銀座一丁目新聞

安全地帯(

河彦さんの俳句を愛でる

信濃 太郎

友人の高尾義彦さんから同人誌『人生八声』2021年1月号がこのほど送られてきた。21人がそれぞれ思いのままに執筆している。21人のうち10人が毎日新聞のOBである。私はいつも河彦の俳号を持つ高尾義彦君の俳句を楽しみにしている。収められた俳句は29句(2020年9月から12月まで)。私など思い出したようにしか作らないが高尾君は毎日作る。性格は真面目でしかも丁寧である。それがそのまま俳句に現れているからなお面白い。

私の机の上には『俳句は一本の鞭である』(白虹)の句のある横山白虹の顔写真がある。怠け者の私はこの写真を見ていつも己を励ましている。

▲「銀杏は落ちてもコロナなお残る」
自転車で佃から皇居お堀端まで走ると路上に銀杏が落ちて異臭を放つ。新型ウイルスは収束の兆しを見せず友人たちの飲み会は3月末の桜の頃依頼ゼロに。高尾君は健康法として自転車を乗り回す。
私はほとんど家を出ない。もっぱら読書と書くことだけである。
「コロナ禍や本は友柄福寿草」悠々

▲「至誠一貫秋場所の覇者四字熟語」
母校・川島高校に「至誠無息」と東郷平八郎が揮毫した旗があり、校宝になっていると説明する。正代(28・時津風部屋)が昨年9月の秋場所で初優勝、大関に昇進した。伝達式の口上に「至誠一貫」という四字熟語を使った。今どきの青年にしては珍しいというので話題を呼んだ。

▲「新聞労連女性がトップ金木犀」
金木犀が香る季節、新聞労連委員長に毎日新聞の吉永磨美さんが就任(昨年9月23日)、役員にも毎日新聞から女性2人とある。金木犀の花言葉は「謙遜」「初恋」。鳥海明子は「父に似る人のうしろを従いてゆくキンモクセイのにおう角まで」と歌う。吉永労連委員長は毎日新聞入社が1998年というから私が毎日新聞をやめてから13年も立つ。時代は大きく代わったと思う。

▲「新米を研いで土鍋の水加減」
毎日1合おこげが少しできるように水加減するが美味しく炊けているという。河彦さんも家事をするようである。私もいつの間にか家事をするようになった。私は風呂掃除が辛い。「風呂場に神様が居る」と誰かが歌ったが…

▲「冬空に白いスーツが眩しくて」
米大統領選でジョー・バイデンさん(77)が勝利宣言。副大統領候補、カマラ・ハリスさん(56)は真っ白のスーツ姿で民主主義の勝利や希望を訴えたと記す。私は8月のブログで書いた。「11月の大統領選で当選確実と見られるバイデン前副大統領(77)は黒人女性のカマラ・ハリス上院議員(55)を副大統領候補に決めた。ハリス氏は、検事やカリフォルニア州司法長官を歴任し、昨年、大統領選の党候補指名をバイデン氏と争った。黒人男性ジョージ・フロイドさんの死を受けて人種差別への怒りが全米に広がる中、非白人の起用は当を得ている。当選すれば米史上最高齢となるバイデン氏である。後継者にハリス上院議員を選んだということはオバマについで二人目の黒人大統領が生まれるということである」。 

▲「ゴルバック小春日和によっこらしょ」
若洲ゴルフリンクで社会部旧友会ゴルフコンペ。有楽町線で3つ目の駅なのでバッグを担ぎ象徴の電車に」と書く。この日(10月16日)のゴルフ会は第60回の記念大会。11人が参加。堤哲さんがグロス96、ネット82で4回目の優勝、私が提供した優勝賞金とベスグロ賞を独り占めした。準優勝は吉沢孝さん(グロス105、ネット84)、3位は勝又啓二郎さん(グロス99、ネット84)

▲「モンブラン インクひと瓶 賀状用」
毎日新聞子会社に年賀はがきの印刷を依頼、帰りに自転車で日本橋高島屋によってモンブランのインクを買ったとある。 私も万年筆を愛用する。府中の駅構内の店の文房具売まではインク売リ場は狭く、店員に聞かないとわからなかった。暮にパイロットインクと替えの青インクを購入するのに一苦労した。すでに万年筆の時代は去っている。

▲「言霊の命新たに年始め」
これは今年の年賀状の河彦さんの句である。私は8月で96歳になる。年男である。
「初春や生き方問わる年男」悠々
今年も「あわてず ゆっくり のんびり すこし考えて」をモットーに生きてゆく所存である。