銀座一丁目新聞

茶説

「質問に天下を知れり神無月」悠々

 牧念人 悠々

第4次安倍内閣がスタートした。日本を訪れる米国のトランプ大統領とゴルフをするより歌舞伎や能など日本の古典文化を鑑賞させた方がよいと痛切に思う。所詮、安倍晋三首相にはその器量はない。選挙は変わりばえしない結果であった。というのも野党に「清濁併せのむ」大人物がいなかったからだ。一政党を他の政党へ合流させるアイデアはよかったが「信条」という「小局」にこだわり排除の論理で「一強をつぶす」という「大局」忘れてしまった。自民党の大勝は“野党のミス”によるものであった。今度の内閣には期待を抱かない。

“台風一過の街 時に南風が強く吹き 白雲一つ二つ浮かぶ 地上の騒ぎをよそに 太陽日ざしをそそぐ 栄華の巷、これ一場の夢なり”。 そんな思いで「銀座展望台」(10月23日)を書いた。『事前の世論調査通りの結果になった。6割が解散を評価せず、安倍内閣不支持率が支持率を上回ったのにこの結果は何であったのか。現実は有権者が安倍晋三内閣を支持したということだ。時代の底流には国民の保守化がある。政党支持で自民党が30%を超える数字が物語っている。自民、公明両党で「3分の2」(310議席)をこえる313議席を獲得、大勝したことから目をそらすわけにはいかない。自民党は国会運営を有利に進められる「絶対安定多数」(261議席)も確保した。国会の法案はすべて多数で押し切れる。5年も政権の座にあれば「おごるな」「謙虚になれ」と言ってみても無理である。人間の性である。これからはますます驕るであろう』

野党に頑張っていただくほかない。牧太郎君のブログ「編集長ヘッドライン日記」(10月19日)にこんな記事があった。『例の東京新聞の質問魔?望月衣塑子記者の「新聞記者」(角川新書)を買って読んだ。あの「だれも、聞かないなら、私が聞くしかない」の女性記者の本だ。特別の情報はなかったが、こんなクダリに驚かされた。「安倍首相はマスコミへの好き嫌いが極端にはっきりしているという。記者会見で司会から指名されるのはNHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、読売新聞、産経新聞といった限られた媒体の記者だけだと聞いた」と書いている』。私たちの知らないところでこのようなことが平然と行われている。

望月記者は毎日新聞社会部で名文家であった瀬下恵介君が定年後、開いたマスコミ塾「ペンの森」の塾生であった。「将来有望な女性であった」とつい最近、瀬下君から聞いたばかりであった。このような有様では安倍政権に期待を抱かないが今の自民党の内部状況では長く続きそうである。数を尊重する民主主義が時々顔を出す悪しき一面である。

「質問に天下を知れり神無月」悠々