新山恭子の気軽に心理学(9)
人間関係を育てる

新山 恭子

 私達は、人と人の間で生きています。一人では生きられず、人々の中で支え合って生きているのですが、良い関係を育てるのは、昨今とても難しくなって来ています。世代間の文化の差、男性と女性の立場の変化、それぞれの背景の差が多きくなり、人間関係が複雑になっているからかもしれません。ますます、その人のもつ個性、人間性が問われてきています。相手を変える事はできませんが、相手との関係をどう育てるかには、参加できます。毎日の地道な練習で、素敵な関係に変えていけます。

 1、 自分らしい表現をする。 2、本当の話ができる。 3、勝ち負けで関わらない。この3つに気を付けて関わっていると、自然に豊かな関係を育てていけます。人を楽しませる能力、これは、決して、おもしろい事を言ったり、相手に迎合するのではなく、自分らしい意見をきちんと言うだけで、本当の情報交換ができ、楽しい関係が育っていきます。人と関わる時、勝ち負けで関わる人がいます。いつも相手と自分を比較して、相手の言った事に負けずと、自分を大きく見せたりしているうち、その人らしさはなくなり、関わっていてもちっともおもしろくなくなり、緊張した関係になってしまいます。人の幸、不幸は比較するものはないのですが、勝ち負けで関わっていると、人の幸せが、許せなくなり、不幸を願う様になります。すると情報はまわらなくなり、結局、楽しい関わりとは無縁になる訳です。「その人が幸せになる為には、常に、不幸な人が必要であった」と、ユングが事例の中で述べています。いつも、他より幸せだと思っていないと、幸せになれない感覚ですと、人間関係は発展せず、心からの笑顔がなくなります。誰かが、楽しい話をしてきたら、笑顔で「そうそれは良かったね」と人の幸せを心から喜べる自分になっていれば、どんどん楽しい話を持ってきてくれます。それぞれ幸せは皆違います、素直に相手の話を聞くだけで、楽しい関係は育っていきます。

 つくり笑いではなく、心からの笑顔は、こんな小さな事の積み重ねで生まれてきます。素敵な関係作りを始めてはいかがでしょう。


 ★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。 

 

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp