銀座一丁目新聞

茶説

世界一安全な国 日本

 牧念人 悠々

先の茶説(8月1日号)で「戦後70年日本は平和であったのは幸せなことであった」と書いた。評論家堺屋太一さんが日本経済新聞に「安全・正確で清廉な国」-戦後70年日本の強みはーの記事でその中身を具体的に書いている(8月5日)。この記事の元になったのは堺屋さんが会長を務める公益財団法人「アジア刑政財団」が出版した「安全な国 日本」(7月1日発行)である。この本は国際比較や経年変化の統計を集めて日本が安心、安全で清潔で正確な国であることを明らかにしている。例えば日本では刑務所の服役者が有罪未決を含めて約6万3000人(2013年末)、これに対して米国は224万人、人口当たり日本の14倍。ロシア9・6倍、イギリス3倍、フランス、韓国2倍である。汚職に至っては群を抜いて「清潔な国」である。2014年中に汚職で捕まった人は56人に過ぎない。中国は年間5万人を超える。ともかく日本は犯罪の少ない国である。日本は「恥を知り、克己心強く、お互いに助けあい精神を持つ国民」である。また、日本社会の時間の正確さは新幹線の例を挙げるまでもなく他国の追従を許さない。堺屋さんはこの「安全な国」を保つ方法の行き過ぎにも用心を怠ってはならないと忠告する。具体的な例を上げていないが例えば原発問題である。日本は安全を求めるあまり即時に原発廃止を求める。これは行き過ぎだ。国の経済発展とエネルギー需要を考えつつ原発を減らしてゆくほかあるまい。今後このような問題が起きるであろう。この「安全な国 日本」に英訳がついている。英訳をしたのは友人の元文教大学教授・中村恭一さんである。その中村さんが次のようなメールをくれた。「私も今20部ばかり注文しており、文教大学観光学科の先生たちに『学生たちに推薦するよう』送ってみようと思います。一流ホテルなどで部屋に『持ち出し自由』として備えられたり、ボランティアを含む観光ガイドなどの常備品となればいいですね。その意味で、日英語併記は大いに役立つように思います。オリンピックに向けて、英語ブーム、観光ブームになること間違いないですから、非常にタイムリーな出版に思えます。Good luck!」