銀座一丁目新聞

花ある風景(594)

並木徹

恒例の権現山碑前祭開かれる

恒例の佐久市の権現山碑前祭が1泊2日の日程で開かれた。(4月21日、22日)。正午、佐久平駅集合。北海道や名古屋をはじめ首都圏から11名の同期生(ほかに特別参加者2名)が参加した。駅前のそば屋で昼食後、権現山に向かう。生憎曇り空が雨模様となった。『遥拝所跡』で碑を建立した依田英房翁と亡くなった同期生たちに黙とうを捧げる。校歌を合唱し、記念撮影をする。佐久の桜は散る間際で風情があった。こぶしも白い花を咲かせていた。

「桜散る兵どもの権現山」悠々

碑前祭の後、近くの「ほのかの湯」の温泉で体を休める。碑前祭では初めてのことで地元に住む同期生のアイデアであった。料金が500円と安い。大勢で入浴したので温泉宿の年配の主人が「どのような団体ですか」と質問する。元南御牧村村長であった依田翁と我々のかかわり方を説明する。 その夜、軽井沢の同期生邸で懇親会を開く。同期生の一人は自宅でとれたふきなどの漬け物を惣菜として持参した。奥さんを亡くして自炊しているだけあって意外と美味であった。北海道の同期生は独自に考案した健康体操を披露する。暇があれば全国を飛び回っている元気な男だ。邸宅の主は奥さんを亡くして「自立・予防」をモットーに地域の人々に「謡曲」を教え「年寄りの会」の議長も務めるなど地域活動に精を出している。庭には亡くなった奥さんが20年前に植えた三つ葉躑躅が赤い可憐な花をつけていた。和室に本間雅晴中将(陸士19期・陸大27期恩賜・昭和21年4月3日法務死)の「竜虎親睦」の書が壁に飾られていた。まるみを帯び墨痕鮮やか。義兄の高杉善治中佐(37期)が副官をしていた関係で譲られたという。本間中将とは東京幼年学校の1年の時にお会いしているそうだ。

「聖将の遺墨拝みて躑躅の華」悠々

「これから、君が書く資料になるだろう」とそばに座っていた同期生から榊原生徒隊長の父兄宛の挨拶文など資料をいただいた。『福翁自伝』の面白さを語った友もいた。またネットで調べたこの日の佐久平の天候の資料をいただく。みんななかなか思いやりがある。高段者の同期生から「いかにして囲碁が強くなったか」その秘訣を聞く。旅好きの男が『東京大仏は何処にあるか』と質問を出す。健脚な彼は相変わらずあちらこちらの名所旧跡を旅している。泊まる気のなかった男もいつしか“同期生の絆”の中に溶け込んでしまった。話はいつまでも尽きなかった。

「ながらえてむかし偲びつこぶし咲く」悠々