新山恭子の気軽に心理学(7)
共時性

新山 恭子

 世の中には、理屈では解決できない事がたくさんあります。しかし今までは科学が、何事においても、価値のあるものと考えられ、人間関係や、合理的に解決できない現象まで答えを出そうとしていた様です。1+1は2ではなく、方程式に当てはまらない部分を私達は、たくさん引き受けています。

 ユングは「共時性」(シンクロニシティ)という考えを主張しています。これは、心で考えたり、感じていると、それが現実の事として起きてくるという物です。例えば、「ある人と話をしたいな」と思っていると、その人から電話がかかってくるといった経験を多くの人が持っているでしょう。只の偶然といえば偶然なのですが、これをユングは、意味のある偶然ととらえたのです。この偶然が起きようと、起きまいと生活には何の支障もないのですが、日常は、私達の考えや思いの及ばないところで動かされていると知ると、本質的に謙虚になれるでしょう。

 人間がすべてを支配しているのではなく、大いなるものの力があり、不思議な出会いや、運命にめぐりあって行くのが、人生です。小細工をしたり、相手を支配するのではなく、偶然の関わりに感謝し、おいしい所だけをとらないで、その光と影を共有していくと、より豊かな日常になります。

 世間をさわがせている中高生によるナイフ事件等を見ますと、やはり彼等の育ってきた時代背景が、あまりにも結果ばかりを求められ、それぞれの個を育てられずに来た結果ではないかと考えます。どうでも良い事、無駄な会話を小さな頃から積み重ね、人間の限界と、それぞれの違いを知っていけば、自分を守るのは、ナイフではなく、知恵だと気付いていけたでしょう。無駄を省き、ひたすら目標に向って進むうち、一番大事な魂を忘れてきています。精神は、高い所にあり、こうあるべき、かくあるべきといったものです。魂は人間の深い所にある根元的な生きる底力といえるでしょう。

 今一度、私達の中にある魂を育てていく時期が来ていると思います。画一的な教育によって平均像に合うか合わないかで、生きている人々がほとんどです。平均点は、例外をあつめて頭割りしただけです。私達は、皆、例外であるからこそ、輝いているのです。もっと、のびのびと自分らしさを表現し、魂を育てて行きましょう。


 ★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。 


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