銀座一丁目新聞

茶説

日本は世界で最も安全な国である

 牧念人 悠々

毎日新聞社社会部のOB堤哲君から『データで見る・安全な国 日本』(2018年版)が送られてきた。アジア刑政財団(会長堺屋太一)が出版元。堤君が編集のお手伝いをした。この冊子は2年後の開かれる東京五輪・パラリンッピクに来日する外国人に向けて絶好のPRになる。2020年4月には50年ぶりに京都で国連犯罪防止会議(コングレス)が開かれる。世果中の司法関係者が集まるイベントである。年間2800万人を超える観光客に「日本は安全な国」と紹介できるのは何よりだ。

日本はこのところ犯罪は減っており戦後最低を記録している。刑法犯は99万6千件(2016年)起きているが、14年前に比べると5万8千件も減っている。「衣食足りて礼節を知る」からであろう。この言葉は菅子.牧民に言う「倉廩実則知礼節衣食足則知栄辱」からきている。

殺人を外国と比較すると、銃で守られている民主主義国家・米国が断トツで1万4千件(2014年)、トランプ大統領がこの4月、マクロン大統領を国賓第一号で招くフランスが792件、ドイツが716件、英国が594件、日本が395件である。日本でも時には相模原の福祉施設で元職員のよって入所者19人が一挙に殺害されという想定外の事件が起きる。窃盗も前記5ヶ国の中で一番低い(総件数60万5千件)。侵入盗は10%程度に過ぎない。多いのは自転車泥棒が32.7%もある。昨今はいとも気軽に盗むらしい。昭和25年上映されたイタリア映画「自転車泥棒」のようなやるせなく悲しい人間ドラマはない。万引きが15.6%である。我が家の自転車はいつも鍵をつけたままで玄関先に置いているが盗まれたことはまだ一度もない。万引きは若者がゲーム感覚で盗むらしい。女性犯罪の62%が万引きという。それだけ家事・育児のストレスが多いのであろう。

NHKテレビの夕時の番組にいつも「だまされない劇場」が紹介される。オレオレ詐欺のネタも尽きないと思うがお金を出す人も出す人だと思う。お金のない私は絶対出さない。出したくもないのだ。日本人は情け深い人が多い国なのであろう。詐欺事件の検挙者は1万人(2016年)を数える。

「住めば都」という。自分が住んでいるところが一番住みやすい。私は府中市(東京都)に62年間住んでいる。東京都は犯罪の発生率(人口10万当たり)は988.1で大阪府の1382・7に次いで2番目である。3位兵庫県、4位埼玉県、5位愛知県と続く。最も安全なのは秋田県の47。46位岩手県46。45位長崎県44。44位大分県43となっている。検挙率を見ると60%以上が岩手県69.3、山形県64.5、鳥取県61.8、長崎県60.9である。50%以上が群馬県50.0、徳島県50.8、沖縄県51.0、佐賀県52.2、福井県52.3、大分県56.5.島根県59.6である。地方の方が犯罪も少なく地域のコミニューケーションもいいと見えて捜査の聞き込みなど捜査がやりやすいのであろう。

データは日本は安全で住みやすい国とはっきり出ている。大いにPRするのは良いことである。最近電車の優先席で座っている若者と立ってゐる老人の間で「優先席の日本語が分からいのか」を巡って口論があった。若者の老人を敬う態度は薄れてきたのは事実である。また電車の中で化粧をする女性を時折見かけるがこれも外国では「娼婦のやること」と言われている。礼儀の国。おもてなしの上手な国として知られる日本だが統計上の数字を必ずしも裏付けない現象が進行をしているに憂慮せねばなるまい。