銀座一丁目新聞

花ある風景(593)

並木徹

社会部OBゴルフ会雨で流れる

毎日新聞社会部の旧友ゴルフ会が雨で流れた(4月7日・若洲ゴルフリンクス)参加者14名全員(80歳以上2名・90歳1名)が定刻にゴルフ場に集合、中止を決定する。イギリスを発祥とするスポーツは原則、雨でも決行するのを常とする。ラグビー、サッカー、ゴルフなど総べてそうである。中止の場合は全員が現場来て決定する。これが紳士の作法である。さすがわれわれの会である。その定法を守った。若洲ゴルフリンクスの予約は2ヶ月前の月初めである。このゴルフ場は場所がよいとあって予約電話が殺到、なかなか通じない。それを世話人が夫人と一緒に30分間も電話をかけ続け、ひどいときには1時間から2時間もかかる。やっととった予約が4月7日であった。この日の天候を雨などとはだれも予想できない。

仕方なく別室で懇談する。それぞれが近況を述べる。橿原神社の神武天皇2600年祭(4月3日)に行き、そのついでに奈良の古寺を愛でてきたという者がおれば今なお42・195キロのマラソンに参加し、機会があればボストンマラソンにもゆきたいという者もいる。夫人を亡くしてしょんぼりしているのかと思えば18歳も年下の恋人が出来た報告する者もいた。読書家も多く。白洲正子の本が面白く、しかも文章がうまいと褒める。毎日3時間オペラを聞くという者もいた。元毎日書道会の事務局長に元大連日報の記者・竹内坦道の経歴を頼んでいたが資料の一つにと胆道が書いた「八面観 大連二十年」の目次のコピーをくれた。まだ仕事をしている人もいる。個人タクシーは変り種であろう。今なお運転しているそうだ。「アジア刑政通信」(「アジア刑政財団」会報)の編集長もいる。「NO58・4月1日号」を出したばかりだ。その編集後記に「2020年、5年に一度の国連犯罪防止・刑事司法会議(コングレス)が50年ぶりに日本で開催される(開催都市は未定)」と出ていた。ニュースにも敏感だ。「パナマ文書」の話も出た。その朝のブログに取り上げた。幹事が欠席したNPO法人「音楽は平和を運ぶ」の理事長が今年の7月10日広島で平和音楽祭を開くというチラシを配った。皆それぞれに定年後を謳歌している様子がうかがえる。

念のためにその「パナマ文書」のブログを紹介する。「どの国でも金と女性問題は政治家にとって鬼門。アイスランドのグンロイグソン首相、脱税の温床とされる租税回避地(タックスヘイブン)に巨額の資金を隠していたとして疑惑がもたれていた。遂に4月5日、首相は辞任を余儀なくされた。アイスランドは人口30万人、面積10万余キロ、小さな国だ。親日国で国民は日本人に似て親切だ。それでも不正、悪を憎むのは日本人と同じである。首相辞任要求のデモも起きた。発端は南ドイツ新聞と「国際調査報道ジャーナリスト連合」が明らかにした中米パナマ法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書による。ここに各国の首脳がタックスヘイブンを使っているのが暴露されていた。グンロイグソン首相は2009年議員に当選した際、妻とともに租税回避地・英領バージン諸島にある会社を所有していたことを報告していなかった。この会社は数百万ドルの資金を保有しているといわれる。『金は良い人には良いものをもたらし、悪い人に悪いものをもたらす』(ユダヤ格言集)お金は便利なものだが身も滅ぼす」。「国際調査報道ジャーナリスト連合」には朝日新聞の記者と共同通信の記者も入っており、近く新たな事実を発表するという。人と会うのは刺激を受けさらに意欲がわく。ゴルフは流れたがそれ以上に得るものがあった。