銀座一丁目新聞

安全地帯(523)

信濃 太郎

「広き空心としたき今朝の春」

2017年1月1日の東京地方の日の出は午前6時51分。日ごろの7時半の起床時間を少し早めて初日の出は拝む。今年の目標は一ジャーナリストとして「精一杯生きること」。この2月26日発行に発行される毎日新聞のOB雑誌「ゆうLUCKペン」「消息」の欄に次のように書いた。『朝、その日の日課表をメモ用紙に書く。Ⅰ、ブログ2、本を読む。今読んでいる本は加藤周一の自選集・ユーベル・ブエドリーヌ著「国家に復権」など3、体操(瞑想を入れた20分間)4、メール・手紙・TEL(くれた人への返事を必ず出す)5、雑用(風呂掃除・洗濯ものの処理など)。日課表がないと元来ズボラなので無為徒食になる。ブログが簡単に書ける日となかなか書けない日がる。その場合は1年前の日記を見たり俳句を読んだりしてアイデアを絞り出すようにしている。左目が見えないので本を読むのに時間がかかる。暇な時間が十分あるので『銀座一丁目新聞』のネタを考える。10日間に4本の原稿を書くのはしんどい。時々友人が原稿を書いてくれる。写真もとってくれる。歩く機会が少なくなったので1週に1回は外出するようにしている』

友人たちと東京五輪までは頑張ろうと立ち上げた「五輪の会」にはいつも知的刺激を受ける。年に2回開かれる。いずれも年齢は90歳前後である。みんなと雑談すれば生きる気力も良いアイデアも生まれる。そろそろ先が見えてきた感じがする。覚悟を決めなければと思うような事件が起きた。演劇集団から公演「景清」(吉祥寺シアター・昨年11月17日から27日まで)の招待がきた。早速フックスで「11月20日に観劇」と申し込んだ。ところが、手帳にもカレンダーにもなぜか12月20日に印をつけてしまった。12月19日朝、演劇会場の場所を確認しようと思って案内状と送ったフックスをよく見たらなんと日付が「11月20日」ではないか。すでにお芝居は終わっている。「何たることか」。ショックであった。「確認」の大切さを昔から叩き込まれてきた。ここへきて今更のように大切さを知る。

年の初めにひも解くのは『万葉集』。今年も折に触れて読む。飛鳥・藤原朝から奈良朝の時代を万葉の歌人たちはどのように生きたのか「人間の生き方」の表現として再確認したい。昨今の私にピタリの心境の歌は柿本人麻の歌である。

「淡海(あふみ)の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ』(巻3-266)。

(「暮れゆく琵琶湖の浪の上を飛ぶ千鳥よ、お前たちがそんなに鳴くと私まで悲しく昔の事を思い出すではないか」土橋寛著『万葉開眼』NHKブックスより)。「夕浪千鳥」の表現が良い。「眼前直裁」を旨とする私にはよい勉強になる。俳句は一日一句を心がけ精進したい。

「初日の出6時51分五七五」悠々
「広き空心としたき今朝の春」悠々