憲法改正は急務である
牧念人 悠々
日本はいつまで解釈憲法で運用してゆくつもりか。戦後71年、まともに憲法改正と取り組んだらと思う。最近、憲法学者・日本大学の百地章教授の講演を聞く機会があった(9月20日・同台経済懇談会)。日本国憲法は189ヶ国のうち古い方から14番目で一度も改正されていない。ドイツ憲法は60回、フランス憲法は24回、インド憲法は100回改正されている。日本はこれまで”解釈憲法”で事態を切り抜けてきた。衆参両院で憲法を発議するに必要な3分の2以上の議員を得た現在憲法改正へ大きく一歩を踏み出すべき時機である。
日本の平和憲法は出だしから躓いている。昭和25年10月、朝鮮戦争の際,海上保安庁の掃海艇21隻が出動,元山港で機雷の掃海作業に従事した。これは明らかに戦闘行為である。米軍の元山上陸を支援するためであった。ときの大久保武雄長官は吉田茂首相から「国内的には問題になる。極秘にやってくれ」といわれた。さらに問題が起きた。掃海作業中、駆潜特務艇が触雷、爆発、沈没。一人が戦死、18人が負傷した。このほか米軍に雇われた日本人2人も掃海艇の触雷で犠牲になっている。戦後日本人は戦争で一人の戦死者を出していないとよく言われるが大きな嘘である。このほか米軍の兵員、物資を輸送する上陸舟艇に日本人が千人も乗り込んでいる。
これは明らかに憲法9条に定められた「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」に反する行動である。今の日本の置かれている国際情勢はもっと深刻で日本に世界は国際協力と平和維持参加を求められている。「憲法9条による平和」はという神話は66年も前になくなっている。それを憲法学者が今なお「9条」を主張する姿はおかいなものだ。ともあれ、国民の前にもっと真実を明らかにしなければ憲法論議は深まらない。
昨今、言われているのが大規模テロ発生、大規模自然災害に備えて「緊急事態条項」を設けること。今の憲法にはこの条項がないため、東日本大震災の際、瓦礫の処理などが思うように行かなかったなど不都合なことが起きている。関東大震災の際には13本の「緊急命令」が出されて災害処理が進められている。
次が先に取り上げた第9条の問題。1項の「平和主義」はそのまま堅持するにしても2項を改正して自衛隊を軍隊にすることだ。世界は日本の自衛隊を軍隊とみている。実態も軍隊である。国際情勢が激変し、国際協調が叫ばれる現在このままでは済まされない事態になっている。
いずれ「国民投票」の時が来る。今から日本国憲法について知識を深めてゆく必要がある。賛成するにしろ反対するにしろ憲法を知らないでは話にならない。