花ある風景(664)
並木 徹
恒例の「みはた会」開く
恒例の「みはた会」に出席する(4月3日・東京・アルカデア市ヶ谷)。歩兵321連隊の連隊長・後藤四郎さん(陸士41期)がなくなって13年たつ。万年幹事の石松勝さんも昨年なくなった。幹事が伊室一義さん(陸士61期)にバトンタッチされる。この日の出席者は8名。敗戦で軍旗奉焼命令が出て全歩兵連隊の軍旗が奉焼された。歩兵321連隊(広島)の後藤連隊長だけが日本陸軍の形見として軍旗を秘匿した。その軍旗はいまなお靖国神社にある遊就館に展示されている。これまで毎年、321連隊のゆかりの人たちが「みはた会」と名付けて集まり、昔を偲び、いまを生きる糧を得て今日まで回を重ねてきた。後藤四郎さんの甥の森田康介さん(防大2期)と夫人淑子さんが元気な顔を見せた。森田さんは航空に進まれて「生き残っているのは私だけとなりました」という。健康談義に話が咲く。
梶川和男君(陸士59期)が乾杯の音頭を取る。後藤さんが戦後建築材料「ベストン」を扱っていた時代の思い出話。横須賀防衛協会会長・防大協力会副会長小山満之助さん(陸士60期)が防大の卒業生の話をする。ことしの卒業生は474名(女性40名)。任官拒否が38名であった。今回初めて来賓としてコロンビア大学教授ジェラルド・カーティス氏が祝辞を述べたという。防大生の日常生活の話題もあって話は面白かった。話のはずみで利島雄之助さんが「戦争はしていけないものなのか」という疑問を出した。私は答えた。「戦争はやらなければこしたことはないがどうしてもやらねばならないこともある」。日本は集団的自衛権行使を認めたといえ制限がつく。千変万化に変化する戦場で設けられた枠の中で戦争が出来るものではない。現場の指揮官が判断するほかない。指揮官が責任を以て任務を遂行するほかない。利島さんはぽつりと「国を守る気概のない国は滅びますよ」とつぶやく。写真撮影のためによくアフリカに行っている伊室さんが発言する。「ほとんどの国が外国の植民地であったアフリカの国民を見ているといかにして要領よく生きることしか考えていないように見える。日本もそうならなければよいが…」。及川光代さんが推奨する羽根章夫著「スマホを捨てよ、街へ出よう」(ユーフォーブック刊)をみんなにプレゼントする。一期一会の会は
来年も4月3日に開く。