本語の上手いインド人はたいていアヤしい奴だ。外国に行き、カタコトでも良いからその国の言葉をしゃべること。通じて、コミュニケーションがとれること。これは旅の楽しみ方のひとつではないだろうか? 他国の旅行者と比べると、日本人は旅の楽しみ方の発想が貧困な気がする。

 最後にインドのオススメスポットは世界遺産にもなっているエローラの石窟とアジャンターの壁画である。どちらも親、子、孫の3代をかけ造られたものだ。山奥の崖をくり抜き、エローラは彫刻を。アジャンターは壁画を。作風はダイナミックかつ繊細。機会があれば是非観て欲しい。

 インド旅行を安くあげるコツは、現地の人と同じ金銭感覚で食事をし、移動して、泊まること。それだけ。稚拙な文章でしたが、おつきあい下さってどうもありがとうございました。

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